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ライトノベルじゃあるまいし  作者: ASK
第ニ章【ゴブリン・パトリダ】
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第64話 Hello New World

めちゃめちゃ短いです。


 白い光。懐かしい。暖かいようで、冷んやりしてるみたいで。


 不思議と落ち着く。でもどうしてだろう、胸が苦しい。何かとても大切なものが、手の中から滑り落ちていくみたいだ。


 嫌だな。嫌だ。俺は、まだ。


 ──帰りたく、ない。




❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎





 目を開けた。少しぼやけた視界。見えた天井と照明。


 重い頭を起こす。柔らかいベッドに手をついて、座る。


 俺の部屋。パソコンとゲーム機と、山のようなライトノベル。


 まばたき。目をこすり、あくびをした。



「んぅ、アマルティア、起きたか?」



 無意識に、口をついて出た。


 すぐに口を閉じ、そして考える。


 ──アマルティアって、何だ?


 意味がわからない。アマルティア……だっけ、なんて言ったかも忘れそうだ。アニメのキャラかな、でも俺の好きなキャラにそんな名前の子はいなかったはずだけど。


 名前、だよな。誰かの。そんな気がする。頭の奥が痛い。


 考えるのはやめよう。頭が痛くなる。


 しかしそれにしても、何か、本当に大切な、何かを、失ってしまった気がするのは、何でだろう。臓器が何個か無くなったような、意味不明な喪失感に襲われるのは何でだろう。


 腐る程長い夢を見ていた気がする。それもとびきり楽しい夢。多分思い出せないけど、楽しかったのはわかる。


 しかしまぁ、いいか。わかんないこと考えても意味ないし。ラノベの新巻、残ってたかな。ゲームは飽きた。本を読もう。


 ──立ち上がる。少しふらついた。


 本棚からお気に入りのラノベを手に取る。虚ろな目でペラペラと捲る。



「あれ?」



 ページが濡れてる。大変だ、シワになっちゃう。


 ──ティッシュを取って拭く。しかし、拭いても拭いても、ページが濡れる。


 ポタリと、また雫が落ちた。



「……まじかよ」



 俺は泣いてるらしい。20歳にもなって、寝起きに泣くとかどういうことだよ。泣くほど悲しいこともないし、感動してるわけでもない。


 けど、それでも。



「何で、涙……止まんねぇのかなぁ」



 ──半笑いで呟いて、鼻をすすった。


ありがとうございました。


次から第3章。

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