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クライン工房へようこそ!【第18部まで完結!】  作者: 雨宮ソウスケ
第11部 『亡郷の再会』

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第八章 そして再会①

「……本当に凄い」



 サーシャは、微かに喉を鳴らした。

 まさに驚くような戦闘。

 炎を纏う悪竜の騎士の姿にもギョッとしたが、それ以上に、自分とほぼ歳が変わらない少年の力量には言葉もなかった。

 それは、同じく騎士候補生であるアリシアや、ロック、エドワードも同様だ。

 騎士候補生でないユーリィもまた、声を出さない。

 ただ、彼女の沈黙は、サーシャ達とは少し違う様子だった。

 どこか、ユーリィの表情は硬かった。

 いずれにせよ、彼らは、無言で戦闘を見つめていた。

 戦いは熾烈を極めた。

 そうして、不意に轟く不協和音。

 思わず耳を押さえていると、《朱天》の左腕が大きく損傷し、悪竜の騎士の処刑刀は半ばから砕け落ちた。恐らく互いに何かしらの闘技を繰り出し、相殺したのだろう。


 対峙する二機。

 すると、彼らにオトハが近付いていく。

 サーシャのもう一人の師は、これで決着がついたと判断したようだ。


 少しホッとした。

 あの悪竜の騎士は、紛れもなく最強レベルの相手だ。


 アッシュに仕合を申し込んでも、不遜ではない力量が充分にある。

 だから、少しだけ不安も覚えていた。

 師が負けることはなくとも、怪我をしてしまうかもと考えていた。



「……けど、マジで凄えよな、あいつ」



 エドワードが、感嘆の声を上げた。

 ここまでのものを見せつけられては、もう唸るしかない。

 とても、同世代には思えない実力だった。



「機体もとんでもねえけど、下手すりゃあ、アルフより強えェんじゃねえか?」


「う、うん。そうね」



 アリシアも頷き、同意する。



「少なくとも、私はちょっと自信をなくしたわ。《朱天》を損傷させるなんて、私達じゃあ全員がかりでも無理だもの」



 と言うよりも、勝負にもならないのが現状の実力差だ。

 それを、あの少年は単独で成し遂げた。

 たった一機で、それをやってのけたのである。

 騎士学校では、天才ともてはやされるアリシアとしては、本物の才能を見せつけられたようで、何気に一番ヘコんでいた。

 ちらりと、ルカと一緒に立つ、リーゼやジェイクにも目をやった。



「もしかして、リーゼさんや、ジェイク君もあんなに強いの?」


「いや、流石にそれは……」



 幼馴染の心情に気付き、サーシャは苦笑を零した。

 いくら何でも、あのレベルの学生が、ゴロゴロいるとは思えない。

 もしいたら、他国との軍事バランスが懸念される事態だ。



「コウタ君が、特別だと思うよ」



 と、慰めの言葉をかけた、その時だった。


 グウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ――!!


 突如、草原に轟く咆哮。

 サーシャ達のみならず、ルカやミランシャ達、エリーズ国からの来訪者達も、ギョッとして視線を声の方へと向けた。

 そこにいたのは、真紅に染まった《朱天》だった。



「――はあッ!? なんでッ!?」



 エドワードが、仰天の声を上げた。

 真紅の《朱天》。

 言わずと知れた、アッシュの切り札である。



「決着はついたんじゃねえのか!? 姐さんも近付いてたし!」


「い、いや、まさかとは思うが……」



 その時、ロックが呟く。



「学生相手に、左腕を損壊させられ、腹が立ったのではないか……?」



 その推測に、サーシャもアリシアも唖然とした。

 ユーリィも目を丸くしている。

 一瞬の間。



「――そりゃあ大人げねえだろ!? 師匠!?」



 こういった時は、大抵代表して叫ぶエドワードだった。

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