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戦いの火蓋が切られ、狭い店の中で戦闘が行われることになった。
「グルルルルルルルル」
右脇にリナリィを抱えた悪魔は、レイジを叩き潰そうと腕を振り落としてくる。
「くっ………」
攻撃を剣で逸らそうと考えたレイジだったが、狭い店内ではそれができないため、剣の腹で受け止めた。
しかし、人間を食糧にして進化を経た悪魔の力は強く、レイジは壁を突き破る形で後方に押し流された。
「この強さ……流石にレベル3を相手に力任せの戦いをしても勝ち目がないな」
悪魔はレイジの開けた穴を無視して、壁を破壊して外に出た。暗い店内とは違い、月明かりのある外に出ると、悪魔はさらに大きく見える。
レイジはリナリィを助け出すために悪魔の右側に瞬時に回り込む。
その速度についていけていない悪魔の右腕を切り落とそうと剣を振るが、硬い表皮に弾かれる。
「くそっ」
悪態をつきながらもレイジは次の攻撃に移る。
斬れないのならばもっと一撃の威力を上げる。
一度で斬れないなら、何度でも。
意識を戦いに集中させる。思考は加速され、呼吸も落ち着いてくる。
「グルルル…」
鬱陶しそうに唸る悪魔は、リナリィを持った腕だけは使わずに左腕のみを使って戦うが、少しずつ苛立ちが募りはじめている。このままでは、いつリナリィが握り潰されてもおかしくはない。
焦る気持ちを抑えながらレイジはさらに意識を加速させる。