第20話 ミロク
おじいちゃんのしゃべり方ってこんなのだっけ?
おはようございます。今ちょうど鹿さんに咥えられて鍾乳洞の奥に着きました。聞きたいこともありますし、ずいぶん長く誰かとお話してなかったので可能ならお話したいです。
〝待たせたのぅ。小さきものよ、ヌシは『意思伝達』スキルは持っておらんだろう?今繋ぐからじっとしときなさい〟
〝………………よし、繋いだぞ。これで近くで何か言いたいことを思えば儂とは意思疎通ができるぞ〟
あ、よく分かりませんが何か会話の手段を整えてくれたようです。では言われた通りにしてみましょう。
「……あー、あー。これで聞こえますか?まずは運んで下さってありがとうございます。で、『意思疎通』スキル?で会話が出来てるのですか?それは僕にもとれますか?それと他にm…」
〝待て待て、そんな一気に聞かれても答えれんわい。まず会話は『意思疎通』スキルの応用でやっておる。このスキルは限られた種族の固有スキルの1つじゃ。〟
〝…見たところヌシは珍しいがハイドスライムかシャドウスライムであろう?スライム種では残念ながらこのスキルは取れんはずじゃ〟
あぁ、久しぶりの会話で焦り過ぎました。しかし、『意思疎通』は取れないのですか、残念です。
………あれ?僕『カラーチェンジ』で普通のスライムみたいになってたはずですが。あ、本来の灰色っぽい色に戻ってます。滝から落ちたショックで戻ったのでしょうか?
〝……そろそろ良いかのぅ?〟
「あ、すいません。考えごとしてました。それと、他にも聞きたいことがあるのですが、いいですか?それとあなたのことはなんとお呼びしたらいいでしょうか?」
〝あぁ良いとも、儂も時間だけはあるからのぅ。むしろ話し相手になってもらえるなら、こちらこそありがとうな。儂はミロクという、好きなように呼んでおくれ〟
こうして僕と〝幻獣〟ミロクは出会いました。この後僕とミロクは話しているうちに意気投合して数日に渡って話し続け、僕は転生してからの出来事を話し、ミロクも生きてきた中での信じられないような本当の話とかをしてくれました。他にも僕の知らない場所やモンスター、スキルのことなど、話題は尽きません。
そして1週間ほどだらだらと楽しく過ごしていた時に、ミロクが唐突に言いました。
〝今更じゃが、しばらく一緒に住んでみないか?ヌシとの話は楽しかったからのぅ。儂の教えられることは出来るだけ教えてやりたいのじゃ〟
僕はミロクの言葉に甘えることにしました。彼との話は僕も楽しかったし、正直初めて話せたミロクと離れるのは寂しかったのです。
こうして、最弱の種族と最強の種族の不思議な組み合わせの共同生活が始まった
次は数年後の話でも書きます。
会話文書くのは好きじゃないけどミロクは個人的に好きなキャラです