第37淡 対スライムその33
「あ~、喉渇いたぁ。」
俺は、両手をお椀の形にして水の生活魔法を使う。
ゴクゴクゴク……。
4~5口の量ではあるが、練習がてら小まめに生活魔法を使っているのだ。
気温は、日本の夏程暑くならないといっても、朝から20℃を越えているため、動けばそれなりに汗をかく。
集団保育所から抜け出して、経験値稼ぎの初一発。
村外れまで走った後、調整池のスライムホイホイまでは、鍛練のため、素振りをしながら来ていたので、一息入れるための一杯である。
「今日のお相手はと……居た居た。」
スライムホイホイの中にはイエロースライム。
祭りも終わったし、そろそろ、スモールイエロースライムから切り替えの時期かなっと……。
職業が上がる前後の補正等がなければ、1つレベルアップする度に上がるステータスは1だけなので、
本当はもう少しステータスを上げてからが理想だけれど、ここは効率を優先してみた。
最初の火球さえ、気を付けていれば、以降は変なことしてこないから、大丈夫だしね。
「とりあえず、投石からだな……。
それ、サブマリン投法っ!」
ボスッ
第1投が見事ヒット。
これに対してイエロースライムは、当然の事ながら反撃してくる。
ボゥゥッ
「明鏡止水の心……受け流させて頂きますっ!」
俺は、飛んできたソフトボール大の火球を加減して振り払う事で方向を変えるだけでやり過ごす。
最小限の力で最大の効果っていうやつだ。
思い切り振ってないから、次への動作も早いしね。
方向を変えられた火球は、調整池の水上を走るが、射程を超えるとパッと消える。
ボゥゥッ
続けて放たれた2発目の火球に対しても、こちらの対処は同じ。
慌てることなく、軌道を逸らして防御。
「なんだか達人にでもなった気分だな~……まあ、あんまり火球の速度が速くないからこそ出来る芸当だけどさ。」
あとは、グリーンスライムに散々試したコンボの効果を確認。
「おりゃっ!」
牽制として石を投げると、一気にイエロースライムに近接する俺。
先ずは、スライムホイホイを駆け下りた勢いを使っての弱突き。
ドスッ
勢いは、これで殺されてしまうので、跳び退きながらの
弱振り下ろし。
バスッ
鋤がイエロースライムに当たったら、その反作用を利用してクルリと回転しながら、
ゴルフスイング気味に横振りを当てる。
身体を捻らないといけないため一瞬窮屈な態勢になるが、当たった時のインパクトは、気持てぃ~っ!
ゴルフの打ちっぱなしで会心の一振り的な感覚かも。
そして、仕上げは、ゴルフスイングで振り上げた状態になっている所で、
鋤に思い切り力を込めて、強振り下ろしだ。
ドガンッ
「決まった……決まり過ぎた……。」
これで倒してなかったら格好悪いけど……
「フシュー……。」
ほらね、ほらね?決まった。
誰か見ているわけではないが、男とは自己満足の世界に生きるものなのだ。
気分の良い事にレベルも上がる。
イエロースライムなら、3匹くらい倒せば、またレベルアップ出来るだろう。
今のところ、レベルアップ云々よりコンボに重打をどう組み込んでいくかの方が焦点だけどね。
すぐに湧いたグリーンスライムに技試ししたくなる気持ちをグッと堪える俺であった。
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主人公のステータス
名前:アルベルト=ガルシア
種族:人
性別:オス
年齢:3歳
身長:97cm
体重:15kg
出身地:カルベリオ村
所属:なし
業:-1
徳:-2
Lv:37
状態:正常
体力:24/24
魔力:5/5(➕1)
筋力:18
反応:13
耐久:13
持久:13
※( )内は、前話からの変化値
職業:戦士Ⅰ
能力:棒術経験値向上E、棒威力向上E、重打F
技能:棒術Ⅰ、投擲術Ⅰ
加護:なし
装備:×牛引き鋤、麻の服、木皮の靴




