トラック7 サカヤキ国入国とギルド登録!
しばらくモンスターとも遭遇せず歩いていると、森が抜けて巨大な湖が広がっていた。湖の中央に巨大な木製の木で作られた人工的な島が見えた。島は、巨大な木の壁が囲まれており、先端は鋭く削られている。高さからみて外から入るのは無理だな…その木の壁からは敵見櫓に警鐘まで見える。そして、その島には一本の橋が架けられて、その吊り橋からのみ、建物を行き来できるようになっているようだ。ゲルグは、建造物を指差しながら説明をしてくれる。
「あそこがサカヤキ国だ。鍛治が盛んな国で、ドワーフなら一度は夢見る国さ。国を囲んでいる湖はCからAランクの魔物…俺たちは怪魚っつてんだが、そいつらがいるおかげで、船で攻め込まれても安心だし、陸とつながってるのは、あの入り口の橋だけだから、橋を落とせば安心だ」
「だが、橋を落としたら自分たちで水攻めしてるんじゃないのか?」
「ああ、だが元々この国は橋なんてなかった閉鎖的な国だったのさ。だから、ちゃんと農業区もあるし肉とかなら怪魚から取れるから十分なのさ。それに国に入れるのは紹介状を持つものだけだし、商人も国には入らず橋で受け渡しがされるほどだ。だから、攻めることなんかできない」
「そうか…そんな厳しいのに、俺は入国できんのか?」
「安心しろ。俺がなんとかしてやる」
豪快に笑いながら、俺の背中を叩いてくる。痛くはないが、オーガを持っているのでバランスを崩す…
「そうか…。そうだ、鍛冶が盛んなら、武器が欲しいな。さすがに、小枝じゃ限度もある」
「なにアンタ。武器欲しいの?」
すると、隣を歩いていたアレスが微妙に距離を取りつつ話掛けてくる。警戒されてるようだ…答えようと口を開くとすぐゲルグが割り込んできた。
「す、すまないな。アレスの親父は異国の鍛治師でな」
「そうか。なら、アレスの親父さんに剣でも作ってもらうかな」
無駄話をしながら進み、吊り橋を渡を渡った国の入り口の門にまで来た。お寺のような門で、おおきな龍の彫刻が入っている。門の上には男ふたりが立っているのがわかる。てか、オーガがデカすぎて上を見れない…『達人の旋律』のおかげで気配に敏感になっているので気づいた。お、男たちも気づいたようだ。
「な、なんだそれは!!」
「おーい!俺だ!ゲルグだ!アレスもイーナもいるぞ!!」
「おお!そうか!それはなんだ?黒いものが動いているが…」
上から見れば、俺の姿はオーガの巨体に隠れる…。
「ハジメ!それを下ろして顔を見せてやれ」
俺は、オーガをそっと下ろし、男達の方に姿を見せる。上を見ると、毛皮装備のおっさんが立っていた。
「そいつは、何者だ?」
「仲間だ!身元は保証するから、通してくれ!」
すると、門番の一人が消えると同時に門がゆっくりと開いていく。門は二重構造になっており一枚はシャッターのように上に、二枚目はエレベーターのように左右に分かれた。
「よし!ただ、今日中にギルドに言って身分証を作らないとな」
下ろしたオーガの巨体を担ぎ直し、門を通る三人についていく。
「なあ、ゲルグ。厚かましいが作るまで手伝ってくれないか?」
「当たり前だ!」
門を通って気づいたんだが、この門は両脇からロープを引いて開けるタイプだった。ムキムキなおっさんが、門を閉めている。人力かよっ!
門をくぐるとすぐ、商店が連なっており、たくさんの人が行き来をしていた。米を量り売るところや、肉を売ってるところなど様々だ。閉鎖的な国と説明されてたので人も少ないかと思ったが結構多いな…
通行人はみな動きを止め俺を見ている。おそらく…おそらく、オーガの屍体か、屍体を担いでいる俺を驚いているのだろう。
しばらく、歩いていると商店も終わり目の前に大きな建物が見えてきた。窓の数から、4階建だとおもう。頭一つ飛びぬけているな…
「見えたぞ!あそこが、冒険者ギルドだ。あ、そいつは買取だったな。それじゃ、俺についてきてくれ。アレスとイーナは先にギルドに入ってギルド長を呼んでおけ。」
二人は頷くと、建物に入っていった。すると、ゲルグが歩き始めたので後に続いくとギルドの裏手についた。裏手は空き地のように草が生えているが、黒い線で24に区切られている。ゲルグはその区切りの一番奥で止まった。
「ここにおいてくれ。あ、はみ出すなよ」
24と書かれた区画にオーガの屍体を置くと、地面から黒い円柱が伸びる。ゲルグが慣れた手つきで円柱の面をみて何かを確認しているようだ。
「こっちに来い。ここに右手を乗せてみろ」
ゲルグが言う通り、円柱の面に右手をそっと載せると、手の甲に24という黒い数字が浮かび上がった。
「もういいぞ。これは、この区画の所有者の証だ。この区画は盗難防止になる。所有者とギルド解体組以外がこの区画に入ると忽ちどっかに強制転移させられる。」
円柱から手を離すとゲルグがすでに歩いていたので、追いかける。ギルドの裏手の扉から中に入る。ギルドの中は見た目と真逆で大理石の床や机があり天井にはシャンデリアがあった。見渡すと、ゲルグのような装備をしたおっさんたちが、集まっていた。しかし、多くの人数がいるにも、かかわらずとても静かで、全員がこちらを見てくる。気まずい雰囲気の中進んでいくゲルグについていくと、丁度ギルドのカウンターの脇の階段からアレスとイーナが降りてきた。二人の後ろにはハゲで無精髭の和服をきたおっさんが降りてきた。
「おお!ゲルグ。久しいな。それで、オーガを倒したガキとは…?」
「ギルド長。忙しい中すいません。こいつです。名はハジメです。」
俺はギルド長と呼ばれたおっさんのスタータスを鑑定を使い覗いてみる
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名前 ピオ=ノバール
年齢 53歳
種族 人間
職種 筆頭冒険者lv7 ギルド長lv9
体力 6400/6400
魔力 4300/4300
精神力5000/5000
Nスキル
剣術8 双剣術8 体術8 筋力増加8
Sスキル
精神統一
称号
ギルド長
ヤツハの右腕
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なんてチートなんだ…。ステータスがぶっ壊れてる……
「そうか。ふむふむ…こいつか?。」
「ええ。見た目じゃわからないでしょ。ギルド長、ギルドカードの発行を頼みたいのですが」
「ああ。わかった。オーガ殺しだ…俺が承る。さて、小僧。俺はこの国のギルド長をやってるピオ=ノバールてんだ。よろしくな。」
「ハジメです。よろしくお願します。」
「おう。んじゃ、ついてこい」
ピオはそのまま歩いていくのでついていくと、降りてきた階段の隣の受付に座らされた。ピオは、ぐるっと回り、向かい合う形になった。慣れた手つきで、机のしたから銀のティッシュボックスようなものを取り出した。テイッシュボックスの表面には手のイラスト描かれている。
「この、図の線を越えないように右手を置いてみろ。」
ピオに言われた通りティッシュボックスに手を置くと、一瞬光ったと思うとすぐに消えた。
「もういいぞ。少し待ってろ…」
すると、テッシュボックスが横からスライドし、黒いカードが一枚出てきた。ピオはカードをとり、カードを確認すると俺に渡してくる。
「発行完了だ。これを無くすと、金貨一枚で再発行だ。なくすなよ?。ギルドについて説明するか?」
「ええ!お願いします。」
「まず、ギルドってのはたくさん種類があるんだが、代表的なのは冒険者ギルド、商業ギルド、ってとこだな。ここじゃあ、一階が冒険者ギルド。二階が商業ギルド。三階は、高ランク冒険者・300枚以上の黒金貨の取引ができる商会長。と、貴族のギルドだ。四階は、ギルド員の宿舎になっている。まあ、オーガを殺す奴だから二階はかんけーねぇか!がははは!」
「そんなことは、ないですよ…多分?」
「そうか?まあ、商業ギルドに用があるなら商業ギルド長にいけ。説明に戻るが、冒険者ギルドはモンスター討伐や、素材収集など、そーゆうのを、『クエスト』って呼ぶんだが、それを斡旋してる。まあ、いろいろあるがそのうちわかるだろ。それとギルドはランク制でな。昇格。降格はギルドで決める。ランクアップは試験があるぞー。ランクはF〜SSだ。クエストは、そこのボードを見て受付にいえ。普段は、俺みたいなおっさんじゃなく、可愛い子がいるから。最後にきちんと、完了報告も失敗報告もきちんとしろ。以上だ。質問は?」
「今のところはないですね…。」
「そうか。んじゃ、ほらっ」
ピオはポケットから金色のコインを4枚投げてきた。見事にキャッチしコインを見てみると二つの頭の鷲が二体描かれていた。
「これは?」
「金貨だ。査定はあそらく明日になるだろ。それに、お前文無しだろ?宿と飯に使え。明日の昼ごろもう一度ここに顔をだせ。」
「な、なぜ文無しとばれたんだ…」
「服を見ればわかるっつーの!それと、服が血だらけで臭いから服も買い直せ。一枚でじゅうぶんだろ。」
「ありがとうございます。それじゃ、また明日…」
そう言って席から立ち後ろの方で立ていた三人の元に向かう。ゲルグは腕を組んで頷いている。
二人は、すでにダイヤモンドタートルなどの換金を済ませたみたいだ。
「よかったな。よし!オススメの宿があるから連れていってやる!な?」
ゲルグがそのまま、俺の肩を組んで二人の少女を見るが…少女二人は、乗り気ではないようだ。
「私は、家に帰る。ハジメ。絶対に買いに来なさいよ」
「私も。お父さん待ってるし」
少女二人がそのままギルドを出て行ったので、ゲルグと一緒にギルドを出る。今度は商店街の方ではなく、別の道を進んでいく。すると、ギルドより高く、広い大きな建物があり、中から赤橙の光が見と大量の煙・熱気が伝わってきた。
「なあ、ゲルグ。あれはなんだ?」
「ああ。タタラ場だな。今はタタラドワーフの仕事が忙しいから今はダメだな。朝の7時から8時までなら見学できるぞ。明日にでも言ってみろ。ドワーフは豪快な連中だから安心しろ。しかし、道具には決して触るなよ。職人気質だから、ブチ切れるぞ。あ、そうそう。タタラの中には火の精霊王が住んでるって迷信がある。まあ、見たことないからただの伝説だがな」
「わかった。明日は観光がてらに見て回るさ」