その名はコックローチマン
時は遡り一年前
俺生真生は今自宅にある二階の自室でテレビにゾンビ映画を流しながら大学のレポートを書きながら
ゴキブリの観察をしていた
俺は大学で生物の研究をしていて
その研究対象に選んだのがこのゴキブリだ
ゴキブリは世間では黒くて光っててカサカサ気持ち悪いしてて一匹見つければ30はいるってくらいどこにでも湧いてくる
そんな生理的嫌悪感を詰め込んだような生き物、それがゴキブリだ
一言で言い表すなら、言わば嫌われ者だな
そんな嫌われ者のゴキブリを選んだのは
俺がゾンビのような顔をした
一般的に言う不細工・・・いやそれも世の不細工達に失礼だな
顔のパーツが垂れ下がっててバランスが悪いのだ、さらに貞子とか呪怨とかホラー映画に出てくる幽霊のように目つきが悪い
グロメンだからだ
そのせいで昔から、周りにはゾンビとか幽霊とか言われて半分嫌われてきた
まぁ、顔が恐ろしいって感情が先に出るせいで
恐らく多分決してグロメンなだけであって不細工ではない・・・
からオタク陰キャ仲間とか友達くらいは普通にいるがな
そんな嫌われ者つながりで俺はゴキブリにシンパシーを感じて
研究対象にすることとした
そして今はゴキブリちゃん達のことを調べてうちに
むしろ好き寄りまである
頭は昆虫にしたらかなり賢いことが分かったし
よく見たら特撮ヒーローみたいなかっこいいフォルムをしてるし
身体能力も凄まじいことが分かった
こいつらを人間の大きさするとかなり強いはずだ
ちなみにゾンビ映画も趣味だ
他にもエイリアンが出てくる映画やサメや恐竜がでてくる映画も好きだったりする
そんな感じで俺がゴキブリ達に対して餌(蜘蛛)をやってる時、下の階から姉貴の声が聞こえた
名前は生真愛で、世間じゃしっかり者で文武両道の優等生だが
家だと無防備に脱ぎ散らかすし、ずぼらな面が目立つし
「生、卵買い忘れたからお使い行ってきて」
俺は一階のリビングまで降りて姉貴に文句を行ってやった
「なんで卵なんていつも買うやつ忘れてんだよ」
「仕方ないでしょ、今日お母さん帰ってこないし」
何より弟の俺を顎でこき使う今時珍しい漫画みたいな姉キャラだ
しかし、逆らうと跡が面倒くさいので俺はさっさと家を出る支度をして
お使いにいくことにした
太陽は沈み辺りはもう暗い、夕方になりかけていた
出かける前、ふと疑問に思った
「そういえば親父とお袋からから連絡あった?」
父親はヒーローの仕事で急に帰れないっていうし、母親は海崎港に遊びにいくっていったきりまる一日帰ってこない
しかも・・・
「いやない、昼間から電話かけてるけど出ない・・・ニュースで港が爆発したっていってるし・・・大丈夫かな」
テレビのニュースでは、ちょうどその海崎港の白レンガ倉庫で大規模な爆発が起こった報道されていたのだ
母である生真美代はマメな人物で
一時的に避難してるとしても
夜まで、連絡を忘れる人ではない
姉貴が買い出しで卵を忘れたのも夕方までお袋が帰ってこないかったら慣れてないせいでもある
それからしばらくして
夜遅くのスーパーで買い物を済ませた(内容は卵とついでにお菓子とカップ麺)俺は帰りの道を歩いていた
ここら辺は街路灯も少なく人通りも少ないので女性なんかは一人で歩くのは不安な道だ
そんな時、夜の静寂に包まれる暗闇に音が聞こえた
グルアアァァァ!
これは・・・恐竜の鳴き声だ
恐竜公園という映画で飽きるくらい何度も聞いた
近くの中学校がある方角から聞こえる
この方角にある中学校は俺の妹の翼が通う中学校のはずだ
俺はどうしても気になって、その方角へ向かう
やがて音のする中学校の校庭までたどり着いた
そこに一人の少女がたっていた
パーカーを羽織ってフードを被った少女
まず思ったのが可愛い、小柄な体格、水色の瞳、サラサラの髪、全て俺の好みだった
一見普通の少女に見えるがその出で立ちはよく見ると普通の少女のそれではないことがすぐわかった
口にはサメのような鋭い歯が何本も生えていて
腕や足の肌の一部が緑色になって爬虫類の鱗状の肌になっていた
服はよく見ればあちこち破けていて、汚れている
手には1本のダガ―のような刃物が握られていて、もう片方の手にはトランクケースを持っていた
そんな少女に俺はしばらく見惚れていた
少女から声をかけてきた
「・・・君、逃げて」
「え?」
その瞬間、俺達の傍の校舎が爆発した
暗闇の空にドーム状の紫色の光が覆う
炎と煙の中姿を現したのは
スーツを着てたりローブを羽織ってる者達
ヒーローと魔法使い達だった
「見つけたぞ、貴様の持ってるそれを渡せば悪いようにはしないぞ・・・くくく」
「断る!」
女の子は強気で反論し、持っていたトランクケースを後ろで隠す
どういうことだ?ここにヒーロー達がいるということはあの少女は怪人ということか
でも・・・
でも、さっきは彼女は逃げてって
彼女が悪い犯罪者ならそんなこと言うだろうか
ヒーロー達の目的は少女の持っているトランクケース?
分からないことだらけで
胸にモヤモヤとした物が引っかかってる
俺がそうやって考えてる内に、少女とヒーロー達の戦いが始まってしまう
「一般人に構うな、ここには結界が張ってあるどうせ逃げられん」
辺りに魔法攻撃が飛び交う
俺は慌てて、水飲み場の影に隠れる
親父は世間ではヒーローをやっているが俺はなんの力もないただの一般人だ
いきなり女の子が襲われていても俺にはどうすることもできない
警察とかヒーロー事務所に電話をかけた方が良い
でも襲ってるその相手がヒーロー達ってどう説明すれば・・・
そう思っていた矢先だった
取り出したスマートフォンが使えなくなった
「圏外!?なんで!」
電波を現すがインジケーターが圏外を示していた
状況は少女が圧倒的に劣勢だ
トランクケースを守りながらもあるだろうが、数が違う
一人をよってたかって攻撃してるんだ、女の子は回避と防御に精一杯で反撃すらままならない
そんな状況で、さらに現れた
異形の怪物が・・・
目玉が形が不揃いの8つで
背中から8本の足が生える
あれは蜘蛛の形をした怪人!?
「ああ~、散々てこずらせてくれちゃってガキがぁ」
「大人しくトランクケースを渡せ」
「・・・嫌だ」
「これはお前らの悪事の証拠だ」
「残念だぁじゃあ死んでもらうかぁ!」
奴らは、結界があるから逃げられないとか言っていた
それはつまり目撃者である俺は消されてしまうということか?
だとしたらそんなことを言うヒーロー達は絶対に信用できない、怪人とつるんいる
だったら!俺が取るべき行動は・・・!
考えるよりも体が先に動いていた
俺は怪人の爪の攻撃で切り裂かれた
胸からドクドクと血が流れ意識が遠のいていく
おれは・・・しぬ・・・のか
意識が消える
その瞬間、トランクケースが光る
「え?」
少女は驚く
中に入っていたベルトらしきものが独りでに宙に動き
俺の体に巻き付く
「待って!それを使えばあなたは・・・人間じゃ・・・」
少女の制止の言葉も構わない
俺は自然にその名を口にしていた
「アルケミスト・・・コッチローチマン・・・!」