第30淡 対スライムその26
「これよりスライムホイホイ2号機、編成完結式を実施します。」
パチパチパチ……
拍手しているのは、もちろん俺一人である。
スライムホイホイ2号機構想を発案&工事開始から1週間。
予定していた工期で、スライム溜まりが1号機より1段多い5段からなる2号機が完成していた。
力が上がっているとは言え、1番下の段は2.5mも掘り下げないといけないため、結構、骨が折れた。
ちなみに1号機はこんな感じ……
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\_△ |
↑ \_△ |
小緑 ↑ \_△ |
中緑 ↑ \_|
大緑 ↑
小黄~
※△は堰、緑はグリーンスライム類の溜まり場、黄はイエロースライム類の溜まり場、大中小はそれぞれスライムの大きさ。
で、2号機はこんな感じ……
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\_△ |
↑ \_△ |
中緑 ↑ \_△ |
大緑 ↑ \_△ |
小緑 ↑ \_|
中黄 ↑
大黄~
「この先行投資が実ってくれれば、万々歳なんだけどな~。」
冒頭に述べた編成完結式とやらも口上のみである。
俺は、棒術や生活魔法の練成に移行する。
イエロースライムの発生までは、7~8時間かかるため、それまで待たなければならないのである。
とりあえず、いつもより早めに集合保育所を抜け出してきたので、今は7時前。
今日中にはスモールイエロースライムとエンカウント出来るはずだ。
「おっ、岩陰でグリーンスライム発生……からの……樹の枝ガイドに従って……オーケイ、スライムホイホイに入った♪」
小一時間くらいは、ちゃんとスライムホイホイが機能してるか確認しながらであったが、問題ないようだった。
あとは、鍛練に集中するのみだ。
前回のレベルアップで魔力が3→4になったのだが、これまで能力を使用してきた結果、重打は、魔力を約1消費する事が分かっている。
そのため、1度の戦闘や鍛練で使うのは、魔力が枯渇しないよう保険込みで2発を限度としている。
また、魔力の回復速度は、1時間で全体の2割程度が回復する。
つまり5時間あれば魔力は、全快するのだ。
一方、体力はというと、まだこれといってダメージを受けた経験がないので、それなりに疑問がある。
例えば、怪我について。
通常攻撃によりダメージを受ければ当然、その部分を怪我するはずだが、
その怪我と体力とが、どうリンクしているのか?
普通の打ち身、擦り傷、斬り傷辺りなら段階的に酷いものになっていくからイメージできるが、骨折とか損失とか部分的なダメージがどう数値として体力に反映されるのかといった事だ。
「……村の誰かが骨折した時にでもこっそり鑑定してみよっと。」
不謹慎だが、少しそれを期待しておく事にする。
そんなこんなで、午後に入り2時間強。
スライムホイホイ2号機には、グリーンスライムが6匹とビッググリーンスライムが6匹が溜まっている。
そこに新たに湧いたグリーンスライムが合流すると、連鎖的に合体をしてスモールイエロースライム1匹となった。
「何かを得るためには何かを失わなければならない的な質量保存の法則を完璧に無視してるな……流石異世界、ビバファンタジー。」
ボゥッ……ボゥッ……
呑気に感想を述べる俺に飛んでくる火球。
しかも、連続して2発。
「甘いっ!……甘ぁ~いっ!!」
俺は、鋤の柄で1発目の火球を逸らすと、2発目の火球に対しては、鋤を横に振るって掻き消す。
「お返しに……まさかり投法じゃいっ!」
それから、スモールイエロースライムに投石を3発程お見舞い。
最後に打ち下ろしの重打を喰らわせる。
ドゴンッ
「フシュー……。」
スモールイエロースライムは、火球を打ち尽くしてしまっていたため、為す術もなく俺の攻撃を受け、撃沈していった。
「俺の……勝ちだっ!」
俺は、拳を上げて、高らかに勝利を宣言する。
これでスライムホイホイ2号機も完璧に運用開始出来るだろう。
「今のでレベルアップしたっぽいけど……明日から、存分に戦って経験値を稼いでくぞ♪」
チラリとステータスを確認した後は、時刻的にもう戻らなくてはならない。
足取り軽く帰る中、明日以降もジャンジャンとスライム叩いていこうと思う俺であった。
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主人公のステータス
名前:アルベルト=ガルシア
種族:人
性別:オス
年齢:3歳
身長:97cm
体重:15kg
出身地:カルベリオ村
所属:なし
業:-1
徳:-2
Lv:30
状態:正常
体力:23/23(➕1)
魔力:4/4
筋力:16
反応:12
耐久:12
持久:12
※( )内は、前話からの変化値
職業:戦士Ⅰ
能力:棒術経験値向上E、棒威力向上E、重打F
技能:棒術Ⅰ、投擲術Ⅰ
加護:なし
装備:×牛引き鋤、麻の服、木皮の靴




