あとがきに代えて(1/2)原案・キャラ語り
改めまして『雅致百合学園トンデモニウム』(以下『トンデモ』)作者の真野魚尾です。
突然ですが、本作には原案が存在します。三十年ほど前に構想した『Fäustchen』という漫画(未完)です。当時描いたネームやラフ画、設定の走り書きなどは今も手元に残っています(以下リンク画像)。
※タイトルロゴ
https://kakuyomu.jp/users/mano_uwowo/news/16818093092592526403
※ネームの一部
https://kakuyomu.jp/users/mano_uwowo/news/16818093083238016233
※琴緒&舞魚ラフ画
https://kakuyomu.jp/users/mano_uwowo/news/16818093084856653896
※琴緒ラフ画
https://kakuyomu.jp/users/mano_uwowo/news/16818093088866965821
『トンデモ』で琴緒たちがバンド活動をしたり、悪魔とバトルするのも『Fäustchen』の内容を踏襲しています。
以下では、そうした裏話も交えて『トンデモ』の登場キャラたちについて語っていきたいと思います。
【明治家 琴緒】
由来:major chord (メジャー・コード)
原案『Fäustchen』から変わらずヤンキー漫画の主人公してます。作風が作風なのでバトルには積極的でないと困るわけですが、女の子らしさを失わないよう内面描写には気を使いました。
初めからこの子には常に話の中心でいてもらおうと決めていました。恋愛・音楽・バトルが入り乱れた本作も、おかげで最後まで軸がブレずに書き通せたとの手応えを感じています。キャラが増えてくると群像劇に傾きがちですからね。
【マシエーネ・セグェンシア】(マキナ)
由来:sequence machine (シーケンサー)
魔法使いですが、攻撃術が使えてしまうと琴緒の活躍を食ってしまいかねないので、ナーフの理由付けには少し頭を捻りました(第四章番外編)。
当初は琴緒が戦う動機付けの役割にとどまってもらうつもりでしたが、作者も意図しないうちにお互いの関係性が深まっていきました。影の正ヒロインです。
【鱧肉 舞魚】
由来:harmonic minor(ハーモニック・マイナー/音階)
怠惰で自己中なダメ人間のはずが、話が進むにつれて相対的に常識人になっていった正ヒロイン。後続キャラがハジケすぎてたのがいけない。
作中では出す機会がありませんでしたが、光弦で敵を捕縛→神気爆裂する技には〈ソウル・スクィール〉という名前があります。ここで言えてスッキリしました。
【綾重 椰夏】
由来:怪しげな奴
ダジャレネーム含め原案から造形をほぼ流用しています。義眼だったのが顔の古傷に変わったぐらいです。フィジカルに恵まれている反面、メンタルはやや不安定で湿っぽいというギャップが恋愛パートでは際立ちました。
義理堅くて頼もしい、しかも主人公より強いという一見完全無欠のキャラながら、視野狭窄で若干ノンデリなところが玉にキズです。こうでもしないと格好良くなりすぎてしまうので仕方ありませんね。
【希望堂 ぴあ乃】
由来:キーボード、ピアノ
これまた直球な命名。初登場時の奇行はJ◯JOを意識したインパクト狙いでしたが、キャラが固まるにつれて違和感がなくなってしまったような。周りの目に物怖じせず、失恋しても無駄にへこまないメンタルつよつよお嬢様です。
とはいえ、魔剣を手に参戦宣言したときは作者も驚きました。想定外の行動で以降の筋書き変更を迫られたのには難儀しましたが、盛り上がったので結果オーライですね。いい意味で予定調和を引っ掻き回してくれたように思います。
【怒狸闇 レもん】
由来:Dorian mode(ドリアン旋法/音階)
初期構想では琴緒に負けた時点で退場するはずでしたが、続投に踏み切ったことで、ただ悪魔を倒すだけではない本作の方向性が定まりました。ある意味作品タイトルの生みの親です。
この子も数々のアドリブで作者の手をわずらわせてくれました。とくにクライマックス、精神世界での琴緒との対決シーンは、彼女からの熱い要望に応えて急遽書き足した事実をここで告白させていただきます。
【祈玻璃比売神】(ウケハリ)
由来:ウケ(穀物神名に付く語根)+受け張る(我が物顔で振る舞う/古語)
技芸神アメノウズメが舞魚に憑依する案を『Fäustchen』から継承。そのままでは芸がないと思い、私の他作品(和風ファンタジー)の神話体系から出張願いました。エセ関西弁は原案のキャラ設定の名残りです。
【寒富 不哀斗】
由来:subdominant(サブドミナント/下属音)
序盤の強敵として華々しく散ってもらう予定が、レもんという前例に則って生存。登場時のインパクトを逆手に取り、女児サイズに縮ませたのは悪ノリです。終盤の戦線復帰も含め、ほとんどが即興の産物だったりします。
【苗 蜜娜】(ミナ/ミナノミアル)
由来:みんなのミあるヨ
玉兎心拳のモデルは言わずもがな。悪魔と人間のハーフが並の悪魔より強いのはお約束ですね。単純な戦闘力でいえば結紗と双璧です。レもんとのカップリングや、迷子を経ての再登場は当初から想定していました。
【シアティ 獺忠野】
由来:だっちゅーの!
残念美人。戦闘力は七伯爵でもドベ2ぐらいですが、不死身という特性のおかげで敵からは容赦なくボコられ、味方からも雑に扱われる不憫な人です。最後まで踏んだり蹴ったりでした。願わくば本編後は平穏に暮らしてほしいですね。
【隕太春魔与/魅能】(マヨミノ)
由来:interval(インターバル/音程)
中盤のテコ入れとして投入。他キャラと被らない属性を付け足していったら、自然と現在の形に仕上がりました。ちなみに琴緒が果たし合いでズルしたことは後で本人から打ち明けられています。その手があったか! とむしろ感服した模様。
【伊香川 椎菜】
由来:如何わしいな
宿敵と対になる直球ネーミング。プロットでは椰夏との初戦で返り討ちに遭い即退場だったのですが、実際書き出してみたら「あっ、これ椰夏の勝ち筋ないな!」となる番狂わせ。おかげで先の展開まで書き直す羽目になりました。
余談ながら、最終決戦で椰夏を助けに乱入するアイデアもありました。もし採用していたら、エムロデイに魔人の力を吸収されて常人に戻っていたでしょうね。つまり今も……。
【哿矢 流音】(ネル部長)
由来:かなりやるね!
日常側の住人。作者的にはマキナと並んで感情移入度の高いキャラです。椰夏との関係は椎菜と対照的ですね。なんちゃって方言は尊敬する伯父を真似たものですが、一箇所だけ素の喋りに戻っているのはお気づきかと思います。
【伊瀬貝 結紗】
由来:異世界勇者
【明治家 和音】
由来:琴緒←コード=和音
『Fäustchen』を百合に翻案するにあたって、琴緒の両親を女性にしたのは決断でした。男が挟まらずに娘を設けるには錬金術しかない! ということで、琴緒もホムンクルスに。『天球音楽』の設定自体は原案から継承しています。
ちなみに『Fäustchen』での琴緒の父親は「明治屋」斉聞。今作での明治家流錬金術開祖の名前として採用しました。
(後半へ続く)




