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18 真意

誤字ありましたらすみません。

「智里先輩のこと気になってるってどういうことですか?」


 実咲の軽率な発言に苛立ち、喧嘩っぽい状況を奪還したのが昨日のこと。

 今日は普通に会話もしたし苛立つこともなかった。


 今、私は実咲とモクドに来ていた。

 放課後は智里の仕事(会長の仕事)の手伝いをするのが日課になっていたが今日は珍しく会長が智里に何も仕事を押し付けなかったため、早く帰ることになった。

 智里は私たちとお弁当を食べるためにお昼にしていた生徒会の仕事を放課後に回していたのだ。そんなの私が放っておくわけがない。生徒会の仕事はめんどくさいけど智里と放課後に二人っきりという状況に私がハマっちゃって今に至るといった感じだ。


 今日は本当は智里を遊びに誘いたかったがどうしても実咲のあの意味深な発言が気になったのだ。


 実咲はポテトをつまみながらキョトンと不思議そうに首をかしげた。

 なんだその顔。

 まさか忘れてるとかないよね?

 もし忘れてたらまた昨日までみたいな状態に逆戻りになるぞ。

 私はそれほど心が広い訳じゃないんだからな。


 実咲は口に放り込んだポテトを飲み込んだ後、ジュースを飲んでからやっと話し出した。


「初めて純ちゃんから遊びの誘いが来たからビックリしてたけど智里ちゃん関連か~。うん、納得」


「そういうのいいので早く答えてください」


「おぉ……なんだか私へのあたりが強くなったね……」


 はぐらかさんとさっさと話さんかい!

 こっちとらモヤモヤしとるんじゃい!


 目付きを鋭くして圧をかけると苦笑いを返された。


「そんなに警戒しないで大丈夫だって。私の智里ちゃんへの気持ちは恋じゃないから」


 そこを警戒しているわけではないのだが。

 あ、だけどもし実咲が智里を好きになったら秋人と智里をくっつける時に障害になるかもしれないし警戒しといてもいいか。


「言ったでしょ?気になるって。智里ちゃんてすごく綺麗でしょ?だから自然と視線が向いちゃうんだけどそれで気づいたんだ。結構前から智里ちゃん元気ないんだよね」


「…………それだけですか……?」


「うん」


 なんで元気ないのかなぁとぼやきながら実咲はポテトを加える。

 え?

 本当にそれだけ?


 ……。


 頭痛くなってきた。

 あの話の流れだったら恋愛の好きだって勘違いしてもおかしくないじゃん!


 私があんなにモヤモヤしてたのは全部これだけのことだったの……?

 いや、でも待てよ。

 智里が元気ないなんて私からしたら大問題じゃないか?


「仮に智里先輩の元気がないとして、その理由分かったりします?」


「分かってたらすぐに動くよ~。分からないから何も出来なくて不甲斐なく思ってる」


 何この子良い子なんだけど。

 情に熱いのは知ってたけどここまでとは。

 ちょっと私は感動しちゃったよ。


 智里のことを気にかけてくれる人がいるのはとても心強い。

 それが恋敵(仮)の実咲っていうのはなんともいえないが気にかけてくれる人が多いに越したことはない。

 私だけじゃ出きることに限りがあるし。

 現に智里が元気がないと気付けなかった。

 智里のそばにいたくて面倒な生徒会の手伝いまでしているけどそれでも気付けなかった。

 たった一歳の差だけど同じ教室にいていつでも智里を観察できる実咲が羨ましすぎる。

 休み時間に話ができて体育の授業の時だって二人一組を作るとき一緒になったり出きるし。

 どうして一年早くに生んでくれなかったの、マミーよ……。



「何とかして元気になってもらいたいけど理由が分からないんじゃどうしようもないし。ねぇ、どうしたら良いと思う?」


「私にふられても困りますよ。……智里先輩が元気ないのすら気づいてなかったんですから。何で実咲先輩は分かったんですか?」


「なんとなく。直感かな」


 なるほど。

 メインヒロインの直感て当たる気がしてちょっと怖いんだけど。


 智里が元気ない理由って秋人関連ではないよね……?

 智里は奥手だし、秋人に関しては智里と関わろうだなんて今の段階じゃ絶対思わないだろう。


 じゃあ、残るは家のことかな?

 遊びにいったとき何か揉めてる感じだったし。

 家から急に出てきたときは驚いた。

 でもこれを実咲に言うわけにはいかない。智里のプライバシーに関わるから。


 本当はお見舞いと表して智里の家に行ったときに聞いてみるつもりだったんだけど実咲もいたから聞くことができなかった。


「少し心当たりがあるので私に任せてもらって良いですか」


「え、ほんと?」


「はい」


「ならお願いするね。私じゃ力不足だと思うから」


「任されました」


「ふふ、何だか変な感じだね」


「ですね」


 お互い笑いあう。


 にしても智里も罪作りな人だ。

 メインヒロインである実咲をも虜にしてしまうなんて。

 私のハートはとっくの昔に射ぬかれているし、あまり人と関わりたがらない渚だって智里には自分から連絡先を交換しようとか言い出すし。



 私の推しながら恐ろしい。


 明日智里に聞いてみよう。

 あの日何があったかを。

 当然言いたくないだろうし言いたくないなら言わなくて良いっていったのは私だから何も成果が得られないかもしれない。


 だけど智里が元気がないことで心配する人がいるってことを覚えていてもらわないとね。


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