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ライトノベルじゃあるまいし  作者: ASK
第ニ章【ゴブリン・パトリダ】
28/105

第1話 ゼロから始めるゴブリン生活?

はい。今日は今話で最後です。


読みに来てくださって、本当にありがとうございます。


新章ですね。第2章です!


 ──グギャアガァァァ!!


 ……ギャゴゥ?ゲェビャブギュウギ。


 ゴエギギン!アギュがァァ!!!


 ……ギュゲン?グゥゲゥンナァンガ!



 ──は?


 な、んだ、これ。


 目が……開かない。


 上手く身体が動かない、寒い、寒い。

 

 痛い、いてぇ!ちょっ、何?寒いし!



 ──グギャアガァゴゴンガゴギュ?




 ……ちょっと待って、ほんと、まって。


 とりあえず、得意の現状把握だ。……得意ではないな。


 まず、目が開かない。身体は、上手く動かせない。そして、寒い。いや、ちょっと暖かくなってきたけれど、やっぱり、まだ。


 そして先ほどからうるさい謎の奇声。ギャギャーと何を喋ってやが、る。……あれ?



 ──あぁぁ……やべぇ。なんか、眠、い、かも。しれ、な……




❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎





 ──ギャゴゲェンググルゥ?



 もう何から何まで意味わかんない、そんな声が聞こえて、俺は。とても久しぶりな気がするほどに、やっとのことで。



 ──両の眼を。見開いた。




「ギャゴゲェンググルゥ?」


「ギャ?」



 ギャゴゲェンググルゥ?と。イントネーション的には、“訊かれた”のだろう。俺は、そう訊いてきた“ヤツ”と、目が合う。


 パッチリと、その大きな瞳を見開いて、俺を覗き込む“ヤツ”と、目が合う。


 “ソイツ”は、醜く低い鼻の穴を広げて。


 恐ろしい、顔を横切る大きな口の中に、鋭い歯を。牙を。覗かせて。


 尖った耳の先を、爪の長い、痩せ細った手でいじりながら。


 切れ目の大きな瞳をキラキラさせて。


 濁った緑色の顔をグニィィと歪めて。(笑っている?)


 俺を見下ろしてい……っておおおおおおおおおおおおいいいいいいいいい!!!!!



 お、おお、おおい!こ、これって、コイツって!



 ──“ゴブリン”じゃねぇかぁあああああああああああああ!!!!!



 怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖いキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモい怖い怖いキモいキモい怖い怖いキモい怖い怖いキモい怖いキモい怖いキモい怖いキモい怖いキモい怖いキモい怖いキモいキモいキモいキモいキモい怖い怖い怖い!!


 何これ!まじで!ちょっ!あぁ!身体が上手く動かせねぇんだけど!!ねぇ!逃げさせてええ!


 なんで笑ってんの!?何こいつ!っておいおいおい!!


 もう2体きたんですけど!来るな!おい!デケェなお前ら!


 上手く喋れないから唸ることしかできないし!


 やぁめぇろぉ!!抱き上げるなよ!ふざけんな!ちょっ!下ろせぇ!!


 あああああああああああああああああああああああああああぁぁぁ……。



 気絶した。




❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎




 本日、3度目の目覚め。


 周りにあの怪物どもはいないようで、とりあえず一安心。


 頭が重くて、首が満足に動かせないので、眼球を可能な限り回して、周りを注意深く観察する。


 場所としては、部屋、だろうか。石造りの、四角形の部屋……といったところだ。


 その、言っちゃ悪いけど、ボロ部屋の。中央に俺はいる。というかかごに入れられている。


 まぁ、どう考えても、ゴブリンが建てた建造物の、その中の部屋だろうから、人間の、ビルとかを見慣れた俺が、ボロボロの部屋だと思うのは当たり前か。


 部屋の外から、ギャゴギャゴと話し声……?らしき音が聞こえる。身体が動かせたとしても脱出は難しそうだ。


 ……それにしたって。こう。


 大きいな、色々と。さっきのゴブリン達もそうだったけれど、この部屋も天井が高すぎる気がするぞ。


 そこらにある、見慣れない家具?みたいな物も、全部大きい。


 ゴブリンって確か、小さくて醜いやつじゃなかったっけ?こんな大きな造りにする必要はないはずだけれど……。



 ──と、その時。


 俺の左側にあるドアを開けて一体のゴブリンが入ってきた。


 そいつは、先ほどまでに見たゴブリン達とは比べ物にならないほど、綺麗な格好をしていた。白と赤を基調とした、ローブみたいなものを羽織っている。そのローブにも、まるで人間が作ったかのような、精巧で見事と言わざるを得ない装飾が施されていた。


 ゴブリンの顔のようにも見える刺繍が右胸のところにあって、見るからに偉そうなゴブリンだった。この近辺のおさとか、だろうか?


 おさゴブリンと一旦呼ぼう。


 長ゴブリンは、これまた初めて見たときのゴブリンの笑顔とは質が違う、まさしく“にこやか”といった笑顔で俺を覗き込み、その明るい緑褐色の肌をした手を伸ばしてきた。


 やばい、殺される?とか思ったが、表情が穏やかなのと、俺の右手を握る所作や力加減が、とても優しいものだったため、敵意や殺意は俺に対してないようだ。


 長ゴブリンは、俺の右手をゆっくり、本当に優しく握り、持ち上げて、俺の胸の前で、今一度ギュッと握りなおした。


 その時。



 ──え、あ。……え?


 長ゴブリンの、他のゴブリンとは違い、ある程度肉付きの良い手が、大切そうに包んでいる、俺の手が。


 ──緑褐色の、小さな、細い。爪の長い。


 紛れもない、“ゴブリンの手”だった。



 ──え、え?何?どゆこと?どうして俺の手はゴブリンみたいに緑色なんだ?それじゃあまるで……まるで。


 “俺がゴブリン”みたいじゃないか……。なんだよ、それ。



 怖くなってきた。心臓がうるさい。体が熱くなってきて、握られた手が震える。目が乾いてしまって、瞬きをしたいが、顔の筋肉が動かない。固まっている。全身もそうだ。動かない、動けない。


 不安か、恐怖か。もう何だかわからないけれど、言葉にならない嫌悪感が口の端から零れ落ちそうで。吐き気がする。


 脳が、現状把握をしてくれない。受け付けない。何も考えられない状態で、俺はただ。


 優しい眼差しの長ゴブリンを見上げて、震えていたのだった。




❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎




 おはようございます、どうも。千葉蘭です。


 ただいまですね、えー、私は。20体を超えるであろう数のゴブリンさん達に囲まれています。


 なぜかと言いますと、それは僕にもわかりません。


 突然、長ゴブリンが、“俺が入っている”かごを持ち上げて、よくわからないけどとりあえず広場というか、庭?に運びまして、そこに集まってきた20を超えるゴブリン達がやけに楽しそうに俺の顔を覗いていくんですよ。


 いやぁ、最初は怖くて怖くて。訳もわからなくてもう『堂廻目眩どうめぐりめぐらみ』というか。『戸惑面喰とまどいめんくらい』と言いますか。つまりは『ドグラ・マグラ』といった調子でして。


 しかしながら次第にゴブリン達の楽しそうな、嬉しそうな顔を見ていると不思議とこちらまでニヤニヤしてしまいまして。それを見たゴブリン達がさらに盛り上がって同調して俺も笑って、みたいな感じでもう既にゴブリンの仲間入りを果たした気分ではありますが。


 1つ、気づいたんですよね。やけに大きなゴブリン達と、建物を見ていて。


 そして俺が籠に“入れられてる”のがわかって。気づきました。


 僕、今、たぶん。


 ──ゴブリンの赤ちゃんの姿をしてます。


 ふわふわの綿わたのような物が、俺のいる籠に敷き詰められていまして、その上に寝かされてるんですけど、その扱いもそうですし、時々ゴブリン達が俺の小さな手に指を伸ばしてきまして、それをギュッと握ってやると大喜びするんです。


 もう、赤ちゃんです、完全に。


 というわけで、俺、20歳ニート千葉蘭。今日から。


 ──赤ちゃんから人生始めまーす!!



 ……あ、人じゃないから、『人生』じゃねぇや。ゴブリン生?ゴブ生?何でもいいけど、そういうことなんで、よろしくっす!




 ………。


 なんて、軽々しく言える話じゃあねぇよ……。


 どうすんだマジでこれ。意味わからん、本当に意味わからんし。


 いや、うん。もう気づいてるけどさ。これは、あれだよね?いわゆる、“2つ目の異世界”というか、“3つ目の世界”というか。



 20歳ニート千葉蘭→→→藍蘭あいらん高校生千葉蘭→→→ゴブリン千葉蘭←NEW☆



 ってことでしょ?ね?意味わかんないでしょ?


 つまるところ、あのラブコメの世界で何らかの目的を達成した俺は、一度現実世界に戻って、それでまた違う異世界に来たってことでいいのかな?


 それにしてもゴブリンってどうなの?何で雑魚ざこモンスター筆頭のゴブリンなの?前回はハーレム主人公だったのに?


 今回は主人公の経験値の肥やしということですかそうですかわかりました。


 ……いやぁ、まぁ。めっちゃ強い、史上最強のゴブリン!とか、ならまだわかるよ。ちょっとおかしいけど、まぁ主人公とは言えなくない。斜め上すぎるけどね。


 でもさ、赤ちゃんから始めるのってどうなの。さすがに、ゴブリンとして後何十年間も育たなくてはならないの?


 キツイなぁそれは。精神的に。ゴブリンに囲まれて大人ゴブリンになるまでこの世界にいるのか。……いやだなぁそれは。“慣れて”しまいそうで。


 もうちょっと違うのがあったよね。あったはずだよね。



 この“意識だけ異世界転移している現象”には、少なくとも瑞樹みずきが関わってんだよな。それじゃあ、あいつが俺をゴブリンにしたのか?嫌がらせじゃねぇか。


 何が起きてるのかわからないけれど、とりあえず盛り上がってるゴブリン達を見てたら何だかどうでもよくなってきた気がしたけれど、やっぱりそんなことねぇわ。


 俺、どうせモンスターがいる異世界に来たんなら、伝説の勇者とかになりたかったんだけど。


 百歩譲ってモンスターでも、もっとかっこいいのあったでしょ。


 はぁ……。えーっと、読者の皆さん。……あれ?読者なんていないって瑞樹が言ってたっけ?……まぁいいや。俺にとってはいるんだ。読者様が。


 てなわけで読者の皆さん。これまでの僕のラブコメ世界とは違って、中々にやばそうな世界での“物語の続き”が始まりました。


 ゴブリンが主人公とか読む気失せるわって方もいるかと思いますが。


 1番やる気失せてるの僕なんで、せめて僕の成長していく様だけでも見ていって、読んでいってください。


 当分の目標は。


 俺の別にいるであろう“主人公”に、殺されないように、強く育つ!


 これです。はい。ゴブリンらしく頑張ります。


読んでくださり、ありがとうございました!

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