トラック8 宿とジョブ!
おかしな部分があったら、教えて下さい!
タタラ場を通り過ぎると、多くの酒場の通りになっていた。多くの人が行き来をしている。大剣を装備した剣士や、ローブをきた魔導師。スーツの袖が異常に長いのが特徴のギルドの制服を着たギルド員。スーツをきた商人らしき人。人が溢れている…例えるなら、夜中の9時くらいの新橋駅前?のようだ。水着姿の女の子や、強面な男の客引きをスルーし続けると、一層大きな店の前でゲルグが立ちどまった。大きな看板には『グラン マイーザス』とネオンのように光っている店があった。建物自体は四階まであり、周りの建物よりズバ抜けてデカい。そして、ところどころ装飾がありめちゃくちゃ、派手だ....入り口の両開きが全開で、中から男女のワイワイした声が聞こえて来る。
「ここだが…二人で飲むのもな…。まあ、今夜はこれで帰るか。明日報酬を受け取りにギルドまで来いよ!それと、この酒場は泊まれるから、赤い手袋の女がいるから、宿を頼むって言えば手配してくれるぞ。さっきもらった金貨を渡せばいいぞ。それじゃあな。」
「あ、ああ。ここまで、ありがとな。ゲルグのおかげで街に来れた。」
「よせやいっ!てれちまうぜ。んじゃ、達者でな」
ゲルグと別れ中に入っていく。多くの酔っ払いがいる。70人ってところか?中は奥には小さなステージがあり、その脇にカウンターがある。たくさんの机があるがそんなもの関係ないように皆、好き勝手に飲んで騒いでいる。怒ってたり、笑ってたり。木製のジョッキを持ち肩を組んで陽気に踊っているもの。水着で猫耳をつけた若い女が歌も歌っている。
カウンターには、赤い髪色、赤いアイライン、赤い口紅、赤い手袋をした真っ赤な女がいた。羽織っている白衣には赤い竜の刺繍がしてある。インナーは胸元まで肌けた…短いスカート…。脚を組んでおり足元のヒールは脱げ、つま先でぶらぶらと遊んでいる。そして、10cmほどの長く細いタバコを吸っている。現代花魁みたいな雰囲気がする。
うわ…絶対この人だよね…ゲルグが言ってたの…。服装から見てヤブ医者?コスプレ?見た目から危なさ流し目から、儚げな美しさを感じる。
「なに?アンタ」
「あのー宿泊したいんだが……」
「ふーん……どれくらい?」
女は俺の姿を舐めるように上から見回す。しかし、表情からみて俺には興味なさそうだな…残念至極。
「な、なにか、変ですかね?……あ、ゲルグさんに言われて!」
「っ!…」
俺がゲルグと名前を出した瞬間表情が変わり、一瞬で顔が真っ赤になった。え?なにこの子…わかりやすっ!!
…?
…///
「ゲ、ゲルグは?…」
「さっきまで、一緒にいたんですけど…帰りましたよ?」
「そっか…。宿だな…っおい。」
女がカウンターの中で、お酒を注いでいたバーテンダーらしき男を呼ぶ。
バーテンダーはゆったりと、しているが移動自体は結構速いな。
「こいつは、大事なお客さんだ。ちゃんともてなしてやんな。」
「かしこまりました。」
バーテンダーは、女に一礼する。すると、女は興味がなくなったように再びタバコを吸い始めた。バーテンダーは、頭を下げたまま一歩下がり、礼を戻す。
しっかりしてる人だな…。バーテンダーは、俺に話しかける。
「ようこそ。お客様。お名前を伺っても?」
「ああ。俺はハジメっていう」
「はい。ハジメ様ですね。私はこの店のバーテンダーをしておりますポーレスです。本日は宿泊で?」
「ええ。その予定なんだが...ちなみに、金貨1枚で泊まれるか?」
「ええ。お泊まりになれますよ。金貨1枚といいますと一ヶ月ということで?」
「うーん…なら、一ヶ月で頼む。」
「では、これを…」
バーテンダーのポーレスは、ポケットから真っ黒な鍵を取り出し、俺に渡してくる
「それは、お客様のお部屋の鍵になっています。五階の505です。五階の方は、Xクラスなので、お食事はいつでもご利用いただけます。一階は酒場兼食堂となっています。二階は賭博場となっていますので、ぜひ遊んでいってください。三階から五階まではお客様のお部屋になっております。お風呂は、六階でいつでもご利用いただけます。上の階は、あちらの移動箱をご利用ください。」
おお!異世界だから、てっきりお湯だけかと思ったがお風呂があるそうだ!てか、ホテルと変わらないな。二階にカジノか〜まあ、多分行かないと思う。
「わかりました。ありがとうございます。」
「ハジメ様は、商業の方で?」
「いや?冒険者だが…見えないか?」
そういうと、ポーレスはオーバに頭をさげる。
「申し訳ございません!そのようなつもりでいったことでは…」
「見えないとは自覚してる。でも、違うなら、なぜ?」
「冒険者の方にしては、言葉使いが丁寧ですし…まだ、ジョブになっていないようですし…」
「言葉使いは丁寧な気はないんだが…。それとジョブ?とは?」
言葉使いが丁寧か?…まあ、異世界だからすこし差があるのかな?てか、これで丁寧だったら冒険者ってどんだけ口悪いんだよ!
それと、ジョブ…仕事?職種?
すると、いきなりポーレスが袖をまくった。すると、腕には鮮やかな菊に赤い盃の入れ墨がある。
「これが、ジョブ『バーテンダー』の証の「長月」です。それぞれジョブにつけばそのジョブのスキルを得られやすいですが、ジョブ以外のスキルは手に入れにくくなります。私のバーテンダーのスキルに『会話観察』というものがありまして…たまにですが、話している人の情報がわかるんです」
袖を元に戻しながら、答えてくれた。なんか、便利そうだな…ジョブか…どうやるんだろ?…
「確かにジョブは就ていない。ジョブってどこで、就けるんだ?」
「知らないのですか?…ジョブが就いていない場合、ステータス画面を触れば強制的に決まりますよ」
「ステータs」
ぐうぅううう…
お腹がなった…。お腹が鳴るほどの空腹だったとは…。ポーレスさんをみると、とても笑顔だ。その笑顔が僕を苦しめるんですよ…
「ふふふ。お腹が減っているようですね。少し作りますので、お待ち下さい」
そう言うと、ポーレスさんはカウンターで、料理を始めた。しかも、客との注文を完璧に熟しながら…最強だ!店員の鏡だな…!
って、感心してるばあいじゃない!ジョブか…試してみるか!ステータスを開く…
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名前 ハジメ オトノ
年齢 18歳
種族 人間
体力 100/100
魔力 150/150
精神力100/100
Nスキル 鑑定
Sスキル iGOD
称号 音楽神の加護
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おお!ジョブは就てなかったな…
恐る恐るステータスをタップする。すると、ステータス画面が若干歪んだと思うと、すぐに元に戻った。
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名前 ハジメ オトノ
年齢 18歳
種族 人間
職種 音楽家Lv1
体力 100/100
魔力 150/150
精神力100/100
Nスキル 鑑定 スピーカー召喚 楽器演奏 楽器作成 音感
Sスキル iGOD
称号 音楽神の加護
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おお!つけたみたいだ!でも…音楽家か…やっぱ音楽神の加護の影響かな?
スキル欄に新しく四つ増えてるな。鑑定を使い新たなスキルの詳細を見る。
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スピーカー召喚
大きさ形を自在にスピーカーを召喚できる。スピーカーは魔力を使い音なら、なんでも流すことができる。
楽器演奏
楽器なら、どんな種類も演奏できる。
楽器作成
楽器を作成できる。他に調律もできる。
音感
音の高低・音色などを聞き分ける能力。
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うわーー!微妙…なにこれ?いじめですか?…
新たなスキルの微妙さにショックを受けていると、ポーレスさんが料理を持ってきてくれた。パスタのようだ…見た目は…ナポリタン?
「これは、大昔に勇者が考案した食べ物です。おいしいので、食べてみてください」
「ああ。ありがたい」
勇者?…気にはなるが、食欲に従いナポリタンを食べてみた。うん。ナポリタンだね…やっと、ちゃんとしたものが食べられた…
「それで、どうでした?ジョブは?」
「『音楽家』っていうジョブだった。なにか知ってるか?」
「『音楽家』…ですか?私もこの店で40年カウンターに立ち多くの冒険者のジョブを聞いてきましたが…聞いたことはありませんね。やはり、音楽に関するものですか?」
「うーむ…『楽器演奏』とかいうスキルがあるし、音楽だな〜」
「今度、冒険者ギルドの書庫でジョブ図鑑で調べてみてください。わかったら、ぜひ教えてくださいね。」
「わかりました…ありがとうございます」
「せっかくですし、あちらのステージで『楽器演奏』してみてくださいよ。」
ポーレスさんは、横のステージを指差す。今ステージでは、水着に猫耳の若い女が独唱している。その前には酔っ払いが、掛け声をかけている。どこのアイドルだよ…
すぐに振り返り、拒否する!
「い、いや、俺楽器持っていないぞ?」
あんなところで、こんな人数前に演奏とか無理無理!
「裏に、種類がありますからお選びください。リカ!」
さっきまでステージで歌っていた水着に猫耳の若い女が駆けてくる。
「なんですか??」
「この方がは、楽器が演奏できるそうだ。最近は吟遊詩人や楽団もこないからお前も寂しいだろ。だから、今夜はこの方の演奏に合わせて歌ってみなさい。」
「え!ほんとですか!!やったぁ!初めまして!先ずは、私からかな?私はリカ!転生者で、歌の神の加護をもってまーす!」
え?転生者??まじか…チートなのかな…この子も…
「お、俺はハジメだ。よろしく」
俺の自己紹介をきいた若い女は驚いた表情になる。
「ま、まさか!君も転移者なの!?ねぇねぇ!転移者でしょ!」
距離を縮めてくるリカ。近くでみると、短く揃えられた髪に、大きな瞳。笑みから見える八重歯…かわいい…や、やめろ…露出が多すぎるんだから…照れるだろ!!!顔と顔が重なりそうなほど近く、いや、息がわかるレベルの近さだ。
すぐさま顔をそらしながら答える
「ま、まあ…そうなるかな!さ、さて!ステージに行こう!聞きたいことはあると思うけど終わったらでいいかな?」
「むー…わっかた…。私も早く歌いたいし!はやくいこ!」
一瞬で離れると、すぐに俺の手を握ってステージに引っ張っていく…