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白虎と青龍  作者: 来海
3/3

お別れの時間

遅くなってすみません。

話のキリの良いところで切ったので、今回は短いです。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「じゃあ俺、行くよ」

「…うん」


バッグを背負って彼はキッパリと言った。

私はとうとう来てしまった別れに、まだ心の整理がつかない。


「今までありがとう」


そういって彼は私に向かって頭を下げた。


「っやめてよ!そんな、

私が好きでやったことなんだしっ」

「でもっ!…魔女さんが居なかったら俺は死んでたから。…ありがとう」

「…私こそ、友達になってくれてありがとう」

「どういたしまして」

「「ハハハ」」


笑いが込み上げてきて、

二人で笑った。


きっとこの別れは、私の人生の中ではちっぽけな出来事かもしれない。でも、そうだとしても、私はこの友の事を一生忘れないだろう。


今は、そんな風に思えた瞬間だった。

本当は「行かないで」と言いたいし、彼の手を掴んでしまいたい。泣いて引き留めてしまいたい。

でも、それは出来ないから代わりに


「気をつけてね」


と笑顔で言うしか私には出来なかった。

そんな私の心情を知ってか知らずか、彼も笑顔で言葉を発す。


「うん。…じゃ」


私は彼が森に消えて見えなくなるまで見送った。


+++++++++++++++++++


彼が見えなくなると、私は一度ため息を吐いた。

それから家に入りドアを閉め、ついでに鍵の魔法もかけた。


「…家ってこんなに広かったけ」


一人になった我が家は、

驚くほど広く感じた。


「…はぁ」


二度目のため息が空しく部屋に響く。


一人が良くてここに来たのに、こんなにも他人と居ることが楽しくなるなんて…思ってもみなかったなぁ


右手に着けた青いブレスレットをふと見る。

三日前、彼と行った実験の副産物。

彼とは色違いで、私は青、彼は白をそれぞれの右手首に巻いたのだ。


「っ…頑張ろう」


私にはこれがある。彼というかげがえのない友と過ごした時間の証が


左手でブレスレットをギュッと握りしめて、私は気持ちを切り替えた。

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