表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/58

第二十二話 謎のレジスタンス



 ────


「それでは、どうかおくつろぎ下さい」


 案内を終えたラグーンサイド集落の機械人は部屋から退室する。

 キャラバン隊が案内されたのは高い櫓の上層にある、ゲストハウスの広い部屋だった。壁にはバッテリーや燃料タンクが置かれ、解放感のある窓には下に見える集落の家並みと──そして広がる大海原が臨む。

 

「おお! 何度見てもここの景色は良いものだな!」


 キャラバン隊の機械人達の多くは、窓から景色を眺める。

 

「ほら、エクスとクラインはここに来るのは初めてだろう? よく見てみるといいさ」


 そう促されエクス、クラインは窓の傍へと向かう。


「ほう? 海の景色はさっきも見たけど……それよりずっと、見栄えがいいぜ」


「──うん。これはこれで、いいね」


 地平線の遠くまで見えそうな青い海……。それは、相変わらず美しいものだった。





 ────


 ガイン、ディーゴは集落端の資材置場へと来ていた。

 外にある山のように積まれた残骸の山とは別に、別区画では残骸から分解してその材質、部品ごとに整理された倉庫が存在する。

 二人がいるのはその倉庫の中。棚ごとに置かれた資材を見ながら、品定めをする。


「ほう? こちらにはこの金属は希少だからな。これは多く欲しい所だ」


「ガイン殿、あちらの部品も集落の機材に必要だろう」


 そんな風に話し交換する物を考えていた時、ある機械人が現れる。


「よく来たな。ガインさんと、それにディーゴさんや」


 それは楕円形を思わせる本体に手足が生えたような機械人。ガインはさっそく、挨拶を行う。


「これは長老どの。お久しぶりでございます」


 彼こそこのラグーンサイド集落の長老。ガイン達二人も会うことこそ少ないが、何度か交易を行うなかで知ってはいた。


「ふむ。交易品の交換という事だな、大変よろしい。そちらの集落も、また苦労しているようですからな」


「しかし……なぜ、長老どのがわざわざここに?」


 ガインの問いに、長老はふむふむと頷く。

 

「実はだな、そちらのディーゴをぜひ借りたい。彼と少し話がしたいと思ったのだよ」


 この事はこのラグーンサイド集落に来るとよくある事だった。

 何しろ長老とディーゴはかつての旧友。そのためキャラバンで来るたびに彼一人で、話に行くことはあった。

 それを知っていたガインは頷き了承する。


「問題はないとも。……と言うことだディーゴ、話をして来るといい」


「──はい」


 ディーゴは一礼し長老の元へと向かう。久しぶりなのか、長老は嬉しそうな様子で、彼を迎える。


「ほう、久しぶりだなディーゴ。会えてうれしいぞ」


「吾輩も勿論である。……しかしリープ殿から会いにくるとは、ただ事ではありませんな」


 リープとは長老の名だ。そしてディーゴの言ったことが図星なのか、長老は言葉を濁らせる。


「ああ。だがここでは何だ、少し場所を変えて話すとしよう」




 ディーゴは長老に連れられ、彼の住居へと入る。


「さてと、ここなら大丈夫だろう」


 そう一言つぶやき長老は話しはじめる。


「改めて、共に女王の打倒を目指すレジスタンスの同士であるディーゴと再会でき、私は感激だ」


「吾輩もラグーンサイドの同志と再び会え、心から嬉しい。……他の同志達は元気にしているか?」


 ──だが、これを聞かれた瞬間、長老は俯きある事を伝えた。



「残念だが……この集落のレジスタンスは、殆ど全滅した」

 



 ディーゴはそれを聞き驚愕する。


「馬鹿な! ここのレジスタンスは、規模が大きかったものだったはずだ」


 戸惑う彼を諭すように、長老は説明する。


「それが……レジスタンス内部に、スパイが紛れこんでいたらしい。私を含め数人は気づかれずに済んだものの、多くはスパイめの卑劣な手により全員──」


 さぞ無念であったのか、長老の声にはくやしさの感情が混じる。

 これにはディーゴも何も言うことは出来ない。

 

「だがその犠牲により、我らはスパイについて知ることが出来た。……幸い向こうはラグーンサイドのレジスタンスは全滅していると思い込んでいる。つけ込む隙は十分にあった」


「それでスパイは、もう始末したのか?」


「いや、奴はまだ何食わぬ顔で集落にいるとも」


 ──これを聞いてディーゴは明らかに気に入らないように言った。


「なぜ! 同志たちの仇を討たなければ! なのに──」


 だが、長老は諭すように話す。


「まぁ待て。いずれ報いは受けてもらうが、スパイであるなら利用したいと考えたのだ。

 ……それに私のこの考えにより、ある情報が新たに分った」


 そして、こう続けた。


「この集落に女王の腹心の一人──シャドーが来るらしい、との情報だ。

 あやつをこの手で仕留めれば、女王の弱体化へと繋がる」


「シャドー、だと!? 話では恐ろしいほどに強い傭兵だと言う話だ。……本当に、大丈夫なのか?」


 女王お抱えの傭兵、シャドー。その事を知っていたディーゴは心配になる。

 ……が、長老は意に介さない。


「心配はいらぬ。いかに強かろうと、しょせんは一人の機械人ヒトだとも。私を含め残存するレジスタンス総出で掛かれば、倒せる可能性はあるはずだ。

 多くのレジスタンスが女王の手にかかった。──その報い、少しでも多く受けてもらう」


「……」


 長老は例え自らが刺し違えたとしても、それを果たすつもりであった。


「だが、これは我々の問題だ。ディーゴにはただ、その事の生き証人になってもらいたいのだ──もし我々全員に何があってもな」


 いつか訪れる勝利のためなら、命さえ惜しくない。それが女王と戦う……レジスタンスである。 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ