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第四十一話 ダモスの逆襲


 ──── 


 セリス、クライン、エクスの三人は背を伝い、そしてついに……スクラヴドラグの頭部付近に到達した。


「ようやく着いたか」


「全く、触手の邪魔はあったけれど、やっとだぜ」


 セリスとクラインはともに巨大機械生物の頭部に辿り着いて言う。


「……へぇ、たどり着いてしまえばずいぶんと楽なものだね」


 エクスもまた、追いついてそんな風に話している。

 ここにはもう触手も現れないようだ。それにあれは自動迎撃に近いシステムらしく、スクラヴドラグ自体は未だに三人の事を察知していない。

 クラインは特に得意そうで、手にした大剣の刃先を下に向ける。……そこはスクラヴドラグの丁度額の位置にある。他よりもいくらか盛り上がってもいて、装甲の奥深くには赤く輝く何かが見える。


「確かここだったな。さっそく、止めを刺してやるか!」


「言っておくが、しくじるなよ。下手をすればスクラヴドラグに察知される。……そうなれば」

 

「セリスが心配しなくても、もう俺は油断しない。

 正確に狙って一撃で!」


 再びバッテリーを、今度は最大に動かしてより刃の熱量を上げる。より鋭い刃で一気に装甲を貫き、奥の制御装置にまで届かせると、そう言うつもりらしい。


「行くぜ! この俺が引導を渡して──」


「……くくっ、予定通りではないか。──待っていたぞ」





「!!」


 何者かの声。それが聞こえたと思った瞬間、傍のビルの奥から数発の弾が飛来して襲う。

 どれも大型の球体、その全てが──エクスに向かって。


「──っ!」


 無論エクスはそれを避けようとした。……けれど弾はその目の前で広がり、まるで半円形の檻のような形に変わる。

 これに虚をつかれたエクス、身体は檻に囲まれ、そのまま向かい側のビルに打ち込まれる。

 

「エクス! そんな……お前は!」


 セリスが驚いて身動きの取れないエクスに視線を、続けて弾が飛来したビルの方に視線を向けた。そこにいた相手を捕らえた、瞬間だった


「かはっ!」


 一筋の太いビームが、セリスの右肩を抉り飛ばした。

 肩から繋がる、重装甲の大腕が飛ばされて失う。彼女は傷口を押さえよろめき、ビルにいた影を睨む。


「セリスまで、大丈夫か!? 一体あそこに……」


 セリスに続き、クラインが視線を向けた先に、いたのは。




「いやはや、随分以前ぶりだな……セリス」


 スクラヴドラグより離れた高層ビルの廃墟に見える姿。古びたマントとフードを纏う、全身チューブに覆われたガスマスクのような顔の機械人。

 それは、人類女王の手先で、グリーンパーク集落を以前襲った……ダモスだった。背後には多数の機械兵士を控え、彼の手には大型のビーム砲を構えていた。

 ビーム兵器、この世界には存在し難い技術。エクスなら知ってはいたが、今確認出来ているのはシャドーがビーム砲と、そのエネルギーを用いたシールドを扱えた事くらいだ。

 ただ……ダモスが用いる物はシャドーのそれと違い、背部に筒状の巨大ジェネレーターを背負い、構えるビーム砲も大型だ。女王から得た技術だが、シャドーよりも数段劣るものだ



 さっき放ったビームも、細く収束さえ出来ずに無駄に消費するエネルギーは多い。けれど……その威力はあのセリスから一気に右腕を吹き飛ばす程に協力だった。


「良い気味だ。お前には、さぞ相応しい姿じゃないか」


「……く……ぅ」 


「いきなり何の真似だよ! お前は!」


 怒りに叫ぶクラインに、ダモスは興味が薄いように視線を向ける。


「お前も、グリーンパークの機械人か。まぁいい……用があるのはエクスとセリスのみだ。

 ──そして!」


 と、今度はダモスはビーム砲をスクラヴドラグの頭部へと狙い、一撃を放った。

 強力なエネルギーの塊、それが頭に当たり、よろめく。


「このスクラヴドラグは私が連れて来たものだ。その上、今の攻撃で刺激も受けた奴が……どうなるか」


 


 瞬間に、スクラヴドラグは激しい咆哮を上げた。同時にその巨体は大きく波打ち、暴れ出す。


「うわっと!」


「ははは! このまま落下か、蹂躙されるか選ぶといい!」


 暴れ出すスクラヴドラグに、クラインは落下しそうになる。


「まさかこんな事に! セリス、そっちは──」


「──!」


 傷を受けたセリスは、暴れる機械生物の背に立ったままではいられなかった。

 バランスを崩し、唖然とした表情で落下しようとするセリス。


「待ってろ! 今すぐ僕が!」


 クラインは急いでセリスの元に、落ちようとするのを食い止めようと手を伸ばす。彼女も、残った片一方の左手を伸ばす。けれど──届かない。


「セリス!!」

 

 目の前で、遥か下へと落下するセリス。その姿は暴れるスクラヴドラグの動きに阻まれ見えなくなる。


「……くそっ、こうなったら!」


 一瞬躊躇いを見せた。けれど彼もまた、セリスを追って下に飛び降りる。




 セリスとクラインがスクラヴドラグより下に消えたのを見たダモス。


「共に下に落ちたか、どうなったのか確認しようとも……」


 相変わらずスクラヴドラグは激しく暴れ、周囲の廃墟を粉砕して回っている。

 あんな中では、どうなったのかすら捉える事も出来ない。


「……まぁいい。どの道、あの中では無事でいられまい。

 それよりもだ、これでエクスは私の手中に……」


 ダモスが得意げに、捕らえた檻を見た。けれど──そこには誰もいなかった。


「そんな! 一体どこに行った!? 

 いや、あの穴は」


 良く見ると檻を撃ち込んだビルの壁に、穴がぽっかりと空いていた。恐らくはエクスはあそこから逃げ出したのだ。


「……おのれ、手間をかけさせる。だが!」


 ダモスは後ろを振り返る。

 そこには多数の……武装をした機械兵士が整列して並んでいた。

 

「今すぐエクスを捕まえて来い! 他の連中は全て、破壊してしまえ!」


 彼の指示を受けて機械兵士は、全機散開して探索を開始する。

 クライン、セリス……そしてエクス、三人の行方は。


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