第2淡 対モグラ
『洗礼の儀』を先取りしてから1週間、樹の幹を叩いて鍛練しているつもりだが、一向にレベルが上がらない。
一応、技能の欄に棒術が追加されたが0=見習いの腕前。
毎日、カルロス爺さんの所に言って確認するのも億劫だなっと思ったいたら、心の中で『ステータスオープン』と思えばいつでも見れる事が分かってから、小まめに見ているのだが、さっぱりである。
「何か条件でもあるのか?……」
思い悩みはするが、周りの大人、普通の村人とかがせいぜいLv20程度という事を考えると、そう簡単には上がらないものなのかとも思う。
「なかなかゲームのようにサクサクは上がらないもんだな。」
少し落胆しながらも、朝方から早速、子守りのガキンチョことアントニオ8歳を丸め込んで、村外れに鍛練に出かけた。
レベルは上がらないものの、50㎝程の木の棒の取り扱いにも、結構慣れてきている。
「全然、レベルが上がらないけど身体を目一杯動かす事自体は、気分が良いな…………んっ?地面が何か盛り上がってる?」
10分くらい樹の幹を好きに叩いて一汗かいた後、休憩しようと腰を下ろしていたところ、目の前の地面何ヵ所かがポコポコ盛り上がったのだ。
5㎝にも満たない盛り上がりだが、得体が知れない。
俺は、立ち上がって何が出てきても良いように木の棒を構える。
「キュウ!」
そんな俺の盲点、足元から跳び出してくる茶色い影。
「おわっ!!」
跳び退きながら、反射的に木の棒を振り下ろす。
ドカッ
「キュ、キュウ…………。」
確かな手応えはあったのだが、確認する暇もなく、他の盛り上がりからも茶色い影がこちらに向かって跳び出してくる。
「うわわわわぁっ!」
身の危険を感じた俺は、力任せに木の棒を振り回した。
「キュウ……。」
「キュウ……。」
何回この得体の知れない鳴き声を聞いたのか、いつの間にか影の跳び出しもなくなったようで、辺りには静けさが戻っていた。
「ハァハァ……な、なんだったんだ…………あ、モグラ?」
息を切らしながら地面に視線を落とすと、体長10㎝くらいのモグラが10匹近く倒れていた。
残念ながら、俺の渾身の一撃により、その命は天に召されてしまったようで、ピクリとも動かない。
冷や汗を拭いながらも、こんな時のためにとカルロス爺さんの所から、パクって……いや、一時借用してきた鑑定単眼鏡を通してモグラを見てみる。
種族:ジャンプモール
状態:死亡
体力:0/1
魔力:0/1
筋力:0.2
反応:4
耐久:0.1
持久:4
「ジャンプモール……跳びモグラか。そのまんまじゃだな。
でも、一丁前に魔力を持ってるし、反応や持久力は、俺より高いのか……もしかしたら、飛び出した勢いのまま体当たりされてたらヤバかったかも?」
俺は、鑑定単眼鏡に出た結果をしげしげと眺めながら、冷静に分析する。
「モグラがあんな風に飛び出してくるのは普通に考えておかしい……という事は、この0になってる魔力を使ってあんな跳躍力を見せたに違いない。
うんうん、命の危険を前にしてやったのだから、俺の行為は正当防衛、緊急避難にあたるだろう。」
分析というよりは、自分が図らずも奪ってしまった命に対する言い訳作りが主目的であったが…………。
しばらく自分は悪くないという自分自身に対する理論武装をしていたが、元来そこまで深刻に考えるタイプではないため、気持ちを切り替えにかかる俺。
「しかし、よく考えてみたら、これってこの異世界に来て初めての戦闘って事になるな。
相手は単なる動物なのか魔物なのか微妙な所だけど……はてさてその経験値は…………ステータスオープン。」
名前:アルベルト=ガルシア
種族:人
性別:オス
年齢:3歳
身長:96cm
体重:15kg
出身地:カルベリオ村
所属:なし
業:0
徳:0
Lv:1
状態:正常
体力:2/2
魔力:0/0
筋力:1
反応:3
耐久:1
持久:1
職業:戦士0
能力:棒術経験値向上F、棒威力向上F
技能:なし
加護:なし
装備:木の棒、麻の服、木皮の靴
「ふぉ~っ!!レベル上がって、ステータスもちょっと上がってる!!」
初めてのレベルアップにテンション爆上がりな俺であった。
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主人公のステータス
名前:アルベルト=ガルシア
種族:人
性別:オス
年齢:3歳
身長:96cm
体重:15kg
出身地:カルベリオ村
所属:なし
業:0
徳:0
Lv:1
状態:正常
体力:2/2(➕1)
魔力:0/0
筋力:1(➕0.5)
反応:3
耐久:1
持久:1
職業:戦士0
能力:棒術経験値向上F、棒威力向上F
技能:棒術0
加護:なし
装備:木の棒、麻の服、木皮の靴