第11話 ゴブリン殲滅戦
最後の締め方で悩んだ
やぁ、こんばんは。名無しのハイドスライムこと僕だよ。今は(多分)草木も眠る丑三つ時、夜中の2時くらいです。
そして僕のいる場所はもちろんゴブリンの集落………にあるホブゴブリンの家の中。この家の主であるホブゴブリンは今ぐっすりと寝ています。
…ふふっ、ゴブリンはスライムと違ってしっかりと睡眠をとらないといけないみたいですね?そう考えるとスライムって結構優れたモンスターなのではないでしょうか?
さて、これから僕がやることはもう想像がついている方もいらっしゃるでしょうが、暗殺です。
もしかして正面から正々堂々戦うと思ってましたか?そんなわけないでしょう?僕はスライムですよ?しかも隠れることに特化しているハイドスライム。わざわざ正面から行って自分の命を危険に晒すなんてバカのすることです。
となると、暗殺するのが最良の選択肢です。そうなると次は殺す順番です。可能なら1番強そうな敵からでしょう?その次は何してくるか分からないゴブリンメイジ、それから鉄剣持ちのゴブリン、最後に残りですね。
殺る順番を決めたら、次は殺り方です。これは首をカラダから切り離すことで決定です。僕には刃物を扱えるような器用な手はありません。しかし、変幻自在の触手があります。
スキルレベルが8までなると複雑な形でも狩りの片手間に出来てしまいます。しかし、そこは所詮触手。どんなに頑張ってもちょっと痛い打撃にしかなりません。
そこで役立つのが『硬化Lv6』。触手を薄くして硬化すればウサギ擬きも一刀両断が可能!さっき試してきたので間違いありません。さすがに鎧とかになるとまだ切ることは無理でしょうが、今のホブゴブリンは横になって眠ってます。もちろん鎧は着ていません。
唯一の懸念事項といえば、頭の上に大剣が置いてあることくらいでしょうか?しかしこれも一発で仕留めれば良いのです。
さぁ、殲滅の時間です☆
触手を出して~硬化して~♪勢いつけて~スパッとな~♪
ーーこうしてホブゴブリンは何が起こったのかも知らず、永遠の眠りについた。
アハハッ!特に問題もなく1番厄介なホブゴブリンは殺れたな~♪
…あぁ、次は何してくるか分からないメイジゴブリンだ。いったん落ち着いてから殺らないとな。油断は命取りになる。特に今回は未知の能力を使ってくるんだ。警戒はし過ぎるくらいで良い。むしろ足りないくらいだと思って取り掛かろう。
………ここだな。気配察知によると特に動いてなさそうだし、寝てるのか?今まで気付かれなかったから大丈夫だと思うけど、一応慎重に近づくか。
そ~っと、そ~っと近づきます。
あと1メートル……よし、ここで触手の用意だ。50㎝……40…30………!?
急にゴブリンメイジが目を見開いた!しかも確実に僕の方を見ている!!
そう思った瞬間、僕は反射的にゴブリンメイジの首を落とした。
………………危なかった。もし魔法を使って来なくてもコイツが叫んでいたら、もしかしたらコイツの仲間に僕が殺されていたかもしれない。僕は進化してもまだ正面からの勝負に強いわけではない。ならリスクは極力回避したいからな。
まだゴブリンたちは寝てるだろうけど、少し急ぐか。暗殺するなら早ければ早いほど失敗する確率が下がるからな。素早く慎重に、確実に殺っていこう
ーーーーこの日、あるゴブリンの集落から何の痕跡も無くゴブリンだけが消えた。
数日後、とある冒険者パーティーがこの集落を見つけ、一時はこの不可解な現象にギルドが騒がしくなるのだが、それはまた別の話
主人公は圧倒的不利な状況での戦いだと何故か愉快な気分になる変態。今そう決めました!(笑)