残っている『心』
長い間お待たせしてしまい、大変申し訳ありませんでした(え? 待ってない?・苦笑)
ところどころの展開は脳内で決まっているのですが、どうにもそれを順序良く文章にする能力がまだまだなので整理するのに時間がかかってしまいました。
・・・の割に、今回ものすごく短いです。
何がどうなっているのかわからなかった。
次々と起こる事態について行けずアリスは混乱するばかりだった、空気が振動する程の咆哮を上げて怒り狂うフラン。
白目を剥き出しにして激しく唸りながら、つぎはぎだらけだった縫い目は肉体の巨大化と共に裂けて行く。
ボタボタと血が流れるもフランは自身の痛みに構うことなく、白目だった目が獣のような目つきへと変わりユリウスを睨みつけた。
まるでライオンの唸り声のような恐ろしい声を出しながら3メートル程にまで巨大化したフラン、野獣の如く牙を剥き出しにして唾液が床に落ちて行く。
フランの変貌にキーラが舌打ちし、アリスの元へと駆け寄ろうとした。
しかし途中で緑色の肌をした怪物に阻まれて行くことが出来ない。
「くっそ・・・、やっぱこいつも変異タイプかよっ!
おいアリス! そいつはもうダメだ、自分が逃げることだけ考えろ!!」
そうはさせまいとイーシャが声を荒らげて緑の怪物に指示を出した。
「18号、逃がすなっ!」
驚くことにその怪物はイーシャの言葉を理解しているようで、命令と共に18号と呼ばれた怪物はアリスの方へと向き直る。
しかし攻撃パターンは何も変わらず、闘牛のように真っ直ぐに突っ込んで行った。
「早く逃げろって言ってんだろ、アリス―――――――――っっ!!」
「グオオオオオオオオオオォォォォォォォォォッッッ!!」
「―――――――――えっ!?」
アリスに襲いかかった18号を食い止めるように巨大化したフランが全身から血を噴き出しながら、巨大な両手で突進を止めた。
大きさで言えば18号の方がわずかに上回っていたが、どうやら力ではフランに押し負けている様子である。
フランが必死で押さえ込んでいる姿を見て、アリスは一歩・・・また一歩とフランの方へと近付いて行った。
「・・・もしかして、あたしのことを守って!?」
にわかには信じらなれなかった。
幼い子供の姿だったフランが突然異形の怪物へと変わり果てて、まるで自我を失ったかのように思えたのに。
今まさに目の前にいるその怪物は、アリスを守る為に全身の激痛に耐えながら必死で戦っているのだ。
フランが横目でアリスを見ると苦しそうに唸りながら、片言で話しかけて来た。
「グゥウッッ・・・ア、・・・リス。
逃げ・・・、逃げて・・・アリス・・・っ!」
そう呟くフランの体は全身のつぎはぎ部分が張り裂け、血を噴き出しながらも必死で怪物を押さえ込んでいる。
飛び散った血がアリスの頬に当たり、目を凝らすようにフランを見つめたままその場から一歩も動けなかった。
ショックの余り硬直してしまったのだと察したキーラは、怪物をフランが押さえている間にアリスを救出しようと走り出す。 しかしキーラの動きに気を配っていたピートがついに動き出し、アリスの元へ行かせまいと立ち塞がった。
「悪いけど、そう簡単にアリスレンヌを渡すわけにはいかないよ。」
そう呟きながらピートは腰のベルトに装着していた警棒のような武器を取り出して空を薙ぐ、するとそれに呼応するかのように警棒だと思われた武器はまるでサーベルのような形状へと変化して、刃部分が怪しい光を放っている。
キーラはピートとの間に微妙な距離を保って警戒する。 相手がどんな攻撃を仕掛けて来るのかわからない以上、ヘタに飛び込んで行くわけにはいかない。
すぐにアリスの元へ行けないと察してキーラの表情に焦りの色が現れると、突然出入り口を全て塞いでいたシャッターが開いて行った。
「―――――――――何っ!? 誰よ、シャッターを開けてるのは!!」
イーシャが慌てているとアリスの髪の毛を握ったままユリウスが警備室の方へと無線で連絡しようとする、しかし何度繰り返しても警備室からの返答はなく遂にシャッターが完全に開かれて、自動ドアやガラス張りの壁から朝日が差し込んで来る。
いつの間にか夜が明けており、眩しい光に思わずその場にいた全員が朝日を遮るように視界を覆った。
その瞬間を逃さずにキーラはすぐさまアリスの『匂い』がする方へと走って行き、手首を掴むと問答無用の力でアリスを引っ張る。
「待ってくださいっ! フラン君が・・・っ、フラン君がっっ!!」
そうアリスが叫んだ瞬間だった。
奇妙な浮遊感を感じる、その瞬間から―――――――――アリスは自我を失った。
整理した割に『これ』ですみません、ハイ・・・もっと頑張ります。
では出来る限り早く続きを更新出来るように頑張らせていただきます。




