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血潮は在るが儘に  作者: 機乃 遙
Opening Act
1/13

ギミー・シェルター

本作は『悪魔を憐れむ女』、『ハートブレイカー』の続編です。そちらを読んでからお読みになることをおすすめします。

 パリは九月であり、革命の色めきを見せていた。

 その男は、片手にアタッシュケースを携え歩いていた。地下鉄を乗り継ぎ、オデオン駅を出てから、サンジェルマン大通りを歩いているところだった。「パリで一番暑い地下鉄」とも揶揄されるパリメトロ四号線からすれば、九月とはいえ男から上着を奪うなど造作もないことだった。精悍な顔つきをした、黒い肌のその男。彼はニコリともせず、道行く観光客の波に逆らっていた。

 それから彼は、通りにせり出したカフェに一人の女性を認めると、大通りをそれてアンシェンヌ・コメディ通りへと入っていった。彼はそのまま店内に入り、カプチーノを注文すると、テラス席に腰掛けた。ブロンドの女性に相対するようにして。

「時間通りね」と女。

 彼女は濃紺のワンピースに、琥珀色のサングラスをかけていた。サングラスの下からのぞく瞳は、男の顔をじっと睨みつけていた。


     *


 その一部始終をカフェから二〇〇メートルほど離れたビルの屋上から眺める女がいた。そんな双眼鏡を構える彼女に名前はない。しかし敢えて渾名すのであれば、ジェイミー・ボンドと言ったところだろう。むろんそれは偽名であり、彼女の本当の名前など存在しない。もっとも彼女を本当に呼びたいときは、ジェイミーではなく、このように呼ばれる。コードネーム『ルビー・チューズデイ』と。

 栗色の髪をした青い瞳の女。彼女はサーモンピンクのブラウスに黒のチノパンを合わせ、小さめのゴルフバッグのようなもの背負っていた。

 男の登場を確認したあと、まず彼女は双眼鏡をしまいこんだ。そして代わりにバッグから望遠鏡のようなものを取り出した。それは実際望遠鏡に近いものであったのだが、しかしひとたび分解して組み立て直せば、まったく違う道具へ変貌した。狙撃銃である。一見して単眼鏡を思わせていたそれはスコープへと変貌し、それを支えていた鉄柱とおぼしきものは、銃身へと変形した。グリップもマガジンも無い、装填できる弾丸は一発のみの簡易的な狙撃銃。あるのはライフリングの掘られたバレルと、雷管を叩くハンマーとトリガー、減音器サプレッサー、そしてストックのみ。非常に簡易的な機構であった。だが、人一人を暗殺するにはこの上なく上等な代物だった。分解すれば望遠鏡のように格納でき、さらにストックとバレルを組み合わせれば杖のようにすることもできる。一見して銃に見えることはない。

 ルビー・チューズデイは、この暗殺を一月前から入念に計画していた。依頼人クライアントフランス対外治安総局(DGSE)であり、目標はパリ市内で無差別殺人を計画中というテロリスト一名。しかしチューズデイは、その男――コードネームとしてハウンドという名が与えられていた――の素性は知るものの、彼が計画しているというテロの全容は知らされていなかった。彼女に与えられた情報は、この日のこの時間、ハウンドがカフェに現れるということのみだ。

 あくまでもチューズデイという女は、汚れ仕事(ウェットワーク)を掴まされる傭兵であって、それ以上の権限はない。DGSEが求めたのは、素性の知れない殺し屋『ルビー・チューズデイ』であり、それ以上でもそれ以下でもなかった。

 彼女の計画では、目標であるハウンドを狙撃。射殺が確認でき次第、狙撃銃を分解し杖に変形。バッグに隠した白髪のカツラをかぶると、長めのケープを羽織り、杖片手に老婆のフリをして現場より隠密脱出(エクスフィル)する……というものだった。

 そしていま、彼女は計画の第一段階である狙撃に入ろうとしていた。

 チューズデイは組み立てたライフルを構えると、欄干をバイポッド代わりにして固定。スコープを調整しながら、目標の男を捉えた。彼女はこれまでにも何度か狙撃ポイントに立ち寄り、おおまかな零点規正距離ゼロインを計測していた。ゆえに、構えればもうハウンドの首は彼女の手元にあるも同然だった。

 男はカプチーノを飲みながら、ブロンドの女と二言、三言、言葉を交わしていた。それから女はハンドバッグを机上に置くと、席を立った。そして示し合わせたようにタクシーが通りがかり、女を乗せていった。

 ハウンドは、女の残したバッグに手を置いた。それが何かはわからないが、彼の手に渡っては依頼人に不利益が被るものだとは、チューズデイにも察する事ができた。

 もう猶予はない。

 トリガーに指をかける。

 狙撃後、誰かが警察に通報し、警官が現場に到着するまでの予想時間は、早めに見積もっても約十分から十五分前後。

 銃の分解は、遅くとも三分で終わる。それから変装に一分。階段を下りて通りに出るまでに一分。そして通りを離れるまでには二分はかかる。合計して七分。警察が着く前には片づく。

 カバーストーリーは、DGSEが用意した。『気の触れた移民が発砲した』という実に陳腐な物語だ。昨年もテロの脅威にあったパリでは、まだその恐怖も新しい。当局としては、なんの造作もない情報操作なのだろう。

 だからチューズデイは、安心して引き金を引くことができた。……そのはずなのに、彼女は妙な胸騒ぎがした。なんでもない、いつも通りの仕事だというのに……。

 ――落ち着け。三十分後には運河に出て、日没にはドーヴァー海峡を渡ってイギリスよ。

 彼女はそう自分に言い聞かせて、トリガーを絞った。

 パスンッ……と乾いた銃声。まるで玩具のような音が響いてから、二〇〇メートル先で男が倒れた。赤い軌跡が空中で揺らいで、そして血は目標(ターゲット)の体へ絵の具のように滴り落ちた。周りにいた者たちが一瞬困惑の表情を見せてから、次の瞬間には悲鳴に変わった。人の死というのは、唐突に現れ、恐怖として他者へ伝播していく。そして混乱が表出する。

 ――終わった。

 チューズデイは冷め切った心で独り言つと、スコープから目を離して、銃の分解に入ろうとした。

 しかし、そのときだった。

 何か目の粗いサンドペーパーに頬を触られたように感じて、チューズデイは一瞬だけ身じろいだ。そして、それが悪い予感だったのだと、直後に気づいた。


 まずはじめに光が来て、そのあとに音が来た。爆発だった。ハウンドの浅黒い肌を起点として、何かが弾けたのだ。プラスティック爆薬か、それとも古式のダイナマイトか。どちらにせよそれは悪意に満ちたもので、ハウンドが着ていたワイシャツを引き裂いたかと思えば、鉛玉を辺り一面にまき散らしたのだ。

 一瞬で喧噪の中にあったカフェが静まりかえった。先ほどまで泣きわめいていたカリブ系の女は肉塊へと変貌し、彼女の黒い肌は赤く染めあげられた。髪の白い老紳士は上半身を通りにはじき出され、脳梁の飛び出た頭蓋をマンホールの上に転がすはめになった。手に持っていたエスプレッソには、ミルクとともに血が混じっている。

 悲劇は一瞬だった。

 チューズデイは一瞬何が起きているか理解が及ばなかった。だが直後には、『ハメられたのだ』と直感した。何者かが自分の仕事に介入し、余計な手を加えてきた。彼女が計画した静謐なる狙撃は、一瞬にして爆破テロという厄災に変貌したのである。

 チューズデイはすぐに銃を分解。杖に組み立て直すと、カツラをかぶり、ケープをまとった。そして足早に屋上を立ち去り、大急ぎで通りに出た。

 絶望がさらに絶望を呼んだのはこのときだった。通りに出て逃げようと思ったとき、遠方からサイレンの音が聞こえてきたのだ。そのうえどこからやってきたのか、自転車に乗った巡査が駆けつけてきたのだった。あまりにも早すぎる。まるですぐそこで待機していたとでも言うかのようだ。

 チューズデイは大きく舌打ちした。その巡査が彼女を見たからだ。当然のことだった。死屍累々のなかで動いていたのはチューズデイぐらいだからだ。二〇〇メートル先の出来事といえど、爆発で少なくとも半径一〇〇メートルは消し飛んでいるに違いない。そんな状況でいそいそと歩いている老婆が目に付かないはずがなかった。

「すみません、おばあさん! ちょっといいですか?」

 警官が彼女に声をかけた。ここで捕まったら、終わりだ。老婆の変装は、あくまでも群衆に溶け込んだことを前提にしてのものだった。一対一では、まずバレる。

 チューズデイの頭の中では、これから先の対処を思い描いていた。捕まってから、依頼主に説明を求めるか? ダメだ。誰がハメたにせよ、DGSEは、もとより楽に手を切れるから外注の工作員を雇ったのだ。端からチューズデイの生死には興味がない。目標を殺せればそれでいいのだ。陳腐なカバーストーリーなら、爆破テロにだって融通は効く。

 ――クソッタレ。

 彼女は心の中で唾を吐くと、周囲を見回した。数台クルマが止まっていたが、どれも爆風の影響で盗難防止装置が作動していた。クラクションがけたたましく鳴り響いている。

 その中の一台にドアのひしゃげたミニがあった。古ぼけたクルマだが、今はこれ以上なく最適なクルマだった。

 チューズデイは杖を小脇に抱えると、そのまま走ってミニに飛び乗った。ダッシュボードを探るとキーが一つ。まったくおあつらえ向きだった。

「おいこら、待て!」

 警官が叫ぶ。自転車をかなぐり捨てて、彼はミニに向かって全力疾走。

 しかし、それよりもチューズデイがエンジンをかけるほうが早かった。

 セルを回し、強引にエンジンスタート。アクセルを踏みつけ、シフトチェンジ。一気に二速へ。背中にサイレンの音をひしひしと感じながら、ルビー・チューズデイは決死の逃避行へと踏み出した。


 警察車両は驚くほどの速さで迫ってきていた。予測時間などあったものではない。まるでパリ市警はすべて予測済みの上で、チューズデイがことを起こすのを待っていたようだった。

 ――これでは本来の計画が台無しだ。

 ミニに無理を言わせてヴォルテール通りを駆け抜けながら、チューズデイは対策を考えた。

 本来の計画であれば、彼女はこのままアンシェンヌ・コメディ通りを歩いて(﹅﹅﹅)突っ切り、それからサン・ミシェル橋の下に係留しておいたジェットスキーで脱出する予定だった。それがどうだ。いまやサン・ミシェル通りは遥かに過ぎ、セーヌ川沿いにエッフェル塔めがけて進んでいる。

 とりあえず、大通りをモタモタ走っているのがマズいとだけはわかっていた。くすんだバックミラーを見れば、回転灯を光らせて猛突進してくるパトカーがある。

 このミニには、ロクな装備もありはしない。あるとすれば、頼りない四気筒エンジンと四速きりのマニュアルトランスミッションだけだ。警察車両に小突かれるのは時間の問題だった。

 ――やるしかない。

 そう判断したのは、国会議事堂前を通過して間もなくのことだった。

 チューズデイはサイドブレーキを思い切りかけると、タイヤスモークをあげながら車体を横滑りさせ、強引にもクルマを車道から飛び出させた。そしてバンパーが弾け飛ぶのを覚悟して、高架下にある川岸の二車線道路へと飛んだのである。

 その瞬間チューズデイは、後方でコントロールを失い衝突しあう警察車両を見た。そして、それを後目に彼女は川沿いをサン・ミシェル方面へ向けて戻り始めた。

 ――川面に追っ手はいない。現れる前に、ジェットスキーに乗らなければ。

 さざ波を打つ水面を見やりつつ、彼女は決心した。いち早くこの場を離れなければ、自分の命はない。

 しかし考えついた次の瞬間には、彼女の計画を台無しにするものが現れたのである。

 上空に低く響くローターの音。まさかと思い彼女が目をあげると、空にとけ込むようにしてスカイブルーのヘリコプターが一つ宙を飛んでいたのだ。

 チューズデイは舌打ちすると、次の一手を考える間もなく車線を変更。いままで進んでいた川沿いの道をあがり、橋のたもとまで登りつめた。起伏の激しいパリ市内では、ミニのエンジンでは心もとなかった。

 そうして橋の入り口まできたところで、彼女は一瞬でミラーすべてを見た。バックミラーに映る二台の警察車両。前方、フロントガラスからはヘリコプターが見える。サイドミラーには、事故を起こす一般車両の群。

 ――対応が早すぎる。

 彼女は毒づきながら、自然と敵が存在しない方向へとハンドルを切っていた。すなわち、橋の方面。セーヌ川を渡ることにしたのだ。


 チューズデイが渡ったのは、ロワイヤル・ブリッジ。ジェットスキーを係留してあるサン・ミシェル・ブリッジからは三つ手前の橋だった。

 それでも仕方なかった。空と地上から攻めてくる敵を撒くには、まず空の敵を撒かなければならない。あのヘリコプターが地上部隊にチューズデイの位置を知らせているのはわかっていた。彼らがいくらパリを知り尽くしたパリ警視庁の警官だとしても、この入り組んだ街のすべてを理解できているはずがない。ゆえに、それを俯瞰して見ることのできる先導者が必要だったのだ。

 ならば、その先導者を振り切るまでのこと。

 チューズデイはギアは三、四速をキープしたまま、ジェネラル・ルモニエ通りの地下道に入った。ねらいは言うまでもなく、ヘリを惑わせるためだった。

 ミニはフルスロットルでトンネル内に入ったのち、急ブレーキを効かせてドーナツターン。白煙をあげると、それからしばらくして来た道を戻った。アクセル全開、光の漏れるほうへ。

 ちょうどそのとき、時を同じくして警察車両が二台飛び込んできた。しかしその二台も、よもやミニがここでUターンするとは考えていなかったのだろう。減速する間もなく、二台の間をチューズデイは通り抜けた。

 一瞬の出来事だった。

 警察無線はミニの挙動に注意するよう騒ぎ立てたが、時すでに遅し。チューズデイが駆る小型車は、そのまま地下道を戻ってきたかと思えば、ロワイヤル・ブリッジ手前の工事現場に突っ込み、舗装中の並木道へと飛び込んだ。テュイルリー庭園へと続く、細く狭い道だ。本来なら車が通る道ではない。

 しかしチューズデイは文化的価値がどうとか、そんなことはまったく考えずに芝生を荒らしながらミニを進ませた。警察車両は、入り口付近で立ち往生。あとは残りの追っ手を撒くだけになっていた。


 残りの追っ手。芝をかき分けていたとき、彼女が目にしたのは、後ろを追いかけてくる輸送車両だった。濃紺の車両は、特殊部隊の兵員輸送車両である。車両はまもなくミニを追い越し、停車。後部ハッチを開いて、部隊を展開。車体はバリケードに。ライオットシールドにサブマシンガンを持った警官たちがぞろぞろと庭園の中に進入してきた。

 わかっていた。すでにパリは、何度かテロの標的にされ、そのたびに警備を強化していたことを。しかし、今回の任務は銃弾一発で事足りる静謐な、穏やかな仕事になるはずだった。警察とやり合うことなどない、非常にスマートな仕事に。

 ――だが、これはなんだ?

 考えるとさらにムカムカしてきた。

 警察とやり合えるだけの装備はない。このまま脱出するにはどうすればいい? しかしそれを考えている余裕もない。目先の脅威を排除していくだけで精一杯だ。だが、それでは後々どん詰まりに陥るとは、彼女自身わかっていた。

 とりあえず、いま撃たれて死ぬわけにはいかない。

 展開する特殊部隊を避けるようにして、ミニは大きく左折。植木の合間を通り抜け、時折ベンチを破壊しながら庭園を抜けた。

 庭園を抜けきったとき、目にしたのは開けた通り。空を舞うヘリコプター。近づきつつあるサイレン、そして警告だった。

止まりなさい(アレテ・ヴ)! 繰り返す、クルマを止めなさい」

 ――その警告は無駄だ。

 車内でチューズデイはそう思いつつも、しかしどん詰まりの状況になってしまったことに気づいた。前方にはサイレンをかき鳴らす警察車両。後方からはテロの即応部隊。上空にはヘリ……。

 逃げ道は、一つしかなかった。

 次の瞬間、ミニは急加速したかと思えば、あらぬ方向めがけて進んでいた。セーヌ川の、その水面だ。


     *


 フィリップ・ルベル警部が現場に着いたのは、それから八分後のことだった。贔屓にしているカフェで遅めの昼食をとっていたところを突かれ、彼はやや遅れて到着していた。しかしそれでも急いでいたほうで、彼の額には脂汗が滲み、メタボリック気味の腹には食後に走ったことが原因の痛みがあった。

 ルベルは、現場を一瞥したところで、これが単純なテロ事件ではないと悟った。長年刑事として勤めてきた彼の勘がそう囁いていた。しかし、一目見ただけではいったいどのようなことが起きたのか、彼でさえまったく把握できなかった。

 いま、テュイルリー通り周辺は完全に封鎖され、警察車両ばかりが道にあふれている。また川辺にもパリ市警付のボートが数隻出払っていて、観光用の遊覧船が立ち往生していた。野次馬たちが身を乗り出してセーヌ川をのぞき込もうとするのを巡査たちが押さえつけて、代わりにスーツ姿の刑事たちが訝しげな目つきで川面をのぞいている。

 ルベルのしかめ面の原因は、川に落ちた一台のクルマだった。BMW以前の、イギリス製ミニ。ひしゃげた赤いボディが川面に突き刺さっている。窓ガラスは砕けてどこかへ流れ、車体は今にも流れていってしまいそうな様相である。

 そんな大破したミニを、ボートが二隻取り囲んでウィンチを取り付けた。これから引き上げの作業に入るところだった。

「本当にテロリストがあのクルマに?」

 ルベル警部は上着のポケットからジタンを一本つまみあげると、火を点けて部下の刑事に問うた。

「間違いありません。女でした」

「犯人は女だって?」

「はい。はじめに目撃した警官によると、髪の長い白髪の女で、ケープのようなものをまとっていたと」

「まるで婆さんのような格好だが……。そいつが爆破テロを起こして、あまつさえこれだけの逃亡劇を繰り広げたと?」

「そのはずです」

 若い刑事はそう答えて、引き上げの様子を静かに見つめた。

 ルベルがジタンを二本吸い終えたところで、やっと引き上げの作業は終わった。

 大破したミニは陸へ打ち上げられた。だが、もはやそこにドライバーの女はいなかった。

「こりゃ、逃げられたな」

 ルベルは静かに言って、上空を舞うヘリコプターを見た。

 テロリストは逃げた。しかし、それも時間の問題だ。彼の中には、なんとしてでも犯人ホシをあげるという野心はあった。しかし、重大な事件の一端に触れているとは、彼自身知る由もなかった……。


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