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銀の大地-死者に会える鏡を求めて-  作者: すけろくこぞう
開幕:欠落に触れる調律
124/131

銀が鳴る

 ラガルの胸奥で、何かが軋んだ。


 肌の内側に刻まれた呪紋が、熱でも痛みでもない感覚で、目を覚ます。


 ――殺せ。


 ウラガフが踏み込むのが見えた。

 イーヴァは即座に剣を振るう。


 剣がぶつかり合う音がして、イーヴァの大剣が折れた。


「は!?」


 そんな声が聞こえたような気がする。


 即座にメフェルが杖を翳す。


「土よ、起き上がれ!」


 ティーソエルを狙った攻撃だったが、横から女が現れると、少女を抱えて飛び去った。


「|インサウラヴァレド、ヨル《助かったよ、ヨルちゃん》。」

「|エラユワイルァイオルコル?《大丈夫?》」

 

 ヨルは外套を振り払うとメフェルを睨みつける。

 何かを唸るように呟いて、その巨躯から蹴りを繰り出してきた。


 メフェルは杖で蹴りを受け止めるも、そのまま吹き飛ばされる。


 咄嗟にシーナがその体を受け止めて、砂埃が舞った。


 その間にウラガフはラガルへと詰め寄り、両者は睨み合っている。

 

「お前は選ぶ役じゃない。

 封印を“開くか閉じるか”を決める器だ。」


 一瞬、風が止まる。

 ラガルは何も言わない。

  

「私の為に宝珠の封印を解け、それで全てのことは不問にしてやる。」


「それは聞けぬ。」


 その瞬間、ラガルの胸奥で、銀が鳴った。


 痛みではない。

 声でもない。


 ――動け。


 思考より先に、身体が反応する。

 踏み出そうとした足を、彼は無理やり止めた。


 殺せと言われたなら動けた。だが“決めろ”と言われた時、彼は立てなくなった。

 選んだ瞬間、それは彼の罪になるのだ。

 

 歯を食いしばる。

 喉の奥で、獣のような音が鳴った。


「……我は」


 言葉が続かない。

 続ければ、命令に沿ってしまう。


 ウラガフは、その異変に気づいていない。

 ただ、苛立ちを強めて剣を向けているだけだ。


「どうした、コルプト。迷う理由があるのか?」


 ある。

 だが、それを言えば――。

 ラガルは視線を逸らし、氷を走らせた。

 


 

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