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始まりのアリスと銀の弾丸  作者: 遠堂 沙弥
日常の崩壊
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休息の終わり

 アリスがいない不安から情緒不安定に陥ったのか、フランが再び巨大な化け物へと変貌していったのでキーラは慌ててなだめようとする。カインに至ってはフランの巨大化した姿を目にしたことがないので、一人だけキッチンの奥に避難してから様子を窺っていた。


「一体どうなってるんだ、こいつは一体何なんだ!?」


「わかんねぇよ、そもそも『白の騎士団』の実験動物が押し込まれてる牢屋から勝手に連れ出して来たんだからな! こいつがどんな実験動物なのか、化け物の種類が何なのか何も知らねぇって!」


 全身の筋肉がうごめくようにボコボコという不快な音を発しながらフランの頭はすでに天井についてしまい、このまま暴れでもしたらボロっちい建物は跡形もなく全壊させられるかもしれないと思った時――――――。


「ただいま帰りました~~!」


 のんびりとした口調が聞こえて来る、玄関の方を振り向くとそこには美味しそうな匂いが漂う紙袋を持ったアリスとたくさんの荷物を手にしたヴァンが立っていた。そして当然部屋の真ん中で今にも暴れようとしている巨大な化け物を目にしたヴァンの顔が引きつっている、しかし巨大化したフランとアリス達の目が合ったのはほんの一瞬で――――――アリスの姿を捉えるや否や、フランは瞬間的に体が縮んでアリスの方へと無邪気に駆け寄って行った。

 フランが目を覚ましたことに安堵したアリスも笑顔になってハグなんかしている、それを遠目で見ていたカインとキーラはパニックに陥っていた自分達の姿が改めて恥ずかしいと感じて、小さく溜め息をつく。


「ちょっとちょっと~、一体何の騒ぎを起こしてたのよ! オレ様の事務所壊さないでよね、大家さんに殺されちゃう!」


 大量の荷物を持ちながら足の踏み場のない室内に入って行く姿は圧巻だった、荷物を落とすことなく・・・しかも足元のダンボール箱や雑誌の山、衣服の山などを崩すことなく無事にキーラ達の元へ辿り着くヴァン。


「別に起こしたくて起こした騒ぎじゃねぇよ」


 それ以上の説明を面倒に感じたキーラが適当に返す、不審な眼差しでキーラを見据えるがそれもアリスが収穫してきた食料の山によってうやむやにされてしまった。とりあえず全員お腹が空いていたこともあって、細かいことを後回しにまずは腹ごしらえとした。



 食事も終わり満腹になったのでこのまま一眠りしたいところであったが、勿論そういうわけにはいかなかった。ヴァンの指示でアリス達はこのまま正装に着替えた後、すぐに『紅の兄弟』の本部へ・・・その最高責任者にして『紅の兄弟』の創始者でもあるシャルルという人物に会いに行くこととなった。




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