第32淡 対スライムその28
「ふんぬっ!」
ドガンッ
「フシュー……。」
相も変わらずスモールイエロースライム相手に経験値を稼ぐ毎日である。
前回レベルアップしてから3日経過しており、倒したスモールイエロースライムからすると、いつまたレベルが上がってもおかしくない。
また、朝イチのスモールイエロースライム2匹との戦闘要領も確立出来てきている。
フォーストコンタクトの際、連発される火球に対して、樹の陰に入る等、落ち着いてやり過ごせば、あとは好きに料理するだけだ。
ただ、事後を見据えた時にスモールイエロースライムの上位種、おそらくイエロースライムになると思うが、そのイエロースライムへの切り替え時期について俺は、頭を悩ませていた。
「……スモールイエロースライムになってから、段違いに危険度が上がってる事を考えると……多少、非効率になってもしっかりレベル上げをしてからが案パイなんだよな~。」
あとはその線引きをどうするかである。
どのくらいのステータスまで上げればいいのか?
ゴブリンなんかは、たまたま見かける事が出来たため、そのステータスを掴めており、どこまで上げるべきか見積もりを立てられた。
しかし、イエロースライムがどんなステータスなのか不明である。
火球も大きくなる、又は撃てる数が多くなるとか、何らかの変化があるだろうしね。
「……ん~、そういえば、火で思い出したけど、来週は、火祭りだったよな……。」
そこで、火というワードに1週間ちょっとに迫っているカルベリオ村上げての祭事の存在を思い出す。
村の中ではそれなりにホットな話題のようだったのだが、いかんせん3歳児の俺は、蚊帳の外であったため、完全にその事が頭から抜けていた。
しかし、こういう祭事となるとほぼ全員参加が田舎の習い。
俺もこの時ばかりはある程度の夜更かしを許されて……というか大人が楽しんでるので放置されて遅くまで起きている事になる。
去年なんて酔っ払って池に飛び込んだ村人が…………ん?
火祭りの記憶を辿っていた所で、重大な事に気付く俺。
「待てよ?っという事は……火祭りの会場って…………池の近くじゃんっ!!」
村から南東側、調整池の手前は、過去に伐採されたのか大きな樹も生えておらず、30m✖30m程の空き地になっているため、火祭りや秋の収穫祭で使われているのだ。
ちなみに村のビッグイベントとしては、もう1つ牛追い祭りがあるのだが、それは調整池近くの空き地ではなく牧場の方で開催される。
牛追い祭りの開催時期としては7月の初旬~中旬くらいの感覚だから、
火祭りから、牛追い祭りまでそんなに間を空かずして実施される感じだ。
話が逸れたが、とりあえず、火祭り対策が今の急務である事が発覚する。
「このままいったら、スライムホイホイ1号機の存在がバレちゃうよな~。
万が一、火球がぶっ放されたりしたら目も当てられないし。
……どうする俺。」
スライムを誘導する溝やガイドとして立てている枝等は、火祭りの会場から直接は見えないが、酔っ払った村人が近寄ってくる可能性も十分にある。
そして、人知れず埋め戻すとすれば、近日中に動物を象った篝火台を組み立てに村人が来るため、すぐ取り掛からねばならない。
「折角作ったのに……埋め戻さなくちゃいけなくなるとは……トホホ。」
俺は、2日間かけて泣く泣く1号機を潰すのであった。
その間、レベルは上がったりしたけど、レベルアップの喜びより、この2ヶ月半世話になったスライムホイホイとの別れの辛さが当然上回る。
全俺が泣いたね……。
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主人公のステータス
名前:アルベルト=ガルシア
種族:人
性別:オス
年齢:3歳
身長:97cm
体重:15kg
出身地:カルベリオ村
所属:なし
業:-1
徳:-2
Lv:32
状態:正常
体力:23/23
魔力:4/4
筋力:17
反応:12
耐久:13(➕1)
持久:12
※( )内は、前話からの変化値
職業:戦士Ⅰ
能力:棒術経験値向上E、棒威力向上E、重打F
技能:棒術Ⅰ、投擲術Ⅰ
加護:なし
装備:×牛引き鋤、麻の服、木皮の靴




