表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雅致(ガチ)百合学園トンデモニウム  作者: 真野魚尾
第八章 地湧降誕、魔王エムロデイの巻

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

94/102

第78話 備えあれば、それはそれで別の憂いあり

【前回のあらすじ】

美少女戦隊ペンタ☆トニカ「(きん)()(こう)ジュンセリッツ討ち取ったり!」

 獅子の断末魔とともに、傷口からおびただしい光の奔流が噴き上がる。


「魔王……エムロデイ陛下……万歳……――!」


 ジュンセリッツは天を仰ぎ、息絶えた。その亡骸(なきがら)もまた、霊質の渦となって辺りへと散ってゆく。


「手強い相手でしたわ」


 ぴあ()は唇を固く結び、魔剣を鞘に収めた。

 それを見た(まい)()も、射出済みの光弦を指先から霊体内へと引き戻す。


「終わったんだね」


『そやなぁ……――ん?』


 ウケハリが何者かの気配を感知する。(まい)()は思わず斜面の方を振り返るも、すでにその気配は彼方へと遠ざかった後だった。


『邪悪な感じはせえへんかったな。あのオバハンの気配ともちゃうし、ただの登山客かもしらんな』


鱧肉(はもにく)先輩、どうかなさいましたの?」


 声をかけてきたぴあ()に、(まい)()はひとまず確認する。


「マキナさん、なかなか出てこないね。シアティさんから連絡は来てない?」

「いえ、残念ながら。これだけの霊質をばら撒けば、すぐにでも誘われて来るものとばかり思っていましたのに」


 ぴあ()の言うとおり、これまでのマキナの行動を(かんが)みれば、霊質を大量回収できるチャンスを見逃すわけがないと思っていた。

 しかし、それもマキナがまだ異世界へ帰っていなければという前提だ。


「本当に帰っちゃったのかなぁ」

「仕方ありません。当ては外れましたが、わたくしたち美少女戦隊の力が公爵級に通用するとわかっただけでも収穫ですわ。(めい)治家(じや)さん、綾重(あやしげ)さんにも胸を張って報告できます」


 リーダーの言葉に、不哀斗(ふぁいと)とマヨミノ姉妹も同意を示す。


「これで、もしものときも(ほん)()さんを守れる自信がついたじぇ」

「ウチらも魔王に楯突く覚悟が固まったっしょ!」

「パルヴェーク様の無念、わずかでも晴らそうぞ……」


 隊士たちの士気は高い。

 少しでも(こと)()たちの負担を軽くできれば、とだけ考えていた(まい)()気圧(けお)されぎみだった。

 元より好戦的でない自覚はあるにせよ、みんなのように勇ましくはなれない申し訳のなさが(つの)る。


(私にできること……私にしかできないこと、直接戦う以外にも何かあればいいのに)


『何や(まい)()ちゃん、えらい悩んどるやないか』


 内側から語りかけるウケハリに、(まい)()は正直な気持ちを吐露する。


(もっと私なりに(こと)()ちゃんやレもんちゃんの役に立てる方法、何かないかなって思ってて)


『奇遇やな。ウチも考えとったことがあってん。万が一の切り札っちゅうやつや』


 切り札と聞いて初めは期待した(まい)()だったが、具体的な内容を知らされると後込みしてしまう。


(でも、それじゃウケハリ様は……)


『相手は魔王や。悪魔の親玉やで。どんなエゲツナイ手ぇ使(つこ)てくるかわからんさかいな。覚悟ができたら、またウチのこと呼んだってや』


 ウケハリはそう言い残すと、再び意識の下へと沈んでいった。


 ぴあ()たちが勝利に沸く中――これは他の誰でもなく、自分が決断しなければいけないこと――(まい)()は想いを胸に秘めたまま数日を過ごすことになるのだった。



  *



 同じ日の午前中、(こと)()()(なつ)と二人でレンタルスタジオに来ていた。

 来月の部内ライブへ向けた曲選考のためであったが、今はまだ(まい)()とぴあ()の姿はない。


「午後まではアタシらだけで練習するつもりでいたんだが」


 ()(なつ)がドラムをセッティングする間、(こと)()はメッセージアプリのトーク欄を確かめる。


「まぁ、ちょっと待ってろって。うちの同居人を呼んであるからよ」


 十五分ほどして、おなじみの黒ギャルと眼鏡っ娘がスタジオにやって来た。

 (めい)治家(じや)家で居候している、怒狸(どり)(あん)レもんと(ミャオ)蜜娜(ミナ)である。それぞれ菓子パンや飲み物の入ったコンビニ袋を手に()げている。


「もしかしなくても、あーしらパシられてないか?」


 現れて早々、不満を(のぞ)かせるレもんだったが、


「でも、レもんちゃんと一緒にお買い物楽しかったアルよ」

「ミナたんがこう言ってるから、今回だけは許すけどな!」


 ミナの発言が間を取りなしてくれた。とはいえ、(こと)()にとってはレもんと普段どおりのやり取りではあるのだが。


「まーた見せつけやがって……。それよりせっかく来たんだしよ、お前らもメシの前に一曲()ってかねーか?」

「何? 二人とも楽器ができるのか?」


 ()(なつ)の疑問は即刻解消される。

 レもんはハンドマイクを手に取り、ミナはギターを抱えて立ち位置についた。


「あーしはともかく、ミナたんなら結構弾けるよ」

「覚えてるのは数曲しかないアルけど……これとか」


 ミナがイントロのギターフレーズを鳴らした瞬間、()(なつ)は色めき立つ。


「この曲は……!」

「ずっと前にレもんとカラオケで歌ったっけな。いっちょ合わせてみよーぜ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ