第35淡 対スライムその31
「おっ、湧いた湧いた……ほいっと!」
ドガンッ
「フシュー……。」
ここ1週間、昼間はグリーンスライムが湧く度、一撃必殺で叩き潰すそんな簡単なお仕事を続けている俺。
夜は調整池に居られない関係上、朝だけはどうしてもスモールイエロースライムの相手をしなければいけなくなるが、村人が池の対岸で牛追い祭りの準備作業をしている日中、相手にするのはグリーンスライムであった。
一応、昨日、また1つレベルが上がったけどね……。
季節は元の世界でいう7月に入った辺り。
気温は暖かくはなるが1番暑い時期でも平均気温は25℃そこそこ。
逆に1番寒い時期でも平均気温は10℃以上あるので、海岸部は一般的に温暖で過ごしやすい。
ちなみに暦は、1年が12ヶ月、1ヶ月が約30日で前世と同じである。
映画じゃないけど、ここは地球だったのか?というオチがないかちょっと心配している所だ。
……えっ、火祭りの方はどうだったかって?
どうもこうも、1つ年上の御近所さん、マルタちゃんに散々パシりにされてたよ。
敷物を用意させられたり、料理持って来させられたり、肩揉まされたり……。
周囲の大人も子供も微笑ましい感じで見てたけど、見てるんなら注意するなり、代わってくれるなりして欲しかった。
「おいおい、アル。今から尻に敷かれてるのか?ハハハハ」
とかアレハンドロが笑っていたが、どうせお嫁さんにするなら、美人な方が良いとか色々条件はあるけど、先ずは性格が良くないとさ。
まあ、牛を象った篝火が盛大に燃え上がる様は、凄く綺麗だったけどね。
何しろ村人達が持ち寄った藁や枝束をこれでもかと積み上げ、篝火は、5mを越える高さとなっていた。
闇夜に火の粉を散らしながら燃えている様子は、ある種、幻想的な光景だったよ。
酔った爺さん連中が、何処で覚えたのか、ギターや太鼓等で民族風な音楽を流し始めたら、篝火を囲んで皆踊り出したりも面白かった。
お祭りとしては、総じて絶え間なく笑い声が聞こえ、和気あいあいしていて良かったという感想。
そして、今現在、カルベリオ村で盛り上がっているのが3日後開催される牛追い祭りである。
参加の仕方はまちまちなものの、カルベリオ村の全員が携わる所は、火祭りと同じ。
ただ、使う地域は、村の西側の牧場から東の調整池までとかなりの範囲となっている。
この範囲に東西に牛が経路を外れないよう柵を設けて走らせ、牛追いをするという要領なのだ。
カルベリオ村一帯が……
海海海海海海海海海
海海海浜浜浜海海海
海海浜林林林浜海海
浜浜牧畑□林森浜浜
森林牧畑丘池森森森
森森森丘山丘森森森
森森丘山山山丘森森
※1 □:カルベリオ村、牧:牧場、畑:田、浜:海岸、池:調整池、林:人の手が入ってる森
※2 1マス約1㎞四方
こんな感じで、村の西側に牧場と田畑、南東に調整池という配置だから……
海海海海海海海海海
海海海浜浜浜海海海
海海浜林林林浜海海
浜浜■■■林森浜浜
森林牧畑丘池森森森
森森森丘山丘森森森
森森丘山山山丘森森
※ ■は牛追い経路(西から東へ)
東西に全長3㎞超のコースというわけだ。
また、追い立てた後に牛を逃がさないようにする&落ち着かせるため、ゴールは調整池前である。
「思ったより結構大掛かりなんだよな~。柵だけでも1週半近くかけて作るっていうんだから。」
トンカントンカン……。
対岸では、ある柵を組み立てる作業が行われ、耳を済ませば微かに金づちの音が聞こえている。
柵自体は、過去の物が倉庫等にあるので、所定の場所に固定すればいいだけなのだが、設置しなければいけない距離からして、かなりの作業量であろう。
いずれにせよ、成人前の子供は端から観ているだけだそうなので気楽なもの。
前世で牛追い祭りなんて、テレビでしか見た事ないからね。
アレハンドロの気合いの入れ込み具合からすると、相当激しい景況みたいだし、これはこれで楽しみだ。
ドガンッ
「フシュー……。」
俺は、また新たに湧いたグリーンスライムを潰しながら、牛追い祭りに思いを馳せるのであった……。
ーーーーーー
主人公のステータス
名前:アルベルト=ガルシア
種族:人
性別:オス
年齢:3歳
身長:97cm
体重:15kg
出身地:カルベリオ村
所属:なし
業:-1
徳:-2
Lv:35
状態:正常
体力:24/24(➕1)
魔力:4/4
筋力:17
反応:13
耐久:13
持久:13
※( )内は、前話からの変化値
職業:戦士Ⅰ
能力:棒術経験値向上E、棒威力向上E、重打F
技能:棒術Ⅰ、投擲術Ⅰ
加護:なし
装備:×牛引き鋤、麻の服、木皮の靴




