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1.プロローグ

今回の人生は激動だったというべきか。今まで百回以上の転生を繰り返してきたが、これほど目まぐるしく世界が変わる時代はなかった。世界大戦と科学技術の激変。どちらもこの目で見られたのは貴重な体験であった。


だが、そろそろ、この体も限界。次の転生を始めねばなるまい。


私の今生の名は、田中裕介。元大学の教授。今は引退して、富士の樹海にある工房に隠棲している。




私の最初の名は徐翔。秦の始皇帝に命ぜられて不老不死の法を探しに出かけた探索者のひとり。たどり着いた外国とつくにで、出会った愉悦の神から賜った宝玉は。皇帝の望む物ではなかった。故に届けそびれているうちに皇帝が崩御。


旅の疲れで心が弱っていた私は、届けるつもりだった宝玉を自ら飲みこんだ。それは肉体ではなく魂に届き。私は死ななくなった。正確には、魂だけが死ななくなった。肉体はいつか死ぬ。だが、魂は死なずに転生を果たす。何度でも何度でも。


かくして、私は歴史を駆け抜けた。ただの農民だったこともあれば。商人だったり、兵士だったり。貴族だったり、将軍だったこともある。


そして、今回は学者になってみた。幼児期に記憶がおぼろげに戻り始めるので。他の子供より、早めに学び始めることができるし。語学は、もうたいていの言葉は覚えているので、学校の試験は造作も無い。そんなわけで、二流大学の教授に滑りこみ、見合いで結婚した妻とも死に別れ。今は、次の転生先を物色中。


最初の頃は、転生先はランダムだと思っていたが。実は法則があることに気づいた。死の間際にイメージした状況に引っ張られる。らしい?おそらく?


死の間際にしか実験できないので、まだ100%確実ではないが。今回の転生で、今までとは劇的に違う世界をイメージする事で、この仮説を実証しようと思っている。


すなわち、イメージするのは異世界。それも、ラノベでよく書かれているファンタジーのテンプレ。普通の人生は、もうたいてい経験したので、そろそろ変化が欲しくなってきたのもある。


ということで、いざ行かん。異世界に。

愉悦の神、這い寄る混沌。今回はクトゥルフ神話アリで行きます。


徐翔は。徐福が帰ってこないので、皇帝が追加で派遣した者のひとりです

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