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「どうするよアレ。結構ジリ貧じゃないのか」
「今はまだ動かない方がいいだろウ」
ジルとラウルの二人は、レイジと悪魔の戦いを見ていた。
現状としてはレイジが押しているが、悪魔を倒すための決定的な攻撃ができないようだった。
「リナリィちゃんが捕まってるからだな」
「ふン。いつものあいつなら、人質ごと悪魔を斬り落としてもおかしくないんだがナ」
「幼なじみが捕まってんだ。そんなことをレイジが出来るわけないだろう。あぁ~、めんどくさいけど手伝いますか」
「仕方がないナ」
二人がそんな会話をしているのも知らずに、レイジは戦っていた。
悪魔の攻撃をかわしながら、受け流しているが、攻撃に移ることが難しい。
(こんな状況で本気を出したらリナリィにも衝撃がいってしまう。何か、戦局を変えるような手を考えないと……)
打開策を考えていたため、レイジは悪魔の口から火花が飛び散るのに気づくのが遅れた。
「―――っ!?」
しまった!?と言うことも出来ない内に、発射された炎球はレイジに襲いかかった。
とっさに体を捻ったが、左腕に攻撃がかすり、激痛によって呻き声が出た。
悪魔はその隙を逃さんとばかりに無数の炎球を吐き出してきた。
「くっ……」
体内の魔力を薄い膜のように体に纏わせて攻撃を防ごうとするが、流石にダメージをゼロにすることはできないなと思った。ヘタすれば死ぬ。
直後、レイジの視界は赤一色に包まれた。