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「おらおらおらおら!!弾切れするとか考えんなよクソ悪魔ぁ!!」
ジルの持つ《封殺の銃》、《滅却の銃》等の銃器系統の銀武器は二種類の弾丸を撃ち出すことができる。
一つは銀で作られた弾丸。
もう一つは使用者の魔力を弾丸の形に形成して放つ弾丸。
前者と違って後者は使用者の魔力の消費が早い、狙い通りに当たらない等の点がある。
しかし、ジルには生まれつき突出した魔力量を持っており、更には『絶対命中』の異名を持つ能力がある。
ジルは《滅却の銃》を一度ホルスターに納め、右目の眼帯を引き剥がした。
そこにあるのは異形の瞳。悪魔の持つ瞳よりも更に赤い真紅の瞳。高位悪魔の右目。
「従え《蠅王の魔眼》」
ホルスターから《滅却の銃》を取り出し、構え、撃つ。
反対の手で持った《封殺の銃》でも撃つ。
「顕現せよ《断絶の銃》・《逆鱗の銃》」
両手に持った銃を真上に放り投げ、新しく増えた銃で撃つ。撃った銃を投げ、落ちてきた二丁で撃つ。
撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ――――!!
「ギャアアアアアアアアアアアアッ!!」
ほぼ無限に等しい弾丸の雨が悪魔に襲いかかる。魔眼の力は空間認識能力の限界突破。そして敵のウィークポイントの発見。その力によって正確無慈悲に撃ち込まれた銃撃に、悲鳴を上げながら悪魔は後退りを始めた。
ジルの弾丸は一発一発が悪魔に致命傷を与えるほどではないが、確実に、確かにダメージを蓄積させている。
(ったく、どうして俺の力は見た目ほどハデじゃなくてこうも地味なのかねぇ………)
しみじみと思いながら、ジルは撃ち続ける。自分の役割はある程度まで悪魔を弱らせること。
「ガアッ!」
状況打破のために力づくで弾丸の雨を一払いし、悪魔は背中の翼を広げる。薄い皮膜を震わせ、巨体がゆっくりと宙に浮く。
その高度がどんどん高くなり、ジルの百発百中の射程距離を離れてく。
「さて、俺の仕事はここら辺までだな。後はアイツに任せるか」
眼帯をつけ直し、銃を元の銀アクセサリーに戻すと、鐘の鳴る音が聞こえた。