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2 幸せにしてみせます!

『なんで智里選ばないわけ!?死ね!この鈍感童貞やろうっ!』


前世の私は小説に向かって息荒く、あるキャラを罵っていた。

九条秋人(くじょうあきと)

こいつは前世の私が愛読していた小説『俺にラブコメ主人公の立場は重すぎる!』略して俺ラブの主人公だ。

この小説は王道的なもので平々凡々とした主人公である九条秋人が、ある日を境に複数人の美少女に好かれるというどこにでもありそうなネタだ。

私はラブコメが好きだったのでこの小説を読まないわけがなかったのだ。

王道展開ものにしては飽きることなく読めていたと思う。

あの時までは。

オタクなら誰しも推しというものが存在するだろう。

自分好みの美少女とかイケメンとかがいるはすだ。

私はこの小説に出てくるあるキャラに熱中していた。

月城智里(つきしろともり)

このキャラが私は一番好きだった。

俺ラブに出てくる女キャラは大体が主人公である秋人に好意を抱いている。

智里もその一人で自分に厳しく、気持ちを伝えるのが不器用でそんな所が凄く可愛いいキャラだ。

そんなキャラならどこにでもいるのだが、私は俺ラブに出てくる月城智里が一番好きだった。

秋人を一途にひた向きに想っている智里が可愛くて、でもはっきりと秋人への好意を口に出せない、そんな不器用なところも私は愛していた。

そう、私は月城智里というキャラを愛していたんだ。

そんな私のなかで最推しだった智里を秋人は選ばなかった。

すなわち智里は負けヒロインなのだ。

前世の私は、どれだけ彼女が秋人のことを好きだったのか知っていたから涙を流した。

ラブコメ回には必ず負けヒロインが存在する。

だから仕方のないことだったのだけど、私はこの時だけは簡単に割りきることができなかった。

それ程までに私は月城智里というキャラを愛していたのだ。

俺ラブの結末にショックを受け、ふらふらと道を歩いていると運悪く車に轢かれ、運悪く死んでしまった。

死ぬ直前。

私は願った。

智里が幸せになれますように、と。

例え秋人に選ばれなくても、その次の恋で必ず幸せになってほしいと心の底から願った。

そして私の人生は幕を閉じたはずだった。


私はなんと生まれ変わったのだ。

それも俺ラブの世界に。

こんなのって奇跡でしょ。

神様が与えてくれた奇跡としか言いようがない。

だから、私はこの奇跡を無駄にしない。

叶えてみせるんだ。

前世の私が死ぬ直前まで願い続けていたことを、今の私が叶えてみせる。

月城智里を必ず幸せにしてみせる。

前世の私が最も愛したキャラをどんな手を使ってでも幸せにして見せるのだ。

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