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セントラルーツで会議が行われた翌日。メルヴィル気鋭軍が外出を控えるようにという警報を流したため、都市にはいつものような活気はない。
そんな中、比較的高い建造物の屋上にレイジは寝転んでいた。
「暇だなぁ……」
聖女様からラウルの補助をしろとの命令を受けたが、実際はラウルが悪魔を見つけ出すまでの間は待機しておけと言っているようなものだった。
一緒に行動するはずだったジルの姿は見当たらない。大方、行きつけのバーで酔いつぶれているだろう。
「どうしようかな…………そうだ。ちょっとアソコに行ってみるか」
何かを思いついたようにレイジは起き上がり、屋上をあとにした。
☆☆☆
メルヴィル中心街の一角。かなり年期のはいったバーの中で、ジルはレイジの予想に反して酔いつぶれてはいなかった。
カウンターの上に広げられているのは都市の地図と、軍から借りてきたここ十年分の悪魔に関する資料だった。
地図にはいくつもの赤い印が書かれていた。
「……あの図体で隠れるとしたら場所は限られるはずだけどな……」
路地裏にいた悪魔の姿を思い出しながら、ジルは考えられる潜伏場所を予想する。
☆☆☆
軍によって外出が規制されているとはいえ、一部の人間は外を出歩いてる。
タルト・ルーベンスもその一人である。彼の仕事は警察として、外を彷徨いている人に帰宅するよう呼び掛けることだった。
そんな彼が巡回ルートを歩いていると、古い公園に人が立っていた。ぼろぼろな服を着た痩せこけた男だった。
浮浪者か?と思ったタルトは職務を全うするために空を虚ろな目で見上げる男に近づいた。
「そこの君、現在は厳戒注意警報が発令されている。速やかに帰宅しなさい」
タルトの呼び掛けに反応した男は赤い瞳を輝かせて、口を大きく開いた。
「う、うわあああああああああああっ!!!!」