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雅致(ガチ)百合学園トンデモニウム  作者: 真野魚尾
第六章 下剋上、虎眼パルヴェークの野望の巻

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番外編 デウス・エクス・マキナ(3)

 マキナはバーを再訪する。カウンターでは、いつものようにバーテンダーのいでたちをした『真紅』が待っていた。赤い髪の女の姿をした正体不明の悪魔だ。


「おつかれさま。五侯爵の件は無事片付いたようね」

「勿論。(こと)()クンのおかげさ」


 カウンターに用意されたグラスを、マキナは一気に(あお)った。勝利の祝杯として、前もって頼んでいたノンアルコールのカクテルだ。


「お気に入りのヒーローさんね。その子、まだ自分の正体に気づいていないのかしら」

「いや、最近母親から聞かされたらしい。全部というわけではないようだが」

「ふぅん。含みのある言い方ね。それより、お代をくださいな」


 催促を受けて、マキナは空隙(くうげき)から聖杯を取り出す。


「霊質は大分溜まったはずさ。キミになら視えるだろう?」


 カウンターに置かれたそれを、『真紅』は手に取って覗き込んだ。


「どれどれ……貴方の故郷に通じる『扉』を開くには……量にして公爵級が一体分といったところかしら」

「それはおあつらえ向きだ。そろそろ三公爵も動き出す頃だろうからね」


 三公爵はこれまでの七伯爵や五侯爵といった組織とは違い、それぞれの目的と野心を持った高位悪魔たちだ。

 互いに敵対関係にあるので、連携を取られることはまずないだろうが、単独でもパルヴェークやオーグマンを凌駕する難敵であるのは間違いない。


「それはパルヴェークから聞いた話?」

「ああ。穏健派のミントーネとやらはともかく、他の二人は彼女にとって目の上のたんこぶだったみたいだ」


 『真紅』は納得したように笑みを浮かべる。


「なるほど。いずれにしても、『扉』を開いてほしいなら、私の依頼を完遂してもらわないとね。それが私たちの結んだ契約なのだから」

「わかっているとも。魔王エムロデイは必ず倒してみせる。この地球を踏み荒らさせはしないさ。ただ……」


 言い渋った後、マキナは意を決して切り出した。


「一つ相談なんだが、報酬の前借りを頼むことになるかもしれない」

「いつから私に物を頼める立場になったのかしら?」


 表情を強張らせた『真紅』の瞳は、深淵のごとき闇を(たた)えていた。

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