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第三十三話 知識を求めて

 

「……」


 エクスは自室のベッドで仰向けに寝転び、天井を眺めていた。

 あれから無事グリーンパークに戻って以降、エクスは数日間の休暇が与えられていた。

 どうやら長旅を終えた後、丁度数日ある禁猟日に入っていたらしい。エクスを含めセリスやギリーなど狩猟隊も、今は休みにあった。

 数日は、ぶらぶらと周囲の散策をしたり、ギリーや子供たちなどと談笑……そして自室でぼーっとしていたりなど、時間を潰していた。


「……はぁ」


 どうも今はあまり何かをする気も起こらない。



 とりわけ何か仕事がない、と言うのもあるが……前回のあの件以来、エクスは今後の身の振り方を改めて考えていたからだ。


 ──人類女王と、恐らくはその下僕であるシャドーか。

 最初ここに使者がやって来た時には大したことはないと高を括っていたけど……予想以上の勢力みたいだね──


 ビーム兵器に、フォースフィールドを展開させる程の技術力と膨大なエネルギー。

 一体なぜあれ程の物を持っているのか、さすがのエクスも分からないままだ。

 

 ──それに、女王が機械人達に与えている影響力も無視できない。まかりなりにも『人類』を名乗っての行為、こちらとしても即急に対処したい所だが、それでも相手を知らなさすぎる。

 恐らく一番の知識を持つだろう長老にも聞いてもみたけれど、現状以上の事は知らないようだし──




 

 ……と言っても今こうして考えていても仕方ない。

 出来れば情報収集したい所だが……手がかりすらもない。


 ──せめて機械人の誰かが何らかの資料でも持っていたらいいんだけど。何しろそれなりに生活文化を築いている訳だし、本みたいなものがあっても不思議は──


 すると何か思いついたかのように、エクスはベッドから跳ね起きた。


 ──そうだ! 生活文化を築けているなら、自分達なりに資料を用意し収集した、図書館みたいなものがあっても不思議じゃないはず! そこに行けばもしかすると──


 こうしてエクスは身支度し、部屋の外へと出ていくことにした。




 ────


 グリーンパーク集落に、図書館のようなものがあるかどうか──

 

 中央の広場でそれを聞く人を探していると早速、セリスとギリーに遭遇した。


「やぁ、二人とも。ご苦労様だね」


 エクスからのあいさつに二人も反応する。


「ああ、こっちは……ぼちぼちだとも」


「おっと! エクスじゃないか、元気にしてたかよ」


 そんなセリス、ギリーに、エクスはいつもの優しい様子で言った。


「まあまあだね、ギリー。だってあまりにもやる事がないんだもん」


「ははは、そりゃ察するぜ。まぁ、ゆっくりするのも良いとは思うけどな」


 エクスは試しに二人に聞いてみることにする。


「実は君たちに聞きたいんだけど、この集落に多くの資料や本なんかが集められた場所……知らないかな。

 ちょっと色々と知りたいことがあってさ」


 そう質問を、するものの……。

 ギリーは変に思うように、首をかしげる。


「ホン、だって? 何だそりゃ?」


「ああっ……色々な物についてや、物語、事柄の知識が記されたような、そんなものだよ。セリスは何か知っているかい?」


 一方でセリスは思うような所があるように沈黙していた。が、彼女の答えは。

 

「残念だが、私はそんな物は…………知らないな。そこまで別の知識が必要になることも、少ないだろう」


「俺も分かんないぜ。……と言っても、大体の事は長老に聞けば、すぐにわかるしさ」 


 どうやら二人はそんな場所を、知らないようだ。

 

「さて、それでは私はギリーの射撃練習に付き合う予定だ。会って早々だが、またなエクス」


「じゃあな。夜にはまたスゴロクして遊ぼうぜ!」


 セリス、ギリーはそう言うと、別の場所へと移動しエクスから去って行った。


 ──はぁ、仕方ない。それじゃ他の人にでも聞いてみますか──

 

 もしかすると他の人が知っているかもしれない。エクスは引き続き、探索を続行することにする。


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