第59淡 対スライムその49
ボボボボボボボゥッ
2m程の炎か燃え上がり、その熱か周りの空気を歪ます。
俺の前には、1.5m以上あるオレンジ色半透明のプルプルとした塊。
ビッグオレンジスライムである。
そのステータスは……
種族:ビッグオレンジスライム
状態:正常
体力:38/38
魔力:10/10
筋力:8
反応:4
耐久:14
持久:9
こんな感じであり、使用する魔法から言っても油断のならない相手であった。
しかし、1番警戒しなければならない炎柱も先程ので2回目。
1回につき4~5の魔力を消費するため、ステータスの数値からするともう放てないはずだ。
「威力自体は、オレンジスライムのと一緒だったけど、魔法の持続時間はスモールオレンジスライムよりも長いくらいだし……狭い場所で戦ったりしたら、危険な相手だな。」
しばし、間を置いて本当に炎柱を使用できなくなったか確認したら、
その後は、鋤を防御にも使えるように短めに持ってビッグオレンジスライムに近付く。
「順当にいけば、触手によるストレートパンチ攻撃だろうけど、どうかな……」
ビュンッ
「おっと!……だよね。」
予想通り飛んできた触手ストレート。
太さは拳大と変わらないが、スピードがやや速くなっている。
また、射程距離の方は、1m近くまでなっており、これは大きな変化と言えるだろう。
俺は、後ろ斜め後方に退きながら、鋤の先端で、こちらに伸びてくる触手の横っ面を叩いて、このビッグオレンジスライムの攻撃に対処する。
「……この射程は、脅威だな。しっかり捌ききらないと、こちらの攻撃もままならないし……まあ、向こうからは、しばらく遠距離攻撃出来ないから、投石で削ってしまえば倒せないという事はないか。」
再び距離を取った所で、呟く俺。
そして、足元に集めておいた石の1つをおもむろに拾う。
ここまでくれば対スライムの基本戦法である。
「全体重を右腕に乗せ、全ての神々よ右肩に舞い降りろ……普通のストレートっ!」
ビュッ……ドスッ
投擲された石はしっかりビッグオレンジスライムにダメージを与え、その表面を幾ばくか削り取った。
「よし……まだまだいくよーっ!!」
ドスッ……ドスッ……ドスッ……
そのまま削り続ける事、20球。
夏場という事もあり、すぐに額に汗が浮いてくるが、そこは水色のハンカチでこまめに拭き取る。
ビッグオレンジはというと、投石により身体が削られ、スモールオレンジスライムに毛の生えた程度の大きさになっていた。
十二分にダメージを与えたと判断した俺は、仕上げに入る。
「おいしく経験値、いただきますっ!」
ダッシュからの弱突き、弱振り下ろし、中打ち上げ、そして強振り下ろしの重打のコンボだ。
ドスッ……バンッ……ドガンッ……ドゴンッ
最後の重打まで綺麗に決まる。
「フシュー……。」
振り下ろした鋤がそのまま地面まで達し、完全にビッグオレンジスライムを叩き潰していた。
「うっし、勝利。
レベルの方は……上がってるし、ステータスも体力が上がって30台に突入って感じか。」
見るとステータスの体力値が30に達していたのだった。
ダメージ自体の通り難さは、耐久値に依存するが、状態異常も含めてダメージを受け止めるのは最終的に体力値になる……
By カルロス爺さん
そんなわけで、上げておいて損はないだろう。
今まで大きなダメージを受けた経験がないので、その有り難みを実感した事もないけどね。
逆に攻撃に直結している筋力や反応なんかは、そのまま戦闘の結果に繋がってるので、
例え1ずつでも上がると素直に嬉しくなる。
とは言え、職業や能力の補正と比べてしまえば元も子もない。
ただ、その中で目下、上がる可能性があるのは、重打くらい。
まあ、この季節、海辺の魔物達を重打でかっ飛ばしながらでも、気長にやるさ。
そうさ、俺の太陽の季節は、まだ始まったばかり。
夏よ逃げないでくれよな?
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主人公のステータス
名前:アルベルト=ガルシア
種族:人
性別:オス
年齢:5歳
身長:110cm
体重:19kg
出身:カルベリオ村
所属:なし
業:-1
徳:-2
Lv:59
状態:正常
体力:30/30(➕1)
魔力:8/8
筋力:22
反応:16
耐久:16
持久:16
※( )内は、前話からの変化値
職業:戦士Ⅰ
能力:棒術経験値向上E、棒威力向上E、重打F
技能:棒術Ⅱ、投擲術Ⅱ、探索術Ⅰ
加護:なし
装備:×牛引き鋤、麻の服、木皮の靴、(戦闘時のみ木製短冊胸当て、同背甲、同肩当て、同籠手、同肘当て、同膝当て、同すね当て)




