第2話 最強の男
火曜日からテスト。頑張ります。
失明という可能性が頭を巡るほどの光明。音も風も衝撃もない光の大爆発に見舞われ、私たちは目を固く閉じた。
──暑い。
突如、である。本当に、突如。何の前触れもなく、快適な室内だったはずの大聖堂ではなく、暑い風と気温を感じた。ゆっくりと目を開ける。
「…………さ、砂漠?」
見開いた視界に広がっていたのは、見渡す限り無数の砂の山。照りつける悪魔的太陽。よく聞く話ではあるが、日本の暑さはジメジメした湿気を伴う暑さ。比べて気温の高い砂漠地方の暑さはカラッとした乾いた暑さ。故に砂漠を行く者は皆揃って長袖を着るものだが、残念ながら私は今半袖。というか藍蘭高校の夏服。
スカートは風にめくれるし紫外線で焼かれそうだし、年頃の女子が居るべき場所ではない。
……というか。服装や紫外線なんて今はどうでもいい。
私はなぜ、ここにいる? さっきまで大聖堂にいたはずなのに。瑞樹っちの身に何か起こって、そして……ここにいる。不思議というよりは不気味。
「だ、誰かいませんかー?」
見渡しても誰1人いないことはわかっているが、一応呼びかける。案の定、反応はなく、吹き荒んだ砂混じりの風に声は攫われた。
あのミミルという町にいて、私たちは住む場所も食べ物もお金もない、と。そう言って困っていたけれど、いやいや、そんなレベルではない。砂漠である。それも、時折サボテンやら背の低い草やらが生えた砂漠ではなく、極端に砂しかない砂漠である。
サハラ砂漠ってこんな感じかな、なんて思った。ちなみに『サハラ』という言葉には既に砂漠という意味が含まれるので、サハラ砂漠という名前は実質、砂漠砂漠である。
どうでもいい。目が乾く。砂を見るだけで喉が乾く。死ぬる。
私以外のみんなも、こうしてどこかにいるのだろうか? バラバラになってしまったのかもしれない。人の心配なんてできる状況ではないけれど。
「えっと、砂漠にも、オアシスだっけ、なんか水があったはず」
目指せオアシス。今も揺れる地平線の先にキラキラと光る湖が見えるが、あれは蜃気楼だろう。それくらいは知っている。
しかし命を捨てたようなものだ。何も持たず砂漠のど真ん中に立つなんて。変態のらんらんならば、おしっこ飲んだら永遠に水に困らないとか言いそうだけど、冗談言ってる余裕もない。
とりあえず歩く。立ち止まるのが1番ダメな気がした。
──30分ほど経っただろうか。何かの迷路に迷い込んだかのように、延々と変わらない景色を進み、靴の中の砂が気にならなくなってきた頃。足元の砂が、少し震えているのを感じた。
心なしか、立ち並ぶ砂丘も崩れかけてきたように思える。気のせいではない。
陽光を反射して眩しい砂を見つめる。砂の下に何かいる? 何だろう、温泉でも湧いたのだろうか。今は温泉より冷水を浴びたいけれど。
なんて、気楽に考えた、その時。
──ヴゥォオオオオオッッ……!
腹の底に響くような唸り声。足元から聞こえたそれに転びそうになる私の目の前の砂が、盛り上がっていく。そして、砂の膜を破るように。
「な、なに!?」
空を割るような雄叫びと共に、砂の地面から、大きな顎門が現れた。
舞い散る砂の粒。肌を刺す太陽。逆光で影を落とす巨大な何か。その影に私が入る。見下ろす顔を見て、咄嗟に口に出す。
「ト、トカゲ?」
蜥蜴。そうとしか思えないようで、しかし違うとも思えたのは、やはりその巨大さ。体躯は鎧のような鱗に覆われ、龍と言われても信じてしまいそうな姿。
砂の色に同化するような、汚れた白っぽい全身と、赤く光る瞳。可愛く言うならば『赤い目の白いトカゲ』。怖く言うならば『血色の目の白い悪魔』。というか化け物か怪物の類。
生き物が住める環境とは思えない過酷な砂漠にも、やはり多くの生物が生息しているらしいが、しかしこんな規格外のがいるなんてありえない。なるほど、確かにこの世界は現実ではないらしい。
鎌首をもたげたそれに、一気に汗が噴き出す。そりゃ勿論この暑さ、汗は多少かいていたが、そういうのではない。ファンタジーなどに造詣が深くない私でもわかる。こういうのは、ボスキャラとして登場するパターンのやつだ!
チロチロッと真っ赤な細い舌が覗く。私を見ている。なるほど、嗅覚が鋭いのか何となく現れたら私がいたのかは知らないが、食べちゃうつもりだなこいつ。
最悪だ! まだらんらんに出会えていないのに。こんな時に考えることじゃないけれど、らんらんが紗江っちと同じベッドで寝て、あと一歩のところまでいったって話は未だにモヤモヤする!
私だって見せられるような身体をしていないし、というか完全な幼児体型だし、そっちの知識も豊富なわけではない。最後は性的描写に辿り着く少女漫画もあまり読んでこなかった。でもでもらんらんとなら、そういうことになっても良いかなって思ってたのに。
清い体のまま死ぬのは、なんか悔しい。下品な女だと思われるかもだけど、死ぬまでに一度くらいヤっておきたい。
改めて言うが、こんな時に考えることではない!
「ちょ、食べないで! 私胸小さいからぁー!」
最大のコンプレックスも、こんな状況でならサラッと口に出せる。私は胸──もとい肉がないから、食べても物足りないだろう。まぁ食べても食べても太りづらい体質なのは、自慢なんだけども。滅茶苦茶優越感を感じているけども。
──砂を踏みしめ、空を切る。運動は得意な方だし、特に足は速い私だが、砂の上となると話は別。というか巨大な蜥蜴に追いかけられているとなればさらに話は別の別。
足裏が痛い。飲み込む唾も品切れの今、その巨躯を転がすだけで私を殺せてしまいそうな蜥蜴から逃げられる可能性は、限りなくゼロに近い。
そして、盛大に転ぶ。足が砂にとられ、思わず顔からいった。口と目に入る砂に悶え苦しむ。これはきつい。目の前に死が迫っていることを差し置いてもこれはきつい。
涙で砂が流れ、濡れた睫毛の隙間から響く足音の主を見上げた。
「…………詰んだ!」
冷静ではない。恐怖と焦り、疲労、渇き。限界を超えた精神が白眼をむいた。
大きく開かれた口。覗く牙。垂れ落ちる唾液。真っ赤な口内が血を求めて蠢いて見える。
死にますか? それとも死にますか? 脳内に響く私の声。何だその質問。
紗江っちじゃないけれど、漏れそうだ。本当に飲んでみようかな、生きてたら。
ついに頭のネジが緩んだ瞬間、私周辺の砂ごと飲み込む勢いで、白い蜥蜴の真っ赤な口が、逆光を浴びて落ちてきた──
「──ご馳走だな」
熱い。暑いではない、熱い。紫外線に焼かれるレベルではなく、こんがり焦げてしまいそうな熱さ。鮮やかなオレンジ色に染まる視界。飛び散る火の粉が陽を浴びて流れ星みたく振り落ちる。
白い蜥蜴が、小さく喉を鳴らして、暴れ回る。巨躯を砂に擦り付け、その全身を覆う熱さを取り除こうとする。が、しかし。
炎は、輝きを増す。焔色の竜巻が、砂漠の空を貫いた。
咲き乱れた炎の花びらが散って、熱さが暑さに変わる。
吹き通る熱風も今は涼しく、汗で張り付いた髪の毛の不快感すら忘れた。
「お前──違うか……ただの餓鬼か」
「あ、あの!」
私を餓鬼呼ばわりして、背を向けてしまった男に声をかける。スカートの砂を払って、追いかけた。
「助けてくれて、ありがとうございます」
「昼飯を食べるだけで感謝されるとは、さすがはこの俺だな」
「……そ、そうですね。えっと、あの、私は紀伊です! 桜坂紀伊!」
突然の自己紹介に眉ひとつ動かさない男は、その筋骨隆々な身体を私に向けた。
「この俺を誰だか知ってて話しかけてるのか?」
「いえ、知りませんけど……」
「そんなわけないだろうが! この俺だぞ! この俺、龍皇フロガ様に歯向かうと──」
話の途中。不意に視界が歪み、目も覚めてしまうほどの頭痛を感じながら、しかし寝入るように意識が途絶えた。
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鼻腔に沁みる香りに目が覚めた。若干の頭痛と、体のだるさはさておいて、この匂いは?
「起きたか」
「……んむぅ? ここは……あ、何これ、美味しそう」
ゆっくりと顔をあげれば、そこにはこんがりと焼けた肉の山。皿代わりに敷かれた白い皮を見て、先ほどの白い蜥蜴を思い出した。
横を見ると、両手に持った肉を頬張る男の姿。座っていても、立てば2メートル近い身長なのだとはわかった。短く、雑に切られた赤い髪。少しだけ日に焼けた肌。シワの多い顔。
50歳くらい、だろうか。だがその肉体は、若者のそれを遥かに凌駕した筋肉の塊。黒い革ジャンがはち切れそうだ。というか砂漠で革ジャンってどうなの?
「えっと、あの。おはようございます」
「おう」
「…………それ、私も食べていいですか」
「ダメだ」
「そんな……」
「まず水を飲んでからだ。胃がびっくりしちまう」
「なるほど」
肉の山の向こう側には、私が追い求めたオアシスらしき水たまり。申し訳程度に生えた草が囲う水たまりが、太陽を映す。
小走りで向かい、手ですくって飲む。久しく濡れた喉が歓喜の産声をあげ、気絶するほどの幸福感に身が震えた。こんな美味しい水は飲んだことがないが、今回はこれがメインディッシュではない。豪速で振り向いて、肉の山に手を突っ込んだ。
「良い食べっぷりだな、女の餓鬼のくせに」
「んもっ、ん。ぐぅ、はぁ……はむぅっ! じゅる!」
「きったねぇな」
「うまぁぁぁああああいッ!」
人生で1番大きな声が出た気がする。油まみれの口元を油まみれの手で拭い、溢れそうな涙を堪えて空に叫んだ。
──食べ終わる。限界まで空腹だった私もさることながら、フロガっておじさんも恐ろしい量を食べ散らかしていた。
「あの、改めて、ありがとうございます。本当に死んじゃうところでした」
「よかったな偶然この俺が通りかかって」
「偶然通りかかるような場所ではないと思うけど……とにかくありがとうフロガおじさん」
「おじさん……お前本当にこの俺のことを知らないのか?」
「龍皇……とか言ってたけど、もしかして痛い人?」
「違う。世界で最強の男という意味だ。この俺のようにな」
「いたい」
「潰すぞ」
こめかみをゴリゴリされて泣きわめくと、ため息まじりにフロガおじさんは言う。
「この俺はもう200歳を超えてる。それだけで大体わかるだろう、この俺が最強だと」
「じゃあフロガおじいちゃんだね」
「生意気な女だな」
「ごめん、でも安心しちゃって。私、気がついたらここにいて、死にそうで、ずっと不安だったから」
「……まぁ、いいが」
赤い短髪の頭をボリボリ掻いて、バツの悪そうな顔で呟いた、フロガのおじいちゃん。まさかの200歳。今更嘘だとは思わない。この世界は普通じゃないし、何より、さっきの白蜥蜴を1人でステーキ肉にしちゃったのを思い返せば、龍皇とやらが最強というのも信じられる気がする。
しかし若い。200歳には見えない。50歳か、40代後半のかっこいいおじさんって感じだけども。
「おじいちゃんは、どうしてここに? これからどこに向かうの?」
「そりゃこっちのセリフだが……まぁ、この俺は、人間領ミミルに帰る途中だ」
「ええぇ!?」
立ち上がる。眉ひとつ動かさないフロガのおじいちゃんとは対照的に、興奮した面持ちで口を開いた。
「あ、あの。私もミミルって町から来て、それで、気がついたらここにいて……あの、だから」
「一緒について来たいってことか? この俺と」
「う、うん! たくさん迷惑かけちゃうと思うけど……」
「……そもそも、ここがどこかわかってんのか?」
「えっと、砂漠?」
「『サウラー砂漠』、炎蜥蜴種の領地の一部だ」
「さらま? え?」
「人間領に帰るって言っても、歩きなら半年はかかるぞ」
顎が上がらない。ぽかーんとアホみたいに開いた口が塞がらず、嫌な汗が出てくる。半年? 歩いて半年って、こんなところに電車や車があるとも思えないし、じゃあ少なくとも半年はみんなと会えないの?
もしかしたら、紗江っちや傘音っち、瑞樹っちも、私と同じくどこかに飛ばされたかもしれないけれど、私が最も遠くに来てしまった可能性も否めない。
「それに、この俺は仕事をしながら世界を歩き回ってる。最終的にはミミルに帰るとは言っても、真っ直ぐ帰るわけではない。色々な場所に立ち寄って、仕事を済まして、そして進む。この俺と行動を共にするってことは、少なくとも1年以上、ミミルには帰れないぞ」
「1年……は長いなぁ」
「砂漠の外までならついて来ても構わないが、そっから先は自分で考えて、ミミルまでの最短距離を進め」
そう言って早速歩き出したフロガのおじいちゃん。食後の休憩もほどほどに、さっき言っていた“仕事”というやつだろうか?
私もすぐについていく。大きな背中の斜め後ろに立って、フロガのおじいちゃんの顔を見上げる。
「ありがとう、おじいちゃん」
「元々こっちに行く予定だったんだ、この俺は何もしていない」
素直じゃないが、優しいのはわかる。200年も生きていれば心も広くなるのだろうか?
──そんな風に思いながら、灼熱の砂の海を歩いた。
1時間ほど歩いた頃、正面に見えて来たのは、何らかの建物。無論二階建てのビルとかそんな大層なものではない。しかし、集落や、民家の集まりと言うほどに小規模なものでもない。
人が住むにしては余計なものが多すぎる。コンクリートで固められたような建物も並ぶ。暑さ対策とは思えない。それに、こんな砂漠のど真ん中。一体なんだ?
フロガのおじいちゃんが足を止めた。
立ち並ぶ頑強な建物から、ぞろぞろと何かが現れる。目を細めてよく見ると、それはまたもや蜥蜴。しかし、先ほど私を食べようとした結果、最後には私に食べられてしまったあの“赤い目の白蜥蜴”のように巨大なわけではなく、さらに言えば、二足歩行のようだ。
顔や、鱗を見れば、人間ではないことはわかるが、言うなれば、蜥蜴人間だろうか?
「あいつらが炎蜥蜴種だ。もう少し離れたところに都市があるんだが、そこにはもっと、うじゃうじゃといる」
「あそこは村……じゃないよね。出て来たサラマンダー? さんたちも、何か武器を持ってるし……明らかに危なそう」
「敵だからな。殺しに出て来たんだろう」
「敵……?」
「ああ。この俺が、あいつらの敵だ」
言った途端、向こうから炎の弾が飛来して来た。他にも氷の刃、雷の斬撃。まるで魔法のような、エネルギー体がそのまま襲いくる。初めて見た私でもあれが危険だとはわかる。
私が必死に逃げようとするよりも早く、フロガのおじいちゃんの手から噴き出した豪炎に、迫り来るそれらは霧散した。
「じっとしてろ」
「お、おじいちゃん……」
フロガのおじいちゃんが一歩踏み出した。それだけで、離れた位置にいるサラマンダーたちが悲鳴をあげた。リーダーらしきサラマンダーに叫び散らされ、逃げようとしていたサラマンダーたちが武器を構え直す。
雄叫びをあげながら、剣や斧、槌、あるいは素手で、こちらに走り込んでくる。残ったサラマンダーたちが、再び魔法のようなものを発動する。水の竜巻が発生し、雷を伴ってフロガのおじいちゃんに向かって吹き荒ぶ。
私は、叫ぶ。逃げて、と。あまりの大群。さらには迫る魔法。死んでしまう。
しかし、白兵戦に打って出たサラマンダーたちの雄叫びに、私の声はかき消された。
悲惨な未来を想像し、思わず目を閉じる。
「お前らは食えないからな、焦げるまで燃やしてやる」
少し聞こえた声に顔を上げ、目を見開くと──。
「ぎゃぁああああッッ──!」
何十人と迫っていたサラマンダーの兵士たちが、黒く染まって行く。否、焦げている。
少し離れたここでも、熱さを十分に感じる。飛来する魔法も、接近する大群も、その全てを飲み込む一塊の炎が、昼下がりの太陽と張り合うほどの明るさを見せた。
目の前で、人が──サラマンダーというのが人かはわからないが、ともかく、死んでいく。フロガのおじいちゃんによって、殺される。
そもそも、フロガのおじいちゃんが言う“仕事”とは何だったのか。それを聞くのを忘れていたが、聞く必要はなくなった。
「こうやって、人を殺して、世界を回っているの……?」
人間の住むミミルに戻るまでに、様々な場所を回ると言っていた。その全てで、こうして多くの敵を焼き殺していく。“敵”とは言ったが、あちらとフロガのおじいちゃん、どちらが正義かなんてわからない。
何れにせよ、私がこれから、砂漠の外まで同行しようと考えていた、フロガのおじいちゃんは、素直ではない優しいおじいちゃん、ではなく。最強という言葉の意味を体現する、死の炎を司る者だった。
「──この俺は200年間、毎日毎日、こうして多くの敵を殺して来た」
建物も炎に包まれ、恐らくは軍事施設だったのだと今更に気がついたあの場所も、崩れ落ちる。声は聞こえない。誰も生き残っていないのだろう。
「そしてこれからも殺す。この俺はそのために生まれてきた。……不本意ではあるがな」
そう言って、燃え盛る軍事施設の炎の逆光を浴びて、フロガのおじいちゃんは歩き出した。また、誰かを殺しに。世界のどこかへ。
震える足を殴りつけた。ついて行っていいのだろうか。でも、ここで1人になったら生きていけない。でも、さっき人を殺していた。そしてこれからも殺すって言った。この人が正しいとは思えないけど、何か事情があるのかもしれない。
どんな事情でも、200年間、毎日のように誰かを殺してきたのが、正当化されるのだろうか。私もまた、ああやって殺されるのだろうか。
みんなと再開する前に──らんらんと、また会う前に、私も丸焦げにされてしまうのだろうか。
「急ぐぞ、砂漠の夜は寒い」
──しかし。少しだけ振り向いたフロガのおじいちゃんの顔を見て、その奥に潜む悲しさや後悔を感じた気がして…………。
「ま、待って!」
なぜが、放って置けない気がした。
彼が200年という時を経て、もし、大きな、あまりに大きな罪をその大きな背に背負っているのならば、あの背中を今、追いかける私もまた。
──同罪、だろうか。
ありがとうございました。




