第7淡 対スライムその3
「う~ん、中々良いのがないな……。」
今日の俺は、すぐに狩り場に向かわず、村の中をうろうろしていた。
と言うのも、そろそろワンランク上の武器が欲しくなったからである。
違いの分かる3歳児だからね。
冗談はさておき、昨晩、寝る前にふと思い付いたのであるが、今の武器は単なる薪用に持ってきた木の枝の中で、手頃なのをチョイスしただけのもの。
加えて、道具としての耐久性にも不安があるし、早々に変える事にしたのだ。
「……理想は金属製の武器だけど、だいたい農具に使われちゃってて、余ってるもんなんてないしな……そもそも重量的に自由に振るのは難しいし……。」
ゲーム的には、硬い樫木の棒なんて、浮かぶけど、良い感じのものがない。
加工なんて出来ないから、どうしても出来合いのものになる関係上、体格に合わないものがほとんどだ。
「カルロス爺さん所で探してみるか……教会の蝋燭立てとか使えないかな……。」
困った時は、カルロス爺さんの所だ。
不謹慎な案を浮かばせつつも、足早に向かう。
そして、カルロス爺さんの居る教会の前まで差し掛かった所で、教会の外壁に無操作に立て掛けられているスコップに目がいく。
春前に調整池から水を引くための溝堀りを村民総出でやった時に使っていたものだ。
全て硬い木で出来ており普通のものより土を乗せる部分の幅が狭く作られている。
もちろん、現代日本のショベルと違ってちゃんとした持ち手なんて付いていない。
本来なら、田畑の方に建ててある共同倉庫に入れてある物だが、カルロス爺さんが不精して出しっぱなしにしていたものだろう。
何となく琴線に触れた俺は、溝堀りスコップに近付き、手にとってみる。
あら、中々いいじゃない?
手に馴染む、馴染むぞ……。
丈、重量特に先の部分に重さが乗る感じ、そしてそれらの全体的なバランス……大人の体格からしたら、少し小さいのかもしれないが、今の俺の身体からしたら、両手持ちの棍棒として調度良いサイズであった。
それにスコップは、前世の職業で使い慣れてるしね。
「……あとは、実戦で試してみてどうかだかだな。」
俺は、念願の新武器を手に入れ、ウキウキ気分で調整池に向かう。
「1日で結構、発生するんだよな~。上限があるのか、一定数以上にはならないみたいだけど……。」
早速、岸辺でウニョウニョしているスモールグリーンスライムを見付けると、
駆け付け様の勢いを任せて、スコップを振り下ろす。
バチンッ
木の棒とはまた違った高い音をさせて、スコップがクリーンヒットする。
流石に一撃で倒すまではいかなかったもののスライムの核を3分の1くらい潰して、見るからに瀕死の重症を負わせていた。
「これは、なかなかになかなかだな……」
結果、2発でスモールグリーンスライムは倒す事が出来た。
スコップ……第一次世界大戦の折には塹壕戦で多数の将兵の血を吸ったという最終決戦武器。
「我が意を得たりっ!!」
俺は思わずスコップを掲げて宣言する。
その日は、バチンッバチンッとスコップで何かを叩く音が調整池にこだましていた。
……当然、レベルも上がって良い1日だったよ。
主人公のステータス
名前:アルベルト=ガルシア
種族:人
性別:オス
年齢:3歳
身長:96cm
体重:15kg
出身地:カルベリオ村
所属:なし
業:-1
徳:-2
Lv:6
状態:正常
体力:6/6(➕1)
魔力:0/0
筋力:6(➕1)
反応:3
耐久:4(➕1)
持久:3
※( )内は、前話からの変化値
職業:戦士0
能力:棒術経験値向上F、棒威力向上F
技能:棒術0
加護:なし
装備:溝堀りスコップ、麻の服、木皮の靴