第16淡 対スライムその12
スライムホイホイ改が完成した翌日、俺は、いつも通りお守りのガキンチョを言いくるめた後、いそいそと調整池に出勤していた。
「とりあえず、ビッグちゃんはいるかな~…………おお、居た居たっ!」
森の際からスライムホイホイ改を覗き込むとそこには、
ビッググリーンスライムが1匹に
グリーンスライムが4匹、
スモールグリーンスライムが3匹
ぷよぷよと身体を震わせていた。
震わせていたといっても、恐怖を感じてとかではない。
常にそういう動きをしてるやつらだからね。
それはさておき、どう倒していくかだが、まずビッグちゃんことビッググリーンスライムは、待ち焦がれてた存在なのでマスト。
グリーンスライムの方は既に4匹居るのだから、7匹集まるのを待って、ビッググリーンスライムに合体させてからの方が経験値的にオイシイだろう。
計算上、午後中にはビッググリーンスライムになってくれるはずだしね。
「……あとは、スライムを溜めてる間、モグラやらをしばいたり、鍛練したりって感じか。
このパターンで過ごすのは初めてだから、バテないようきペース配分に注意しないとだな~。」
俺は、今日一日の予定を立てながら、投擲用の石を集める。
ビッググリーンスライムに当てるのに調度良い位置に集積するのだ。
そんな不穏な状況を感じ取ったのか、はたまた気まぐれなのかスライム達が逐次、大小の水球を飛ばしてくるが、気を付けていれば、パッと樹の陰に入って避ける事が出来た。
……コントロールは良いんだけど、水球の飛んでくるスピードは、肩慣らしとかに投げる山なりボールくらいだし、誘導機能があるわけでもないから、まあ当たらないわな。
「っと危ない危ない、いきなりびしょ濡れになる所だった……。」
ビッググリーンスライムの水球には、結構大きいので毎度肝を冷やすけどね。
手頃な石の集積が終わると、早速、投擲開始だ。
昨日、スコップの使用頻度を上げる事も検討したが、安全には替えがたいって事で、
結局、倒し方は前回と全く一緒だ。
「ピッチャー振りかぶって第1球を投げましたっ!」
単調作業は、わりかし好きだが、楽しみを作らない理由もないので、ごっこ遊びをしながら投石する俺。
端から見て、スライムに投げてるという状況を除けば幼児の行動として微笑ましい光景かもしれない。
中身はおっさんだけどね……。
「こっちの世界にも野球ってあるんかな?
全体的な文化レベルはまだ推し量れてないけど、前世でもボールを何かに当てたりして競う系のスポーツとかって結構起源が古かった気がする。」
そんなこんなで、2回裏まで両チーム分の投球をごっこ遊びした所で、グリーンスライムより一回り小さいくらいのスコップで倒し頃と言えるサイズに削れたので、近接攻撃に移行する。
「Ураааааааа!!(ウラーー)」
傾斜を駆け降りがけに、振りかぶりからの渾身の一撃。
そこから連続の面打ちだ。
剣道経験は、中高生の頃にちょっと体育でやった程度だけどね。
素人剣法なので、10発近くかかったが、それでも触手に掴まえられる前にビッググリーンスライムを撃破。
「せ~の、ビクトリィィーッ!」
俺は、調子良く勝鬨を上げた。
……独りだと少し虚しい感じもするが……得てして成功者は孤独なものだ、気にしない!
気持ちを切り換えた俺は、少し休憩を取った後、今度は森の際をぷらぷらと歩いてモグラ叩きゲームに勤しむ。
「流石にビッグちゃんでも1匹倒しただけじゃ、レベルは上がらなくなってきたな……。」
そんな事を思案しながら午前中、半ば散歩状態を楽しむと、午後からスライムホイホイ改でしばし待機。
そこまで長く待たずして、グリーンスライムが合体。
ビッググリーンスライムのお出ましである。
投石の後、ウラー突撃でこれを粉砕。
本日中にこれ以上ビッググリーンスライムとはエンカウント出来ないので狩りは終了だ。
まあ、ビッググリーンスライムを2匹も倒せばレベルも上がっているしね。
「ステータスオープンっと…………今回は、体力アップにブーストかかってきてる感じがするけど……う~ん、まだ棒術の方のレベルは上がらないか……」
今日は、小まめにステータスを確認していなかったので、ちょっと期待していたのに……残念。
「移動してる間とかにもスコップの振り方を練習するかな~」
頭をぽりぽり掻きながら、家路につく俺であった……。
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主人公のステータス
名前:アルベルト=ガルシア
種族:人
性別:オス
年齢:3歳
身長:96cm
体重:15kg
出身地:カルベリオ村
所属:なし
業:-1
徳:-2
Lv:16
状態:正常
体力:13/13(➕2)
魔力:2/2
筋力:12
反応:8(➕1)
耐久:8
持久:8(➕1)
※( )内は、前話からの変化値
職業:戦士0
能力:棒術経験値向上F、棒威力向上F
技能:棒術0、投擲術I
加護:なし
装備:溝堀りスコップ、麻の服、木皮の靴




