前へ目次 次へ 77/612 第七十七話 深夜になった。 久しぶりに旧友とはしご酒をしてしまった。 「ただいま」 「お帰りなさい」 「おや、起きていたのかい」 「ええ、眠れなくて」 「そうか、昼寝でもしたのか」 「違います、心配で」 おう、そういう気持ちがまだあったのか。 ちょっと嬉しい。 「お土産は?」 「ないよ」 「あら、木下さんと飲むといつもお寿司のお土産だったのに」 「彼も退職したからね」 「そうなの」 ふーっと、大きなため息がつく家内。 寿司を待っていたのか。