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「ガナリアス副将軍。現状報告を」


  聖女様に名を呼ばれ、今まで沈黙していた軍服姿の中年男が答える。


「はっ。現在、都市内に潜伏している悪魔は昨日にメルヴィルに侵入した悪魔と同時刻に侵入したために発見が遅れたものと思われます。そして、ジル・エリクトンによって発見され、討伐されるはずだったのですが………」


  そこまで言うと、ガナリアスは侮蔑の目でジルを睨んだ。


「その男の体調が優れなかったのと使用する銀属武器の不備とが重なりあってしまったために取り逃がしてしまいました」


  ―――うわぁ、露骨に嫌味を言ってる……

 レイジはガナリアス副将軍の言葉でさらに肩を落としているジルを見た。当人の顔にも反省の色が出ているようだ。


「現在は我らメルヴィル気鋭軍が都市内を隅々まで捜索しております。見つかるのも時間の問題―――」


「ちょっといいカ」


  都市内に潜伏している悪魔について説明を続けるガナリアスの言葉をラウルが途切れさせた。

 話を途中で止められたガナリアスは怪訝な表情でラウルを見た。


「なんだね。まだ、話の途中なのだが」


「すまなイ。ただひとつだけ言わせてもらうと、あんたらのやり方だと犠牲者が増えるだけダ」


「なっ!?」


  軍の活躍を無駄と言ってるのようなラウルの言葉にガナリアスは絶句した。そして、顔を真っ赤にして怒りを露にした。


「貴様、自分が言ってる意味がわかっているのか!!」


  ラウルの言葉を侮辱と受け取ったガナリアスが剣帯から素早い動きで剣を抜き出そうと柄を握った。


「ちょっと待てよ」


  しかし、剣は剣帯から抜かれることはなかった。

  ガナリアスの手は柄を握っていたが、その手を上からジルの手が押さえていた。ガナリアスは力を込めて剣を抜こうとしたが、ピクリとも動かない。

 その様子を見た聖女様は呆れ顔で告げた。


「ガナリアス副将軍。大人しく剣を離しなさい。ジル・エリクトンもその辺で手を離してやりなさい」


「くっ、承知しました」


「へいへい。わかりましたよ」


  全く、と聖女様が呟きラウルに向かって言う。


「ラウル。あなたにも言い方というものがあるでしょう。以後は気をつけるように。では、話の続きを教えてください」


「はイ。副将軍になったばかりのあんたは知らないかもしれないガ、俺の鼻は悪魔とそうじゃないやつとを嗅ぎ分けることが出来ル。これだったら悪魔がどこに隠れているか一発で分かル。だからここは俺に任せてくレ」


  ラウルの言葉を聞き終わったあと、ガナリアスはしばらく悩んだが、渋々といった様子で首を縦に振った。


「では、悪魔の探索についてはラウルに任せます。レイジとジルはその補助を。ガナリアス、軍はラウルたちの連絡があるまで待機。それと、都市民には出来るだけ外出を控えるようと伝えてください」


「「「「はっ!」」」」




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