第45淡 対スライムその40
コボルトの逃走事件から、1ヶ月が過ぎた。
あれから既知の地域の見回りを続けているが、新たな魔物とはもちろん、コボルトとの遭遇もない。
まあ、コボルトに関しては、考えてみれば、3匹もの仲間が大した時間もかけずにやられているという状況があれば、逃げの一手というのも否定出来ない生き残り戦術だ。
とりあえず、魔物相手の戦闘は、イエロースライムだけとなっている。
………………
「緊急回避っ!」
飛んでくる火球を横っ飛びからの前方回転で避ける俺。
ここ数週間は、掻き消したり、弾いたりといった鋤による対処だけではなく、格闘ゲームのように完全に避けきる方法を色々試している。
回転しながらも、視線の方はイエロースライムから逸らさず、次弾に備え、
火球の撃ち終わりが見て取れれば、そのまま攻撃に転じるのである。
攻撃に転じたら、もう既にある程度のバリエーションはあるので、相手との位置関係や態勢で臨機応変にコンボを叩き込む。
「せいっ!」
ドスッ
初手は、駆け寄った勢いを利用した突きを基本として、それに引き続き、振り下ろし、横振り、打ち上げ等を次手としたコンボを繰り出す。
もはや、今となっては力をセーブしないと考えていたコンボをし切る前にイエロースライムを倒してしまうという感じだ。
そういうわけで、イエロースライムを定期的にぶっ叩かせて貰った結果、レベルも上がって現在Lv44だ。
「コボルトの件は、気持ちに整理が付いたからいいけど……冬支度も済んで、本格的に農閑期が始まったら、長時間経験値稼ぎをしていられなくなるな……。」
そう、ただでさえ遅くなっているレベルアップのペースが冬が始まれば更に遅くなりそうなのである。
俺の前言の通り、村をあまり空けられなくなる。
農作業等のない冬場は、収穫した小麦や豆を使った料理に加え、秋の半ばに豚を潰して作ったソーセージ等で食い繋ぐ生活スタイルに移行する。
そのため、各家庭は、基本的に家族揃った状態で過ごす事になるだろう。
当然、3歳児の俺は、母親に連れられて枝拾いに行く以外は、両親と一緒に居ざるを得ないわけである。
「なんとか理由を付けて、定期的に単独行動出来る時間を確保しなくちゃ……。」
そう思案をしている所である。
そして、家族と言えば、妹についてであるが、もういつ産まれてもおかしくない状態との事。
名前は、結局メイシャのままだ。
あとは元気な姿で産まれてきてくれればいいけど……いや、出来れば可愛いければ……ね?
村長の奥さんは、おそらく来週の収穫祭前後だろうと経験値から言っていたけど、こういう肝っ玉母さん系の助言は、馬鹿に出来ない。
ちなみに収穫祭自体は、小麦の収穫・乾燥、秋の味覚キノコ類や栗・柿等の採取、豚の成長といった実りを創造神、農耕神、牧畜神等に感謝して行われる祭りである。
調整池の畔で、昼から夕にかけて開催され、新作のソーセージなんかに舌鼓を打ったりもする。
あとは、男女一組になっての踊りね。
笛と太鼓の民俗音楽に合わせて、腕を組んだりしてクルクル回るようなのだ。
たぶん、ご近所さんのマルタちゃんと組まされる事になるだろう。
今の段階では、あんまり意識したくなかったけど、これって幼馴染みフラグっぽいよね。
いずれにせよ、カルベリオ村の天高く馬肥ゆる秋も本番だ。
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主人公のステータス
名前:アルベルト=ガルシア
種族:人
性別:オス
年齢:3歳
身長:100cm
体重:16kg
出身地:カルベリオ村
所属:なし
業:-1
徳:-2
Lv:44
状態:正常
体力:26/26(➕1)
魔力:6/6
筋力:19
反応:14
耐久:14
持久:14
※( )内は、前話からの変化値
職業:戦士Ⅰ
能力:棒術経験値向上E、棒威力向上E、重打F
技能:棒術Ⅰ、投擲術Ⅰ、探索術0
加護:なし
装備:×牛引き鋤、麻の服、木皮の靴、(戦闘時のみ木製短冊胸当て、同籠手、同肘当て、同膝当て、同すね当て)




