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  レイジが炎に包まれたのを見て、悪魔は笑っていた。邪魔者がいなくなれば、後は左腕で持っている少女を喰らうのみ。

  雄叫びをあげながら、気を失ったリナリィを悪魔が喰らった。

  ―――喰らったつもりだった。


「グゥ?」


  人間の少女を喰らうために開けた口には何も入っていなかった。代わりに悪魔の左手首から先が無くなっている。


「ギャオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」


  遅れ来た痛覚に悪魔が悲鳴をあげた。


「よォ。からだの一部が無くなるのはどんな気分だダ?まぁ、普通に痛そうだナ」


  いつの間にか、悪魔の目の前に何かがいた。人間のようなシルエットで人間ではないそれは人狼だった。

  そして、その腕には悪魔の左手首とその手に握られた少女があった。


「ガアッ!!」


  ラウルを敵と見定めた悪魔が飛びかかってきた。

  しかし、ラウルは余裕の笑みを浮かべて動く気配がない。何故なら、もう一人の伏兵が彼をサポートするからである。


「顕現せよ《滅却の銃》」


  悪魔の後頭部に数発の銀の弾丸が命中し、その動きが止まった。


「間に合ったか?」


「少しタイミングが遅かったゾ」


「仕方ねぇじゃないか。誰かさんが気絶しかけてて拾うのに手間取ったんだよ」


「すみませんでした」


  黒銃を持ったジルの横には、服の所々が焼け焦げたレイジが立っていた。


「気にするなよ。流石に幼なじみが捕まっていちゃな。まったく、すみにおけない野郎だな」


「レイジ。オレが戦闘中の名誉ある負傷ってことにしてるから、その減らず口の舌を切り落とセ」


「わかりました。痛みは一瞬ですから覚悟してください」


  割りと本気の目を向けられてジルは焦った。


「ちょっと待てお前ら!まだ戦闘が終わってないだろ‼︎」


「それもそうですね。では、悪魔を倒した後に」


「だナ」


「………マジかよ」


  悲愴な面持ちでジルは照準を合わせた。

  悪魔は新しく増えた二人を含む三人の内、誰から攻撃すればいいのか迷っているようだった。


「悪く思うなよ悪魔ちゃん。最初から飛ばしていくぜ。―――顕現せよ《封殺の銃》」


  ジルの左手に一丁の黒銃が現れた。左右の手に黒光りする銃を持ち、ジルは躊躇なく引き金を引いた。


「おらおらおらおら!!」


  悪魔の注意をひいてる内にレイジはラウルに指示をだす。


「ラウルさん。今の内にリナリィを安全な場所まで連れていってください」


「それは構わんが、お前はどうするつもりダ?」


「僕は、アレを使います」


「ふっ、本気だナ。わかっタ。彼女はオレが責任を持って運ブ。思う存分ヤレ」


  そう言って、悪魔の手からリナリィを引き剥がしたラウルは彼女を抱えて戦場を後にした。

  その姿が見えなくなったのを確認して、レイジはジルの猛攻を受けている悪魔に向き直った。


「ここからは手加減なしだ。全力で行かせてもらう!!」




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