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作業ゲー的異世界転生  作者: 蜜柑太郎
第1章 ホイホイ
66/466

第66淡 対ゴブリンその1

さて、ここでゴブリンについておさらいしておこう。


ゴブリンは、この世界でもテンプレから漏れず、比較的弱い魔物モンスターに分類される。


しかし、集団生活を行い、複数匹で行動するのも多い事から、甘く見ていると囲まれて逆にやられてしまう。


そして、虜になったら最後、男であれば、殺されるだけであるが、

女は凌辱され子供の苗床に、子供は暴行され玩具にと、筆舌し難い蛮行を受ける。


生態は不潔悪食で、汚れも気にせず、泥水でもすすり、腐った肉でも平気食べる。


一般にヒト種の言語は話さないが「ギャギギギーッ!!」といった奇妙な金切り越えをあげ、仲間とのコミュニケーションを図る事が出来る模様。


また、幼児程度の知能があり、簡単な道具や罠等も使えるようである。


外見的には、体長120cm程の深緑色の肌をした小人で、

顔は、尖った耳と鼻、歯並びの悪い口が相まって醜い小鬼といった様相。


服装に至っては、一般的にぼろ布1枚を腰に巻いたみすぼらしいものであり、

その手にはささくれ立った木の棍棒等が握られ、見るからに野蛮な感じである。


ステータス的には……

体力:10/10

魔力:3/3 

筋力:6

反応:12

耐久:8

持久:10

こんな感じで、すばしっこさにさえ注意すれば、単体なら問題なさそうだ。


まあ、集団攻撃はもちろん、棍棒等の武器を使って攻撃してくるので、そういった面も対策をよく考えなければいけないけどね。


そんなわけで、今、俺の目前に6棟もあるテント。


中には、各4~5匹、計30匹近いゴブリンが居るはずである。


「この数は、ちょっと想定外だったな……精々、十数匹をイメージしてたし……。」


俺が考えを巡らせているのは、それらをどう殲滅するか、焦点は完全に狩り切る事にある。


想定内の数なら、一気に勝負をかける気もあったが、30匹となるとそうもいかない。


そのため、1度距離を取って、午前中いっぱいかけて、いくつかの襲撃準備をする事にした。


1つは、枯れた樹の蔓と太めの枝を組み合わせた格子作り。


用途は、左右と後方の守りに配置する壁である。


そのため、簡単に張り付けないよう片面には棘のある蔓を這わせている。


もう1つは、樹の枝に藁を括り付けたミニ松明作り。


こちらの用途は、火を点けて使うのであるが、明かりとして使うものではない。


投擲してゴブリン達の住み家を燃やすために使うのである。


数は、予備を含め8本程用意した。


その他、元々、こういう時のために作っていた撒菱まきびしをばら蒔く場所ごとに小分けにしたり、細かい仕掛けを色々。


これで駄目なら、血路を開いて、以前構築した落とし穴まで後退すれば何とかなる見積もりだ。


「……今日は、珍しく活動が不活発だな。あまり出歩いてない。」


1度、昼食と足りない材料を取るため、ゴブリンの小集落を発見した場所から離れたが、幸いな事にゴブリン達は移動していなかった。


逆に新たに出先から戻ってきたのかテントからあぶれた個体までいたりと、若干総数が増えているくらい。


俺は、手早く樹々が邪魔をして、左右や後方から回り込み難い位置を選定した上で、更にその3方向に格子を配置する。


位置関係としては、ゴブリンの小集落から茂みを挟みつつ、距離にして30m程かな。


加えて、死角や弱点になりそうな随所に撒菱をまいた。


これで穴や土盛りは、作れてないが簡易陣地は完成。


ここまで出来たら……時は来た、それだけだ。


「やってやるぜっ!……ほほほいっ、ほほほいっ、ほほほいほいっ!!」


ついに戦いの幕が切って落とされる。


俺は、狙いやすいよう構築した簡易陣地の10mくらい手前に出ると、

予め生活魔法で点火した松明を順次、ゴブリンのテントに投げていく。


おまけに外に居たゴブリンに向けて拳大の石を投擲。


ゴスッ……ゴスッ……ゴスッ……


「ギャギギーッ!」


「ギギーッ!!」


ここ最近、雨もなく乾いていたせいか、勢いよく燃え上がるテントを背景に、

石をまともに受けたゴブリンが3匹、4匹……またもう1匹と倒れている。


肩部に投石を受けた個体は、痛みにうずくまっているだけだが、頭部にまともに受けた個体は紫色の血を流しながら大の字に横たわっていた。


炎に慌てふためきテントを飛び出すゴブリン達の姿と相まって、まさに地獄絵図といった光景だ。


「へぇ~、意外と何処から投げてるのか気付かないもんだ…なっ!」


ゴスッ……


「ギャギィッ!?」


現在、俺が居る位置と小集落は、二重に茂みを挟んでいるため、そのせいでゴブリン達は、何処から攻撃されているのか未だ特定出来ていないようであった。


いきなりの炎上で大混乱になっているせいもあるだろうけどね。


ただ、この千載一遇の好機を逃す俺ではない。


迅速且つ、正確に次々と石を投擲、ゴブリンにぶち当てていく。


「ギーッ!!」


20球近く投げ終えた所で、ようやく俺の方向を指差す1匹のゴブリン。


ゴスッ


次の瞬間、俺渾身のストレートをそのゴブリンの顔面にめり込ませたが、

群れ全体でも俺の位置を認識したようである。


「ギーッ!」


何匹が鳴き声をあげると同時に、動けるゴブリンのほとんどがこちらの方向に顔を向ける。


「完全に位置がバレたな……まあ、5~6匹は、行動不能にさせたし、その他、10匹近くに中傷クラスのダメージを与えられたから、経過としては上々か。」


そんな事を呟きつつも、簡易陣地に駆け込んだ後も、距離のある限り投石を継続する俺。


接近戦になるまでに出来るだけ敵の勢力を減らしておきたいからね。


「ギギーッ!」


ゴブリン達の方は、石が飛んできた方向を特定し、着の身着のまま茂みを越えてくる個体10匹程、1度棍棒等の得物を拾いに行く個体10匹程と大きく2つのグループに別れていた。


当然、前者のグループの先頭を行く者には、容赦なく渾身の投石をジャストミートさせて貰おう。


目前には10mごとに2つ茂みがあるのだが、1つ目の茂み、つまり俺から20m離れた茂みに取り付いたゴブリンに1発浴びせる。


ゴスッ


「ギャギィ……。」


頭部やや上面に拳大の石を受けたゴブリンは、小さく呻き声を上げると、ゆっくりと崩れ去る。


一呼吸、間を置いてドクドクと流れ出した血を地面が吸っていく。


それでも、後続のゴブリン達は前進を止めない。


俺の姿を直接確認はしていないが、少数に過ぎないと踏んでいるのか、数を頼みに突撃を続けている。


「勇気があるのか、何も考えていないのか、そんな無防備に真っ正面から来たらっ!」


ヒュッ……ゴスッ


「ギャギィ……。」


先程と同様に新たに先頭となったゴブリンが、投石を顔面に喰らってうずくまる。


「ほら、言わんこっちゃない。」


ただ、1度やられて、その後に復帰したゴブリンも含めて、めげずにこちらに向かい、あと10mという距離まで近付く。


ドタッ


しかし、投石を受けたわけでもないのに先頭を走っていたゴブリンが倒れる。


樹の間を低く張り巡らせた蔓に引っ掛かったのである。


50㎝ごとに高さや角度を変えつつ張っているので、ここでもゴブリンの動きを阻害出来る。


とはいえ、もう目の前といっていい距離なのは確かであるため、投石をしながらも既に片手には鋤を携えていた。


「……ん?笑みを浮かべてる奴がいる?

……見た目が子供だと分かって、舐めてるのか。

これだけ地面に這いつくばっている仲間がいるのに、楽天家にも程があるぞ。」


そんな俺の目に映ったのは、俺の姿を確認して、せせら笑いを浮かべるゴブリン達であった。


ここに至って襲撃者は、正体不明の者から、変な格好をした幼児とゴブリン側にバレている。


それを知って侮った態度を出してきたわけなんだろうが、

普通の幼児にはあれだけの豪速球で拳大の石を投げられるわけない…と考えられないのが、ゴブリンの知能の限界かもしれない。


いずれにせよ、まだダメージを受けていないゴブリンを前面に、一気に近接しようとしてくるゴブリン達。


無論、足元に張り巡らされた蔓に引っ掛かり思うようには進めていない。


「これまでは順調にいってるけど、今からが本番……といってもこの数相手だから、淡々と正面のやつを倒してくしかないんだろうけど。

…………来た来たっ。」


やっと1匹のゴブリンが蔓ゾーンを抜け、俺に跳びかかってくる。


「ギャギーッ!」


「なんだその近付き方はっ!」


バゴッ


ジャンプしたゴブリンの左頬に俺の振り上げた鋤がクリーンヒットする。


ゴブリンは、顎を打ち抜かれ、態勢を崩したまま地面に落下。


「ギェギィ……。」


落下した直後、一瞬だけ身体をピクピクとさせたが、そのまま動かなくなる。


「マジか、こんなもんで……。」


ガスッ


一応、倒れているゴブリンに鋤を振り下ろして、とどめを刺しておく。


あと、邪魔にならないよう思い切り蹴って、位置を前方に移す。


そうこうしている間に次のゴブリンがジャンプ。


「またかいっ!」


バゴッ


「ギャヒッ……。」


1匹目と同じく武器もないくせに無防備に跳び上がってくるため、確実に撃墜出来る。


俺は、1m丈はある鋤を装備しているわけだからね、リーチ差的にも万全。


顎を打ち抜いて昏倒させたら、振り上げた鋤をそこから打ち下ろしてとどめだ。


ガスッ


……で、しばらくこれの繰り返し。


6匹葬った所で、流石に素手の不利を悟ったゴブリン達は石礫いしつぶてを投げてくるが、

鋤で綺麗に打ち返して当ててやると、傷をさすりながら忌々しげな表情を浮かべるものの、打つ手なしといった様子。


「これだけ目の前に仲間の屍が積み上げられて、やっと不利に気付いたか……俺の方は順調過ぎて逆に怖いわ。」


ゴブリンの戦い方が単純なのと、ステータスの差からくる実力差が思った以上に出ているため、サクサクと倒せているのが現状であった。


ただ、それだけに新たな懸念となっているのが、ゴブリン達が逃げ出してしまわないか。


現に素手で向かってきたグループの残り2匹は、10m先の茂みの位置で立ち止まって、それ以上近付いてこない。


「まずった……陣地にしても、もう少し隙のある作りにしとけばよかったかも。」


しかし、すぐにその心配も杞憂に終わる。


粗末な木の棍棒や錆びたショートソードを手にしたゴブリン達のグループが追い付いてきたのだ。


そいつらの威勢にノって、素手のゴブリン達まで突撃を再開する。


バゴッ


「ギャヒッ……。」


ゴスッ


「……武器を持ってても、思いっきり振り上げたままジャンプしたら、あんまりさっきと変わらないんだけどな~。」


武器を持ったゴブリンも地面の蔓に苦闘しながら接近、蔓ゾーンを抜けた個体が猛ダッシュ&ジャンプしてきた。


しかも、武器を突き出してジャンプすればいいものを振り上げたままで、

こちらからも攻撃すれば、頭部、胸部、腹部のどれもがら空きなのである。


もちろん、そんなおバカさんには、反省させる意味も込めて、ガッツリ強打を叩き込む。


で、それをまた繰り返す状態。


……なんだ、この延々と撃墜してとどめを刺す動作の繰り返しは……あいつらバカなの死ぬの?


いや、実際ほとんど死んじゃってるけどさ、更に10匹やっちゃったし。


もうまともに動けるのは、3匹くらいしか残っていない。


「脆い、脆過ぎるぞ。」


あまりの呆気なさに以前、スモールブラウンスライムに不完全燃焼を感じた以上の肩透かしをくって、

言い知れぬモヤモヤ感が込み上げてくる。


ゴブリンの方は、逆の意味で呆気に取られて固まっているけどね。


「……悪いけど、残りの奴には、モヤモヤ発散の相手になって貰う。」


俺は、言うや否や砂利を棒立ちのゴブリン達に向かって投げつけると同時に全速力で前に駆け出す。


「ギャギッ!?」


3匹のゴブリンは、砂利が飛んで来たのを受けて、思わず両手を顔の前にやって防御する。


このタイミングで視界を塞ぐなんて、バッドチョイスだ。


それを見て一足跳びに蔓ゾーンを抜け出した俺は、手近なゴブリンの喉元に体重を乗せた突きを繰り出す。


ゴスッ


「ギャヒッ……。」


両腕の隙間抜いた突きの衝撃で、ゴブリンの身体が浮く。


首が引き千切れそうな勢いであった。


受けたゴブリンは、一鳴きして完全に沈黙。


「まず1匹……。」


間髪入れず、鋤を突き出したまま、横回転。


すぐ後ろに居たゴブリンに今度は、鋤を真横に振るう。


「釣りはいらねぇ、重打ヘビーヒットっ!」


バゴンッ


砂利から顔面を守るため、掲げていた両手を下げようとしていた所に横一文字の一撃である。


鋤が当たった頭部は、大きく陥没。


やられたゴブリンは、声を発する間もなく事切れ、糸が切れたマリオネットのように力を失い横たわった。


「2匹……。」


この様子を目の当たりにした最後のゴブリンは、きびすを返して逃走態勢に移行していたが、駆け出したのは俺の方が早い。


「逃げるなチキンがっ!」


ドゴォンッ


もちろん、チキンなんて2度と言わせないぞと立ち向かって来る事もない。


逃げようとするゴブリンの後頭部に振り下ろしの重打ヘビーヒットだ。


「ギャヒッ……。」


こちらも頭頂部が完全に陥没、そのままうつ伏せに倒れたっきり動かなくなった。


しかしながら、これでお仕舞いではない。


「まだ、息の根があるのは……。」


歩みを止める事なくそのまま前進してゴブリンの小集落に突入。


最初に俺の投石を喰らって、へたり込んでいたゴブリン達へと急速接近し、

その頭部にすれ違いざまの一撃をお見舞いしていく。


次に昏倒しているだけの可能性があるゴブリンに鋤を突き立て、順次とどめを刺した。


最後に、燃え残ったテントの支柱等を崩して、小集落の痕跡を消し去りながら、2時間程、戻ってくる一部のゴブリンを待ち伏せして殲滅完了だ。


念のため、1週間はこの場所に通って本当に全滅させたのか確認するけどね。


「……ふむ、ゴブリンの死体を全部埋めるのも骨だし、ある程度残して、森の動物でも誘き寄せようかな~。」


撒き餌にしても、1匹分ずつ死体を置く場所を変えれば、

カルベリオ村自警団が小集落があった事に気付く事はないだろう。


そして改めて重要な事に気付かされるが、初めて、且つ、散々人型の魔物モンスターを倒したが、心が病んでしまうな感情は湧いてこない。


それどころか、その亡骸の有効活用に頭を巡らせている。


まあ、戦闘が終わった後、ステータスを確認してみたらレベルアップしてたりと経験値稼ぎへのモチベーションも上がってるしね。


「……でも、やっぱこれって、少しは罪悪感持ったり、気にした方が良いのかな……。」


処分のため、1ヶ所に集めたゴブリンの死体の山を前にして悩む俺であった。



ーーーーーー


主人公のステータス

名前:アルベルト=ガルシア

種族:人

性別:オス

年齢:6歳

身長:114cm

体重:21kg

出身:カルベリオ村

所属:なし

カルマ:-1

モラル:-2


Lv:66

状態:正常

体力:33/33(➕1)

魔力:8/8

筋力:26

反応:17(➕1)

耐久:17

持久:17

※( )内は、前話からの変化値


職業ジョブ:戦士Ⅰ

能力アビリティ:棒術経験値向上E、棒威力向上E、重打ヘビーヒット

技能スキル:棒術Ⅱ、投擲術Ⅱ、探索術Ⅱ

加護ギフト:なし

装備:×牛引きプラウ、麻の服、木皮の靴、(戦闘時のみ木製短冊胸当て、同背甲、同肩当て、同籠手、同肘当て、同膝当て、同すね当て)

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