弐話 レイヤード・サマー 上月司箸 電撃文庫
久々(?)の投稿です
うん短いな
とある日の放課後、寮へ戻る最中の道、慶輔は肩に下げたバッグの中から少し厚めのライトノベルを取り出し隣を歩いている香秧に手渡す。
茶色いブックカバーに包まれたそれは、簡単に一日では読めないほど厚い。
香秧「うぉう、これは読みごたえがあるわねぇ」
慶輔「あぁ。とにかくおもしれぇからよ、覚悟しろよ…」
慶輔からライトノベルを受けとった香秧はパラパラとページをめくり、中のイラストを中心に覗いていた。勿論口絵の部分もだ。
うんうんと頷き、バッグの中にそれを仕舞った。
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夕飯を済ませた香秧は早速慶輔から借りた小説を開く。口絵のイラストに目配せ、本文へとページをめくった。
一ページ程のプロローグから始まり、物語が始まる。
舞台は夏休みの中頃の登校日から始まった。
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香秧「おんどりゃ慶輔ぇぇ!」
慶輔「何事っ!!」
三日後の休日。朝食の後のコーヒーを一口飲もうとした慶輔の部屋に、扉を勢いよく開け、転がり込む香秧が現れた。
ギャグ漫画にでもありそうなリアクションをした慶輔は、カップに入ったコーヒーを一滴も垂らさずに身近のテーブルの上に乗せ、香秧をベッドの上に座らせる。
慶輔「もう一度言う。何事っ!!?」
香秧「これを可憐で純粋で健気で無垢な私に貸しといて、第一声がそれ?」
慶輔「その前に悲しく無いか、自分で可憐で純粋で健気で無垢なって」
香秧「問題Nothing!」
慶輔「よぉし感想だけでも聞かせて貰おうか」
香秧「あるぇー……これだけスルー?」
二人は低いテーブルを挟んで座り、そのテーブルの上に慶輔の貸したレイヤード・サマーを置いた。
彼女の感想を聞きながら慶輔はうんうんと時々頷く。
香秧「―――以上よ」
慶輔「よく読んだな。感心感心」
香秧に称賛の言葉を送りながら頭を撫でる慶輔。香秧は表情を緩ませ声を漏らした。
香秧「えへへ〜……」
慶輔「あれはイラスト綺麗だからなぁ。でも、内容がちょち難解だしな」
香秧「難解だった難解だった。それにしても、残酷な内容にも目が行ったよぉ」
慶輔「そだなぁ。俺としては、茜と黒瀬の行方が気になる所だが…」
香秧「あ、それに関しては私も同感。鈍感だよねぇ黒瀬って。やっぱり主人公=鈍感って流行ってるのかなぁ、ISの織斑一夏とか色々。あ、缶コーヒー御馳走様」
缶コーヒーを飲み終えた香秧の両肩に慶輔は両手を置き、目が合わさる。
真剣な慶輔の瞳に、香秧は金縛りにあったかの様に身動き一つ取ることが出来ない。
香秧の肩にかかる負荷は軽いが、それ以上に身動きが取れずにいた。そして頬を朱く染め上げてしまい、視線を逸らしたくても逸らせずにいた。
慶輔「………」
香秧「……なっ、……何よ慶輔…」
慶輔「………ドキドキした?」
香秧「………は?何、私をからかったって訳ぇ?!」
慶輔「うむ」
香秧「なろ〜!」
からかわれた香秧は満更ではない表情で慶輔にポカポカと軽い握り拳で殴る。
感想会もそろそろ終盤に入り、昼飯の時間。香秧は立ち上がり慶輔の部屋のキッチンへと歩く。
慶輔「あれ、昼飯何作ってくれるの?」
香秧「クリームシチューつくろうかなぁって」
慶輔「昼からそれ!?あ、でもポトフっぽい何かにするなよ?」
香秧「………何年アンタの弁当作ったと思って?」
慶輔「そろそろ四年目かと…………」
香秧「なぁによ、心配してるの?この本みたいに」
慶輔「半分正解半分ハズレ〜……」
香秧がキッチンに立って数分が経った。出来上がったクリームシチューの具にはブロッコリー、鶏肉、ジャガ芋等ある一種の野菜を省いていた事を見なければ見事にクリームシチューだった。
慶輔「………人参は?」
香秧「人参、入れないよ」
その後香秧の人参嫌いは慶輔によって強制的に治されたと言う。
続く
次回は……未定!?