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a Lotus thief  作者: 刻埜
本編
7/15

家出人、蛍漓!頑張ります!! *

女子が男性を押し倒しております。(ペッティングは在りません)

お気を付け下さい。

斑目からネックレスを盗んで(貰って)から一週間。何となく警戒して、怪盗としての仕事を休んでいた。

しかし、本当のところはまだ次の物が見付かっていないだけなのだが。まあ万里自体も急いでいるわけではないからと、笑っていた。


そんな訳で、のんびりと閉店作業をしていると、着替え終わった蛍漓が近付いてきて言いづらそうに口を開いた。


「ねぇ、千羽。頼みがあるんだけど‥聞いてくれる?」

「如何したの、急に改まって?と言うか、その大きな荷物は‥なに?」


洗い物をしていた手を止め蛍漓を見ると、彼女は学生鞄の他に大きめな鞄を持っていた。何だろうと首を傾げていると、蛍漓は俯いていた顔を上げ古瑞を見上げた。


「………っ今日だけで良いから、千羽の家に泊めて!」

「…………え?」

「い、家出してきた!千羽が泊めてくれないなら、野宿する!!」

「ちょ‥ちょっと落ち着いて!一体、何が如何したの?」


ずいっと顔を近づけて言う蛍漓に、慌てて後退り宥めるように肩を掴む。距離を取られたことに不満だったのか、蛍漓はプクりと頬を膨らませると顔を反らした。


「………兄貴と、喧嘩した。顔、合わせたくない‥から」

「螢と喧嘩したの?珍しい、何時もは飛炎とするのに……」

「…………………」


喧嘩になった原因は言いたくないのか、蛍漓は口を閉ざし俯いてしまった。でも、本当に帰りたくないのか、古瑞の袖をぎゅっと握り締めていた。そんな蛍漓の様子を見て無下にするのは可哀想かと思い、俯いていた頭を撫ぜてあげた。


「言いたくないなら、無理に言わなくても良いよ。丁度明日は日曜で、学校も休みだし‥構わないよ、一日だけなら。」

「…………千羽!有難う!!」


泊まりをOkすると、蛍漓嬉しそうに抱き着いてきた。戸締まりをし、二人で家に向かう途中、蛍漓の学校生活の話をしたり色んな話をしながら歩いていた。


「…………………………何であんたが此処にいるの?」

「……………千羽が許可したからに決まってるでしょ?」

「は?なにそれ、聞いてないんだけど。」

「今日決まったんだから、学校行ってるあんたが知るわけ無いじゃない。馬鹿なの?死ぬの?あ、馬鹿だっけ?」

「………………………帰れ。」

「………………おことわり。」


家に入ってまず起こったのは、蛍漓と百波の睨み合いだった。そう言えば元から仲が悪かったなぁ、と現実逃避をしていると、するりと蛍漓が腕を絡ませてきた。


「千羽が良いって言ってるんだ、あんたの許可なんか求めてない。」

「………………千羽から離れろ。」

「い・や・だ。」


言い切ると、蛍漓更にぎゅっとしがみついてきた。それを見た百波の顔から、ごそっと表情が抜け落ちた。今にも蛍漓に掴み掛かろうとした百波を止めようと手を伸ばし掛けたら、ぱたぱたと万里が近寄ってきた。


「ねぇねぇ~、皆でなにをしてるの~?ママも混ぜて~!」

「……………万里ちゃん」

「あら~?貴女は~、せんちゃんのお店の子よね~。如何したの~?」

「家出してきたから、一日泊めてもらう事になった。宜しく。」

「わぁ~!女の子が遊びに着た~!いっぱい、お話ししましょうね~!!せんちゃんお腹空いた~!」


自由な万里に毒気が抜けた百波が苦笑いを浮かべ、リビングに歩いていった。蛍漓も空き部屋へと連れていき荷物を置かせ、リビングに通した。

古瑞が料理を作る間、万里は蛍漓に興味が在るのか、ずっと蛍漓に話し掛けていた。


「はいはい、出来たよ。手を洗ってきて。」

「はぁい!蛍漓ちゃん一緒に洗いに行こ~」

「ちょ‥一人で行ける!離せってば!」


余程蛍漓が遊びに来たことが嬉しかったのか、万里は何時も以上に高いテンションで盛り上がっていた。


食事をしお風呂に入り、さて寝ようかと部屋に向かうと、自分の部屋の前に蛍漓が座っていた。


「……蛍漓、眠れないの?」

「………………千羽」

「………ん?」


側に近寄り蛍漓と同じ様にしゃがみこむ。

頭を洗った所為で、何時もは三つ編みにされている髪の毛が下ろされていて、俯いていると顔を隠してしまっていて表情が判らなかった。だから声色だけで判断するしかなく、何となく子供に接するような声を出してしまった。


「眠れないなら、ホットミルクでも作る?」

「…………」

「眠れない訳では無いの?」

「…………」

「あ~‥じゃ、俺に話しでもある?」

「…………」


頭を撫ぜながら幾つか聞いてみるが、蛍漓は一切喋らず首を振るだけだった。困ったなぁ、と内心溜め息を吐いていると、伏せていた頭を少しだけ上げた蛍漓が、やっと口を開いた。


「………千羽の部屋で、一緒に寝て良い?」

「………へ?」

「ね、あたい千羽と一緒に寝たい。」

「い、いやいや蛍漓!それは駄目だろ!」

「………何でさ」

「蛍漓は女の子なんだよ?そんなこと軽々しく言うもんじゃない。」


ポンポンと頭を叩くと、古瑞は立ち上がりついでに蛍漓も立たせた。手を繋ぎ蛍漓に宛がった部屋へと歩いていく。部屋前まで行きドアを開いてやると、蛍漓が目に見えて拗ねていた。


「ほら、もう寝よ。夜更かしはお肌に悪いんでしょ?」

「………………………」


お休みと告げドアを閉める。閉じる寸前、『正攻法は駄目か』と聞こえたが、なんの事だか判らなかったから特に気にせず自分の部屋に向かった。



深夜、何故か布団とは違う重みを感じて、うっすらと瞼を開いた。暗くてボヤける視界に映ったのは、自分に覆い被さるように誰かが跨がっていた。誰だろう、と目を擦っていると、跨がっている人物が顔を近付けてきた。そして見えたその顔が……


「え‥と、ほとり?」

「正解。」

「何を、しているのかな?」

「……………夜・這・い」

「よば………は?」


蛍漓から言われた言葉で、薄ボンヤリしていた頭が一気に覚醒した。しかし、寝起きで緩慢な躯は言うこと聞かず、鼻唄混じりに釦を外す蛍漓の腕を握ることしか出来なかった。


「ちょ、蛍漓!何でこんな……っ」

「こないだ、千羽が『彼氏だなんて嘘はいけない』って言ったから。だったら、先に既成事実作ろうと思って。」

「……………!?」

「あたい、高校の内に団地妻になるのが夢なんだ。」

「いや、俺の家‥団地じゃなくて一軒家なんだけど……じゃなくて!落ち着いて!」

「やだ。いただきます。」


パンと掌を合わせると、蛍漓は露にした古瑞の躯を撫で回し始めた。むず痒い感覚に身を捩りながら、何とか蛍漓を止めようと手を伸ばす。多分、無理矢理ひっぺがしてしまえば止められるとは思うが、でも相手が蛍漓と言うだけで怪我をさせるのでは‥と、抵抗らしい抵抗が出来なかった。そんな古瑞の心中を知ってか知らずか、蛍漓は古瑞の胸に吸い付いていた。


「ちょ‥!ほん、とに……ほとちゃん駄目だって!!」

「……………千羽、可愛い。」

「かわ‥ちょ、其処はダメ……だって!!」


若干紅い花が散らされた胸に満足したのか、蛍漓は徐に古瑞の下肢に手を這わした。さわさわと触れる蛍漓の手に驚き躯を起こすと、今にもズボンを脱がそうとしている蛍漓が目に入り、古瑞は顔を真っ赤にした。


「ほ、ほほほほとちゃん!ほんとに駄目だって!やめ……っ」

「止めない。ん~‥、あたいの大きさじゃ流石にパイズリは無理か……」

「~~~~~~っ女の子がそんなことくちにしない!!」

「取り敢えず、舐めるか。」

「それも駄目!!」

「わぁ~、すんごい光景だね~。僕も混ぜて欲しい~。」


下肢を露にしようとする蛍漓と、必死にズボンを押さえる古瑞の攻防の最中、第三者の声が聞こえピシリと古瑞が固まってしまった。蛍漓は声の主に気付いたのか、小さく舌打ちをすると声のした窓へ顔を向けた。其処には窓縁に座っている、飛炎がニヤニヤと笑っていた。


「…………何しに来たんだい、馬鹿兄貴。」

「いやぁ、螢にほとちゃん探して来いって言われてさ~。で、如何せせんちゃんの所だろうと思って、見にきたんだ~。」

「……………良いところで」

「よぃしょっと、わぁ~せんちゃん、綺麗な躯だね~。食べたくなるな~。」


靴を脱ぎ窓縁に置くと、飛炎は部屋の中に入りベットに近付いてきた。そんな飛炎に心底嫌そうに顔を顰めながら、蛍漓は屈めた体制を正し、でも古瑞の上からは退かず飛炎を睨み付けた。蛍漓の痛い視線を軽くスルーした飛炎は、開けている古瑞の古瑞の上半身をまじまじ眺めていた。


「おい、馬鹿兄貴。あんまりじろじろ千羽の躯を見るな。」

「えぇ~、ほとちゃんのケチ~。」


古瑞の躯に触れようとした飛炎の手をバシリと叩き落とすと、蛍漓は古瑞の躯を隠すように抱き着いた。その衝撃で我に返った古瑞が、ベリっと蛍漓を引き剥がしパジャマの前を掴みながら壁際へと逃げていった。


「~~~~~っほとちゃん!!」

「………………むぅ」

「飛炎も!!」

「はぁい、許してにゃん」

「~~~~~~~っもう、寝なさい!飛炎も帰る!!」

『はぁい………』


珍しく古瑞が怒鳴ると、二人は大人しく良い子の返事をし、蛍漓は部屋に飛炎は靴を履き直し窓から出ていった。残された古瑞は、盛大に溜め息を吐くと、のそのそとベットに戻り頭から布団を被った。


「……夢だ。これは悪い夢。寝よう‥寝て忘れるしかない………」


そうブツブツ自己暗示を掛けながら、目を瞑った。



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