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崩壊した日常
世の中醒めたくない夢というものがある
自分の好きな世界を見たり、友人と楽しく過ごす世界だったり、死んだはずの家族が生きていた世界だったり
だからこそ、わかってしまう
あ、これは夢なんだと
「う、うう」
僕が目を覚ますとそこは見慣れない天井だった
辺りを軽く見渡すと、そこは病院なのだと理解するのにそう時間は掛からなかった
あ、そうだ俺は確かあの戦いのあと気絶してしまったんだ
ガラガラ
と扉が開く音がした
開けたのは、白衣さんだった
「やぁ、少年目が覚めたようだね。まずはよかった」
「こちらこそ、あの時は本当にありがとうございました」
僕は平謝りをした
「いや、ヒーローとしての務めを果たしただけだよ。それに君のご家族を助けることはできなかった」
「あ、いやすまない。今のは軽率な発言だった。本当にすまない」
あ、やっぱりこの人は底抜けに優しんだな
この世界はこんなにいい人もいるのに、”あいつ”のような禍々しいものまでいるなんて
「それで、早速で悪いんだが少年の今後の話がしたい。」
「今後のはなしですか?」
「あーそうだ、とても大事な話だ」




