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第四十九話 それでも、先へ


「──たぁっ!!」


 クラインは大剣を振るい、群がる機械兵士をまとめて叩き斬る。


「やるねぇ、クライン。さすがさすが」


 そして彼と背中合わせでマティスは、四本の腕に手にする大型銃やマシンガンなどの重火器で粉砕する。

 



「これで……この辺りの兵士も片がついたか」


「さすがクラインとマティスさん、たった二人でこれだもんな」


 あれから非常孔を登り、地下の工場から女王の城内へと侵入したエクスとクライン、マティス、そしてディーゴらレジスタンス。城の内部へと侵入して進み、女王の元へと辿り着こうと急いでいた。

 城の内部は想像よりも広く、入り組み、レジスタンスの用意した施設の地図を元にどうにかかなり進んでいたが……それでも全体の半分進んだかどうかだ。


「我々もかなりの時間を使ったが、それでも、なかなか女王の元に辿り着けないのだ。なのに──」


 全員とも城の通路を進む。が、その前に再び機械兵士が立ちはだかる。


「また現れたか。頼む、アービィ」


「分かりました、です。……でも、私もそろそろ疲れました」


 先ほどからジャミング機能を何度も行使し続けて、その分エネルギーも消費したアービィ。かなり辛い状況であった。そしてそれは、彼女以外も。


「さすが女王の拠点ね、城内にいる兵士だけでも数が多い。私達も結構消耗しているから。こっちは飛び道具を使ってもいる。……弾だって無限じゃないのに」


 マティスも自分の消耗を苦々しく思っている。彼女だけではない、他のレジスタンスなどもここまでの道程で消耗している。

 それでも女王の元に辿りつくにはまだかかると言う事だ。進み続けるしかない。地図をもとに複雑な城を進み、先へと。


「ようやく城の上層だ。そしてこの先の第三ジェネレーター室を抜ければ、ゴールの中央制御区画まであと少しだ」

 

 通路の先には閉ざされた扉がある。多分、そここそジェネレーター室なのだろう。


「ジェネレーター、この規模の城だと相当なエネルギーを使いそうだしね」


「その通りだエクス殿。だが、城の重要地点である。今までは恐らく見つからずに来れたかもしれぬが………果たして」


 敵の本拠地に乗り込んだ割には、順調には来れた。……が、この先は。




 ────


 レジスタンス一行は慎重に扉を開け、ジェネレーター室に入った。するとそこに待ち構えていたのは。


「来たな、反逆者ども。しかしお前らの命運はここまでだ」


 待ち構えていた多数の武装した機械兵士、中にはセリスをさらった時に現れた強化機械兵士の姿もあった。


「そんな! まさか僕達に気づいて……」


 この状況にクライン、そしてレジスタンス一行も絶句する。それとともにダモスはしてやったりと言うような感じで。


「私の手にかかれば……造作もない。

じきに他の機械兵士もお前らを叩き潰しにやって来る。ふふふ……せいぜい足掻くといい!」


 ダモスの言葉。今でさえこの多数の機械兵士、その上増援まで来るとなるとあまりにも危険だ。


「いよいよ、ピンチと言うわけ」


「見ればわかるじゃないか、エクス。けれど──」


 マティスは武器を構えて、ダモスとその機械兵士の軍勢を見据える。


「じきに……そう言っただろう。つまり逆に言えば、今ある兵力はまだあれだけしかない。話を聞く限りだと恐らくは向こうもさっき私たちを察知した感じだろう」


 そしてディーゴもまた、戦意を失っていない様子で。


「その通り。こうなった以上とるべきなのは──大量の機械兵士に押し潰されるまえにここを突破し、女王の元に辿りつくしかないのだ

 確かに今でも数は多く脅威ではあるが……決してどうにかならないわけではない。我々のどれ程が切り抜けて先に行けるかは分からぬが、な」


 機械兵士の数は多く、今まさに武器を構え戦闘態勢を取ろうとしていた。


「やるしか──ないか」


 エクスも覚悟を決める。無論、クラインにディーゴもまた。

 ここからが正念場だ。例え厳しくても、やるしかないのだから。





 ────


「フハハハハ! どうだ、手も足も出ないだろう」


「……やっぱ、数が多い! これじゃ危ない」


 多数の機械兵士に囲まれて乱戦を繰り広げるエクス達とレジスタンス。

 立ち塞がる敵の壁を突破しようと突っ込んだが、それでも数はあまりにも多く、守りも分厚く切り抜けきれない。


 ディーゴにアービィらレジスタンスも、雪崩のように四方から襲いかかる機械兵士に苦戦を強いられている。


「一刻も早く突破せねばならないのだが。……クライン殿、マティス殿、そしてエクス殿!」


 彼らを食い止める機械兵士。その中で三人、クラインとマティス、エクスは前に出て出口に近い所にまで来ていた。


「先に貴殿らから突破して行きたまえ! これを全員で突破するのは困難である、貴殿ら三名の実力さえあれば、恐らくは女王を倒せるに足るやもしれぬ」

 

「私たち三人だけどは、少々荷が思いな。……けれどそれしか手がないならやるしかないか。なぁクライン、エクス!」


 マティスの言葉に二人も頷いて答える。


「そうと決まれば行くさ! まずは僕から先に、ここから──」


 中でも一番出口に迫っていたクライン。大剣を手に機械兵士を薙ぎ払い、壁を突破しようと……したが。


「女王の元には、行かせはせぬよ!」


 瞬間に別方向から金属の触手が伸びてクラインを絡めとった。


「あっ……くっ」


「クライン!」


 ダモスの身体から伸びる触手に絡み取られ身動きを封じられるクライン。エクスはすぐに助けに入ろうとするけれど、運悪く強化機械兵士に囲まれ一斉に攻撃を受ける。剣などの猛攻に、エクスは自身の武器である長槍を構えて防御、反撃をする。しかし……とてもクラインの助けに行く余裕がないでいた。


「お前たち全員、女王陛下の元へは行かせるものか! まずはお前から破壊してやろう」


「うわぁぁっ!」


 全身がきしみ、叫ぶクライン。このままだと彼は……その時。


「クライン殿には、手を出させはしない!」


 突如として振るわれたヒートブレードの一閃。クラインを捕らえていた触手は瞬時にまとめて切断されて彼は開放される。


「助かったよ、ディーゴさん」


 クラインを助けたのはディーゴであった。彼はダモスと、そして機械兵士と向かい合う。


「おのれ……よくも邪魔を」


 ダモスは憎々しげに言うも、当のディーゴは意に介さずに先を行くエクス、クライン、マティスに告げる。


「ここは吾輩達に任せたまえ。貴殿らは先に女王の元に行き、奴を倒してくれ」


「助かったよディーゴさん。でも、そんな」


「みんなを、置いて僕達だけで……か」


 クラインもエクスも複雑そうであった。そんな中で、小柄な身体を駆ってナイフで機械兵士を相手にしていたアービィも言う。


「私達は……大丈夫です! …………これまでだってレジスタンスとして、戦って来ましたから」


 ディーゴ、アービィ、それに他のレジスタンスもまた奮闘している。


「二人とも、ここは私たちがまず先に行くしかないようだ。──大丈夫、彼らもすぐに突破して行くだろうとも」


 先に敵の守りを突破したマティス。彼女はエクス達二人にそう言う。


「こうなったら、やるしかない。──行くよクライン」


「ちょっ……!」


 続けてクラインの手をとって、エクスは彼とともに抜け出した。


「よくもっ!」


「貴殿の相手は吾輩だ!」


 ダモスに向けて、ディーゴはヒートブレードを振るう。対してダモスも触手で応戦し、そして機械兵士とレジスタンスも戦いを繰り広げる。

 そして守りを突破したエクスら三人。追跡する機械兵士を逃れながら、先を急ぐ。


「幸いダモスから地図のコピーを貰っていて良かった。それに、女王のいるはずの中央制御区画はもうすぐ近くなんだろう。

 このまま一気に突き進むしかない、エクス、クライン!」


「……みんな」


「きっと大丈夫さ、クライン。とにかく僕達は、僕達に出来る事をするしかない」


 エクスはそうクラインを励まそうとする。彼は俯いたままだったが、すぐに顔を上げると。


「──分かっている。みんなのためにも、女王はこの手で倒す」


 決意は既に決まっている。レジスタンスのためにも、一刻も早く女王を倒すしか道はないのだ。


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