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作業ゲー的異世界転生  作者: 蜜柑太郎
第1章 ホイホイ
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第50淡 対ワイルドボアその1

「フゴーッ!」


「……ふごお?」


カルベリオ村南西の洞穴前で、その中に

住人が居ないか監視していた俺の耳に聞こえてくる荒い息遣い。


思わず俺も口に出して、繰り返してしまう。


ドスドスドス……


のそのそと洞穴の中から出てきたのは、体長2m近くもある大柄なイノシシであった。


体重もドスドスという足取りからすると200kg近くありそうである。


「これは……ゴブリンどころじゃないな……。」


そして、フゴーフゴーと鼻息荒く洞穴の前をウロウロし出すイノシシ。


どうやらまだこちらの位置まではバレていないようである。


そこで、引き続き物音を立てないようにしながら、鑑定単眼鏡を除き込む。



種族:ビッグワイルドボア

状態:正常(憤怒)

体力:38/38

魔力:0/0 

筋力:20

反応:12

耐久:14

持久:8


「体力が高いな…………ってあれ?でも、こんなもんか?」


確かにこれまで相手をしてきたどの敵よりもステータス値的には高い。


しかし、巨大な外見に比して、数値的に物足りないように感じたのである。


ただ、カルロス爺さんから聞いた限りで、ステータス値の尺度としては、

普通の村人が体力を除く各値平均10。

実力差を考える時は概ね2乗との事だから、筋力値が10の人と20の人の差は、10×10=100対20×20=400で、4倍違う。


で、一般的な成人男性の筋力は、地球でもこの異世界でも変わらないように見受けられるので、

村人の平均的な筋力は40~50kgの物をを何とか持ち上げられるくらい。


数値的にその4倍の実力がイノシシにあるならば160kg~200kgの物を動かす力があるわけだ。


「……そう考えると不自然はないか。

どうもまだステータス値と実際の感覚が掴めないけど……気付いたら、俺も4歳児としてはバケモノみたいなステータスになってたって事だな。」


俺は、自分のステータスを振り返り、改めて異世界の理の凄さを感じる。


だって、レベル上げるだけで、前の世界じゃ到底考えられないような力が得られるんだよ?


「……異世界、最高……。」


俺は、ポツリと呟きつつも、今度はこのイノシシに対してどうするか思案し始める。


ステータス値的には、なかなか侮れない。


しかも、あの巨体から繰り出されるぶちかましや、鋭い牙を考えれば、正面から戦う案は、端から選択肢にない。


「樹に登って石を投げ付け続けるか……それともアレを使うか……。」


アレというのは、落とし穴の事である。


実は、対ゴブリン用に秋~冬の間に暇を見付けて何ヵ所か作成していたのだ。


もちろん、カルベリオ村の人達が落ちないようにある程度の重さまで耐えられる工夫として、普段は太めの枝で蓋がしてある。


「あれだけ重そうなら、蓋を取らずとも落ちそうだし、実験を兼ねて……やるか。」


……駄目だったら、急いで手近な樹に登ろう。


そうと決めたら、罠に誘い込む細部要領だ。


既に激おこぷんぷん丸であるが、野生の勘を鈍らせるために、再度投石を喰らわせて、

キーボードクラッシャーレベルで前後不覚になるくらい気を高ぶらせる必要があるだろう。


そして、ここから50m南進した所で、落とし穴にはめる。


落とし穴は、ほぼ垂直に深さ2m程あるので、落としてしまえば、あとは煮るなり焼くなりのはずである。


「よし、気持ちを込めて投げさせて貰います……一球入魂っ!」


俺が投げた渾身のストレートがイノシシ目掛けて飛んでいく。


ドゴッ


俺の声に調度顔を向けた所、頭に投石を受ける格好となったイノシシ。


無事に済むはずもなく額から血が流れ出していた。


「鬼さんこちら手のなる方へ♪」


そこに俺の挑発である。


「フゴーッ!!」


更に怒り心頭といった様子のイノシシ。


ザシュザシュと後ろ足をかいて、突進の前段階に入っている。


意外と間があったので、さっと鑑定してみると状態が『憤怒』から『暴走』に変わっていた。


「ここまでは狙い通り……。それじゃっ!」


南向きに身を翻して駆け出す俺。


「フゴーッ!!」


それと同時に俺を追い掛け突進を開始するイノシシ。


追い掛けっこの始まりだ。


ただ、何も着ていなければ追い付かれる事もないが、フル装備のせいで、すぐに距離が詰まってくる。


「甘い、残像だっ!」


その点も抜かりなく、残像は出ていないが、十分引き付けての横っ飛び。


ドゴッ


イノシシは、急に俺という目標が消えたため、勢いのついたまま正面の樹にぶつかる。


「フッ……馬鹿めっ!」


一瞬、樹との衝突で自失し、ピヨったイノシシにもう一度投石。


ドスッ


「フゴーッ!!」


俺は、イノシシに軽くダメージを与えつつも、再び身を翻し、落とし穴へ向かう。


イノシシも投石を喰らって、再起動、追い掛けっこの続きである。


続きといっても間もなく50m先の罠に到達し、俺はその上を何事もなく通過。


イノシシの方は、落とし穴に差しかかかった所で、体重により蓋を踏み抜き落下していく。


ドゴッ


勢いで落とし穴の壁面に激突しながらの落下であった。


俺は、イノシシが落とし穴から容易に上がって来れない事を確認すると、息を整えながらも普段より大きめの石を集める。


「ビギィーッ!!」


落とし穴の中から、時折、怒りに満ちた鳴き声が聞こえるが気にしない。


所詮は、奴の終わりの始まりを告げるファンファーレにしかならないからね。


「石の数はこんなもんでいいか……。」


事後の段取りは、ひたすら思いきり投石を加えるだけである。


ドゴッ……ドスッ……ドスッ……ドゴッ……


出来るだけ効果の高い頭部目掛けて投石を続けるがイノシシも嫌がるので胴体に当たったりもする。


「フーフーフー……。」


20発以上ソフトボール大の石を喰らわさると、さしもの巨大イノシシも、膝を付くどころか、横たわってしまい虫の息といった状態になった。


「……そろそろとどめを刺すか。俺の全精力を込めて……どっせいっ!」


思いっきりジャンプして、落とし穴に身を投じ、全体重を乗せた重打ヘビーヒットを振り下ろす。


ドゴンッ


「ビギィーッ……。」


イノシシは、俺の接近に対し、身体を起こそうとして上げた頭部に重打ヘビーヒットがめり込むと、小さく鳴いて力尽きる。


「危険を感じる時もあったけど、罠にはめれたおかげもあって、そこまで労せずに倒せたな……。」


動かなくなったイノシシを前に思案する俺。


この結果を受けて自分の実力がどの程度のものなのか気になり出したのである。


今の戦闘でレベルアップもしたが、この先、どのくらい強くなったか計数的に分かるのが理想である。


前世なら、バーベルの重さやらで自分の力を容易に確認出来たが、そういったものはない。


「まずは重量がある程度正確に分からないとな……水を重りに使った秤でも作ってみるか。」


戦闘が終わって早々、今後の工作について、頭を巡らせ始める俺であった……。



ーーーーーー


主人公のステータス

名前:アルベルト=ガルシア

種族:人

性別:オス

年齢:4歳

身長:103cm

体重:17kg

出身地:カルベリオ村

所属:なし

カルマ:-1

モラル:-2


Lv:50

状態:正常

体力:27/27

魔力:7/7(➕1)

筋力:20

反応:15

耐久:15

持久:15

※( )内は、前話からの変化値


職業ジョブ:戦士Ⅰ

能力アビリティ:棒術経験値向上E、棒威力向上E、重打ヘビーヒット

技能スキル:棒術Ⅰ、投擲術Ⅰ、探索術0

加護ギフト:なし

装備:×牛引きプラウ、麻の服、木皮の靴、(戦闘時のみ木製短冊胸当て、同背甲、同肩当て、同籠手、同肘当て、同膝当て、同すね当て)

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