第29淡 対スライムその25
タッタッタ……。
息が上がらない程度の速度で小走りする俺。
今は、調整池の北東の角付近を池沿いに南方向へ進んでいる。
その角までは北側は、人の手が入った所謂、林が続いているが、角から東側は、人の手が入っていない鬱蒼とした森が広がっている。
つまり、こんな感じ……
村林林林森
丘○ 俺森
丘 ■↓森
丘 森
丘丘丘丘森
※■は調整池、○はスライムホイホイ。
俺は、南に向かっているので、進行方向に対して右側に池、左側に森という感じだ。
「今の所、何も出てこないな……出るとしたら、もう少し先に魔素が溜まってそうな場所があるけど、そこくらいか……。」
今まで経験値稼ぎをしていたスライムホイホイがある場所の調度対岸、調整池の南東辺りに岩が森側に入り組んでいる地点があり、その付近に目星を付けていたのである。
結局、そのまま目星とした地点に到着、岩陰から森方向に入り込んでる場所を注意深く覗き込む。
……グリーンスライムが居た。
鑑定してみても
種族:グリーンスライム
状態:正常
体力:9/9
魔力:3/3
筋力:3
反応:2
耐久:8
持久:5
……うん、間違いないね。
たった2ヶ月程前ではあるが、最初にグリーンスライムを見て驚いたのも今や昔。
現在は、ふ~ん( ´_ゝ`)という感想しかない。
「……そこまで期待していたわけじゃないけど、正直、ビミョーだな。」
そこで、樹の影からウニョウニョと這い出てくる魔物を視認。
……グリーンスライムが居た。
もう1匹グリーンスライムが出てきたのである。
あれっと思い、そのまま観察を続けていると、この近辺に4~5匹のグリーンスライムが居ることが判明した。
「これは……もう少し離れた所にスライム溜まりを作れば……。」
第1号機であるスライムホイホイに続くどころか、それより高効率な2号機が作れる可能性があるのだ。
俺は、早速、地形偵察を行って2号機となるスライムホイホイ適地を探し始める。
程なくして、池が入り込んだ場所から、20mくらい北側に戻った森の中に適地を発見した。
つまりこんな感じ……
村林林林森
丘① 森
丘 ■ 森
丘 ②森
丘丘丘丘森
※■は調整池、①はスライムホイホイ1号機、②は2号機。
「うん、過去に人の手を入れようとしたのか少し森の中では開けてるし、ここに決定♪」
手早く地面に完成図を描いたら、後は、穴掘り作業に移るだけだ。
ただ、どうせ今日掘り始めても、作業出来る時間も少ない上、完成には1週間近くかかりそうである。
そのため、とりあえず今は、どれだけ効率的に経験値を稼げるか、グリーンスライムの湧く頻度を確かめるのが得策だろう。
「どっせいっ!」
そうなるとするのは、グリーンスライムの七面鳥打ちである。
投石などすることなく、いきなりの打ち込み。
ドガンッ
お~、重打を使わずとも一発撃破だ。
調子にのって振りかぶりながら、移動すると次々とグリーンスライムに打ち下ろしの一撃を見舞っていく。
ドガンッ……ドガンッ……ドガンッ……
途中、水球をくらって上半身がびしょ濡れにはなったが、一気にグリーンスライムを駆逐する事に成功した。
そうして、グリーンスライムを一掃したら、今度は、スライムホイホイ同様、湧くポイントを探索して、樹の枝でスライムを誘導するためのガイドを作っていく作業だ。
「……空気とか水の流れが滞ってそうな場所は……。」
……10分後、俺が覗き込んだ岩のすぐ裏手にグリーンスライムが発生する。
「重打っ!」
空かさず熟練度上げがてらに能力を使って退治。
「うんうん、この湧き具合なら、計算上1日3匹はスモールイエロースライムが発生する……なかなか良い経験値稼ぎの場になりそうだな。」
完成時には、1号機と合わせて1日計4匹のスモールイエロースライムが発生するはずである。
そうなる事を夢想し、期待に胸を弾ませた俺は、翌日から1週間かけてスライムホイホイの2号機掘りに勤しむのであった。
あっ、一応、その間、また1つレベルが上がったよ♪
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主人公のステータス
名前:アルベルト=ガルシア
種族:人
性別:オス
年齢:3歳
身長:97cm
体重:15kg
出身地:カルベリオ村
所属:なし
業:-1
徳:-2
Lv:29
状態:正常
体力:22/22
魔力:4/4(➕1)
筋力:16
反応:12
耐久:12
持久:12
※( )内は、前話からの変化値
職業:戦士Ⅰ
能力:棒術経験値向上E、棒威力向上E、重打F
技能:棒術Ⅰ、投擲術Ⅰ
加護:なし
装備:×牛引き鋤、麻の服、木皮の靴




