第6淡 対スライムその2
「せいっ!せいっ!せいっ!」
どうも、今日も今日とて、経験値稼ぎに精を出す俺です。
ここは、カルベリオ村東端の森際に続き、昨日見付けた狩り場、調整池一帯である。
スモールグリーンスライムという今の俺の実力に対して、手頃な魔物が出現する場所だ。
カルロス爺さんの話では、魔物は、自然界に存在する魔力、便宜上、魔素と呼ばれているが、この吹き溜まりで発生したりするらしい。
発生したりというのは、何もない所から一から生まれるものと、何かに憑依して生まれるものがあるからだ。
その他にも、別の次元の悪魔的なのが魔素の吹き溜まりを介して門を開いて来るっていうのもあるみたいだけど、
こんな平和な田舎村に早々そんな濃い魔素溜まりは、存在しない。
出現する魔物から言っても、漂う魔素の濃さにその強さが比例する事から、スライムやゴブリン程度が出たくらいの話しか聞いた事のないカルベリオ村には無縁の事だろう。
まあ、まだまだ弱々な俺にとっては好都合だ。
「……さしずめ、ゲームで言う始まりの村って感じだな。」
サクッとスモールグリーンスライムを倒した俺は、木の棒を振ってこびり付いたスライムの体液をきりながら、ポツリと呟く。
ちなみに午前中は、ほとんど倒せなかったが、あまり焦ってはいない。
何故なら、魔物の発生原理を元に、スライムの発生ポイントを割り出せたからである。
今の俺に魔素を感じて探すとかは出来ないので、まずは勝手なイメージで調整池の中で水の流れがなく澱んでいる辺りをしらみ潰しにしていったのだ。
元々、カルベリオ村の規模からしたらだいぶ大きいとは言え、半径300m程の調整池。
しかも、その中で水が澱んでる所なんて取水する村側の方だけに限られてる。
午前中いっぱいは、かかったとは言え、見付かったのだから、良しとした。
「少し時間はかかったけど、予想がドンピシャだったな……。観察して、スライムの生態も若干分かったしね。」
スモールグリーンスライムは、発生後、すぐに岸際まで移動するのだが、基本的に日陰、且つ、柔らかい土がある所に向かうのだ。
そして、好みの場所に辿り着くと、プヨプヨと何もせずにその場に留まる。
何をしているのかしばらく様子を見た所、無警戒に近付いてきた虫や小魚を捕食していた。
ツルツルとして透き通った緑色の表面が変形して、触手のように対象を絡めとり身体の中に取り込む。
少し離れた対象には、シャボン玉サイズの水をぶつけて、弱らせた上で取り込んでいたが、あれがスモールグリーンスライムの特殊能力又は奴が使える魔法だろう。
威力の方は、そこまで脅威じゃなさそうだが、ずぶ濡れにはなりたくないので注意が必要そうだ……。
一方、中に取り込まれた生き物は、徐々に溶かされて、スライムに取り込まれてしまうようである。
「端から見ている分には面白いけど、溶かされたりする方は、大変だな~…………やっぱり何もさせないまま一気に勝負を付ける戦法は、間違ってなかった。」
俺は、そう結論付けて、これからも短期決戦方式でスライム狩りをしていく事に決めた。
それから、いつも通り昼食に一度戻ったら、狩りの再開だ。
とりあえず、先ずは目に付いたスモールグリーンスライムをぶっ叩く。
「おりゃりゃりゃ~!」
昨日は倒すまでに6回は攻撃しなければいけなかったが、今日は4~5回で片付いている。
ステータスの向上を実感しつつ、淡々とスライムを叩くだけのお仕事。
発生源さえ見張っていれば、発生したそばから倒せるしね。
午後からの1時間ちょっとでまた1つレベルを上げる事に成功する俺だった。
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主人公のステータス
名前:アルベルト=ガルシア
種族:人
性別:オス
年齢:3歳
身長:96cm
体重:15kg
出身地:カルベリオ村
所属:なし
業:-1
徳:-2
Lv:5
状態:正常
体力:5/5(➕1)
魔力:0/0
筋力:5(➕1)
反応:3
耐久:3
持久:3(➕1)
※( )内は、前話からの変化値
職業:戦士0
能力:棒術経験値向上F、棒威力向上F
技能:棒術0
加護:なし
装備:木の棒、麻の服、木皮の靴