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  ゴーンゴーンゴーンゴーン――――。


  悪魔が空を飛ぶのを待っていたように鐘が鳴る。


「鐘が鳴りましたね。準備はよろしいですね」


『こちら、トラバス。配置に着きました。どうぞ』


「僕はいつでも行けます」


  レイジは横にいる聖女様を見た。

  そこには、普段はセントラルーツにいるはずの人物がいた。長い銀髪が窓から差し込む月の光を受けて光輝いて、この上ないほど妖艶な雰囲気を醸し出していた。

  聖女様は目の前にある150センチほどの棒に近づいた。


「さぁ、始めましょう。神への祈りを」


  その言葉を合図にレイジたちがいる都市最古の建造物、塔のドーム上の屋根がゆっくりと開いていく。

  真上には満月が現れ、嫌な気配の混じった風が頬を通過した。


『いきますよ』


  トラバスの言葉と共に音楽が流れ始める。彼の役割は塔内部にあるパイプオルガンの調律と演奏。

  前奏が始まり、音が都市に広がる。

  聖女様は大きく息を吸い、目の前にある支柱。マイクスタンドの先端に取り付けられたマイクに向かって歌い始めた。


「~~~~~♪♪♪」


  通常の人間には絶対に出せることのない音。この歌声が彼女を十代にして都市の最高権力者へと担ぎ上げた。この歌声が彼女から平民としての生活を取り上げ、鎖に繋がれたような人生を押し付けた。

  けれど、彼女は歌う。まるで、神に祈るかのように。


「顕現せよ《聖剣》」


  変化は現れた。レイジの手にした古ぼけた銀の十字架は、光の粒子になるとレイジの背中に集まった。

  肩甲骨から伸びる光は徐々に形を固定して、おとぎ話に出てくる妖精の翅が生えた。


「《守護者(ガーディアン)》レイジ。行きます」


  曲に合わせるように翅を震わせ、レイジは夜の空へと飛翔する。



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