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闇医者探偵  作者: 桜田櫻華
ファイルNo.1《フォアグラ》
3/12

03

 ここまで来て前回の話をしないことがどれだけ反感を買うか解ってはいるが、相方の事を話しておこうと思う。


 はかま 麻季あさぎ

 特殊警察、僕の相方。

 国に認められた異能力使用許可者だ。

 自身を主張するような高飛車な物言いが妙にマッチするような女性。髪の長い女性程美しいと言う、大変古めかしい思想を持っており、絹のような長い黒髪を高い位置で1つに結んでいる。しかも、ゴムではなく何か紐の様なもので結んでいるため仕事中にしょっちゅう切れる。ちなみに、本人には言っていないが僕は彼女の髪止めが千切れて、支えをなくした髪が扇のように広がっていく様を見るのが好きだ。勤務中だということを忘れさせるほど、彼女の髪は素晴らしかった。

 凛とした()で立ちは、姫と言うよりは侍に酷似している。名字のとおり、袴を着せた素晴らしく様になるのだろう。


 そして、重要なのは彼女の能力。書類には『毒物を合成・発生させる』と記載されている。一見、具体的で人知を超えたモノに思えないかもしれないが、実際はそうじゃない。

 彼女はただの原子から何もしなくても毒物を合成させれるし、例え真空にいたとしてもそれを発生させる事が出来るそうだ。本人いわく、後者の方は気力も体力もかなり使うそうなのであまりやりたくないそうだ。

 お陰で専門の機械を使わずとも使用された毒物を突き止める事が出来るし、再現することも出来る。

 どの部署にも劣らないほど彼女、袴は優秀な人材だ。

 あの怒りっぽい性格さえなければ。


「はぁ?被害者の名前に数字ぃ?そんなこと、麻季達でなくとも世間が知っていましてよ?!!」


山岸やまぎし 万里ばんり

ー山岸 千里せんり

百々(どど) 百夏ももか

石川いしかわ 十色といろ

そして、今回の犠牲者

ー明塚 一僂


 始めの人物から10分の1ずつ数字が減っている。

 誰もが知っているが、あえて気にもしなかったこと。


「世間が知っているからこそ、盲点なのですよ。『漫画や小説、ドラマの様な事はないだろう』という、現実味溢れる人間の思考を逆手に取った犯行でしょうね」

「確かに、あのジャンルの物を見ていると、確かに面白いが疑問がわくな」

「えぇ、『ダイイングメッセージを考える頭と気力が有るなら電話するなりすればいい』と思いますわね。むしろ、そうなさるのが普通だと思いますわ」


 そんな推理ドラマは見たくないし、そんな推理漫画は買いたくもない。発行される前に担当者にダメ出しをくらう。


「で、まさか貴方はこれがダイイングメッセージだとでも言いますの?」


 まさに”プギャー”と言うような顔つきをする袴。バカにしたくて仕方がないのだろう。彼女は常にアレの揚げ足を探している。酷いときは自分を犠牲にしてでも揚げてもない足を揚げさせる。まさに執念と言うことだ。


「んんんん?いやいや、これはダイイングメッセージではないですよ。むしろ、犯人の残した足跡と言うことでしょうね」

「足跡だって?」

「はい。おそらく、確認していたのでしょうね」


×××××


 これはいつも言う通り、あくまでも私の考えですよ。

 はい?私の考察は常に当たるって?いやいやいや、そんなに私を信頼しないでください。むしろ、私のような人物は常に疑ってかかってくれないと困ります。そんなに誰でも信じているといつか痛い目を見ますよ?

 えぇ?微塵も信頼していない?そうです、その意気ですよ譲君。


 さて、どこか話しましょうか。

 まず、この犯行は決して少なくない被害件数です。5件……あぁ、始めの山岸姉妹は二人で1件でしたっけ?まぁ、件数的には減っても、人数的には変わりはないです。5人。四捨五入すれば10人です。

 ところで、『減る数字の意味』はご存じですか?減量や、低下などマイナスな意味が多いこの世の中ですが1つ、世界中の人間が楽しみにしている事があるでしょう?…………カウントダウンですよ。年末にやりません?好きなアイドル番組を見ながら、彼・彼女達と数えたり。あ、そんなに興味無かったですか。それはそれは……申し訳ありませんでした。謝りますから袴さんを宥めてくれません?怖いです。

 まぁ、袴さんや譲君が年末をどう過ごすかなんて事は問題ではなく、犯人の残した足跡がカウントダウンであると言う可能性が浮上してきたと言うことですよ。


 なんのためって……そりゃ、数えるためでしょ?人数を。

 それなら、今回で犯行は終わり……と言うことは残念ながら、そうでも無さそうなんです。なら、実際に10から数えてみましょう。


10……

9……

8……

7……

6……

5……

4……

3……

2……

1…………


×××××


「「「0(ぜろ)」」」


 0

 本来無いことを表す数字のそれが、皮肉にも次の犯行が有ることを示した。

 いや、そもそもアレの言うことは余りにも蘊蓄うんちくくさくて無いに等しい憶測だが、有ることを無いと考えるより、無いことを有るかもと考えた方が良い。まして、アレの予想は気持ちが悪いくらいに当たる。一度犯人かと思って逮捕したが、すぐに釈放することになった。

 この予想が杞憂で終わってもらいたいものだが、アレが言ったことだ。

 今回こそは、防がなくてはならない。


「0……つまり漢数字でいけば零の付く人物、さらに幼児が危険ということか」


 早急に手配させなくては……。

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