巷で噂の怪盗様
花咲 瑓様
「大丈夫です。我々が、必ず捕まえてみせますから。」
今宵、貴方様がお持ちの『紫水晶をあしらった手鏡』を、頂きに参上致します
「居たぞぉおおお!」
「何してる!早く回り込めぇえええ!!」
それは、元より我が家宝
貴方様がお持ちする様な代物では在りません
「警部!手鏡が在りません!!」
「な!?一体、何時盗られたんだ!!」
「判りません!回り一体我々が囲んでいたのに……」
空の黄水晶が煌めく頃、蓮華の華とともに参ります
「これだけ人数が居て、何で盗人一人捕まえられないんだ!」
努努、油断召されぬよう
Lotus
「……現代版、怪盗二十面相‥て、所ですかね。」
「近江ぃいいいい!呑気に言ってんじゃねぇ!!追跡しねぇかぁあああ!!」
「……部長、煩いですよ。それに、追跡なんて出来ませんよ。相手はもう、空の彼方です。」
このご時世に、律儀にも予告状を送りその予告通りに現れ、何十もの警察を欺き華麗に美品を盗む者が居た。
それはさながら、『怪盗二十面相』や『ル●ン三世』等の小説や漫画のように、鮮やかな手口だった。
警察の誰もが、その盗み人を目にすることは無く、また、誰ひとり傷付けずに瞬く間に美品諸とも消えてしまう。
『Lotus』と言うカードだけを美品の在った場所に置き……
紙面を賑わす盗み人は巷で『怪盗ロータス』と呼ばれていた。
a Lotus thief